Allion Labs / Alan Kao

 

MIPIとは

モバイルインダストリープロセッサインターフェイス(英名Mobile Industry Processor Interface,略称MIPI)とは、MIPIアライアンスによって定義された、スマートフォン、タブレット、ノートPCなどのモバイルデバイスのプロセッサ設計用の仕様です。5G、人工知能、モノのインターネットなどの技術が成熟するにつれて、関連するプロセッサやデバイスの需要も増加しており、MIPI仕様は重要な役割を果たしています。

出典:MIPIアライアンス

 

MIPI仕様には6種類のインターフェイスがあり、MIPI仕様のマルチメディア(Multimedia)カテゴリは、下の図に示しているように、主に3つのレイヤーに分けられます。

  • アプリケーションレイヤー(Application Layer)
  • プロトコルレイヤー(Protocol Layer)
  • PHYレイヤー(PHY Layer)

MIPIの主なアプリケーションタイプには、カメラ(CSI)、ディスプレイ(DSI)、ストレージ(UFS) があります。

多くの技術インターフェースと同様に、MIPIアライアンスは標準テストドキュメントを策定し、テスト条件、方法、および項目を明確に定義しました。このテストドキュメントは、仕様のコンフォーマンステスト(Conformance Test Suit、略CTS)ドキュメントと呼ばれており、これに合格すると、画像のノイズ/ぼやけ/歪み、画像の遅延などの問題を効果的に低減することができます。

MIPIコンフォーマンステストは一般的な認証テストとは異なり、メーカー自身がガイドラインを参考にしながらテストを実施することができるため、MIPIアライアンスが認定する認証ラボによるテストは必要ありません。

このテストを実施するには、まず関連するテスト機器と環境を準備する必要がありますが、アリオンの長年のテスト経験によると、多くのメーカーが遭遇する最大の問題は、この部分ではなく、テストに十分な経験が欠けていることです。

MIPIは主にモバイル機器の内部で使用されるため、はんだ付けやプロービングを直に接続し測定する必要があり、USBやHDMIなどの一般的な外部インターフェースと比較すると、測定の難易度がはるかに高くなります。

以下では、D-PHY/C-PHY を例として、テスト中によく発生する問題を説明します。まずD-PHY/C-PHYとテスト要件について紹介します。

 

MIPI D-PHYとは

MIPI D-PHYは、主にカメラ (CSI)、ディスプレイ (DSI) で応用されている、高速性と低消費電力を兼ね備えた信号伝送モードです。

信号の組み合わせは、1ペアのクロック差動信号と1~4ペアのデータ差動信号で構成されており、HSモード(High Speed)とLPモード(Low Power)の切り替えをサポートしています。

HS mode: 低電圧伝送、最大データ伝送速度は1レーンあたり1Gpbs~9Gbps

 トランスミッター(TX)テストの要件と方法 

前述した通り、スマートフォンやタブレット、車載用レンズインターフェースや画像表示インターフェースは、すでに完成品の段階にあるため、測定は容易ではありません。

次は、テスト環境の接続概略図です。

テスト機器はKeysight D9020DPHCとコンフォーマンステストソフトウェアを使用して、MIPI D-PHY v2.1セクション9以下およびC-PHY CTS V2.1セクション1以下の基準に従ってテストを行います。

主な測定項目は次の通りです。

  • High Speed Data/Clock TX
  • Low PowerData/Clock TX
  • Data/Clock Transmitter(HS Entry、HS Exit)
  • High SpeedData-Clock Timing

MIPI C-PHYの紹介

D-PHYと同様に、高速、低電力の信号伝送モードと組み合わせてCSI、DSIに応用されています。両者の主な違いは次の通りです。

トランスミッター(TX)テストの要件と方法

テスト機器はKeysight D9010CPHC MIPI C-PHYコンプライアンステストソフトウェアを使用しており、MIPI C-PHY v1.2セクション9およびC-PHY CTS v1.1セクション1の仕様に対してテストが実施可能です。

主な測定項目は次の通りです。

  • High-Speed Transmitter (HS-TX) Electrical Tests
  • Global Timing Tests(T3-Prepare、HS Exit)

 

上の図は、さまざまなモードでの信号の回路図をキャプチャしたものです。

ケーススタディ

1.測定位置がテストの品質に影響を与える

MIPI D-PHY/C-PHY TXの主な仕様は、ICチップ出力を測定することです。

テストポイントが遠すぎると信号の減衰に影響を与え、ドライバーの能力が十分でない場合、上昇/下降の昇降能力が不十分になり、オーバースペックや信号品質の低下を引き起こしてしまいます。

D-PHY

 

C-PHY

 

2. ICチップのタイミングパラメータ設定が正しく調整されていないと不良と判定される

ICチップタイミングパラメータの設定に問題があると、データ/クロックトランスミッター(HS Entry、HS Exit)のタイミング不良が発生してしまいます。アリオンは、ICチップメーカーから提供されたパラメータを変更することで、タイミングスキュー不良を調整することを勧めています。

下の図から、値が50より低い場合はオーバースペックであることが、逆に値が50を超える場合はテスト結果がpassとなっていることがわかります。

最後に

アリオンはMIPI試験設備及び環境を完備しており、お客様のニーズに応じてキーパラメータを確認できます。またDDR、UFS、Ethernetなどの関連設備も保有しており、シグナル・インテグリティに関するテストと技術コンサルティングを提供しています。

関連の検証テストサービスについてより詳しい情報をお求めの場合は、アリオンのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。