Allion Labs/Cache Her
タブレットPCの評価シリーズの第一部ではタブレットPCのバッテリー寿命と充電の比較を紹介しましたが、今回はタブレットPCのワイヤレス性能の良し悪しの違いを見てみましょう。ワイヤレスネットワークはタブレットPCにとって核となる重要な部分です。タブレットPCには有線ネットワークのインターフェースがないためインターネットを使用する場合、ワイヤレスネットワークを経由する必要があります。
タブレットPCがネットワークに接続するにはワイヤレスが唯一のパイプであり、タブレットPCを手にし、電源を入れた直後からワイヤレスネットワークを通してオンラインでアカウントを設定したり、ソフトウェアを更新したりします。また各機能の設定をしたのちウェブページの閲覧、オンラインショッピング、ドラマ、アプリのダウンロード、オンラインゲームをプレイするなどにはワイヤレスネットワークを必要とするため、これに関する性能はタブレットの良し悪しやユーザーの使用体験に大きな影響を与えます。
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図:テスト環境ー シールドルーム(Shielding Room)のイメージ
本編では主に異なるタブレットPCのワイヤレス性能の比較を紹介します。外部からの干渉を避けるため、またテストの一貫性を確保するためにテスト環境が電磁波を遮断できるシールドルーム(Shielding Room)で実行されます。
テスト項目には以下の通りです。そのテスト結果を以下に記しました。
- アップロードとダウンロードのパーフォーマンス
- ネットワーク混雑下における送受信の性能
- Bluetooth共存下の性能
- Wi-Fiルーターと異なる距離での使用に関する性能
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表:テストに使用するタブレットPCモデル
この記事では「バッテリーの寿命と充電」をテーマとし、写真の5つあるタブレットPCについてそれぞれ比較と分析を行い、その結果を以下に記しました。
テスト結果
1. アップロードとダウンロードのパーフォーマンス
まずはワイヤレスネットワークのアップロードとダウンロード性能の部分を見てみましょう。Wi-FiルーターはASUS RT-AX 88 U(ファームウェアバージョン:3.0.0.4.386.48631)を使用しています。暗号化はWPA 2-PSK-AESでテストに用いたソフトウェアはIxChariot(Test Script:High _ Performance _ Throughput.scr)です。またそれぞれ2.4 GHz(channel 1、6 および 11)と5 GHz(channel 36, 149 および 161)のアップロードとダウンロードの能力を測定します。
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図:テストイメージ
2.4 GHz において5台のタブレットPCをそれぞれ測ったデータは以下の通りです:
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2.4 GHzのテスト結果、各タブレットは大差はなく、アップロード速度は約50 Mbps以上でした。Walmart社に関しては70 Mbpsまで達することができるほど良いパフォーマンスだが、ダウンロード速度は各約50 ~ 60 Mbpsの間であまり差はありません。このような速度はすでに4 Kのビデオを見る(>30 Mbps)よりはるかに速いことがわかります。
次、5 GHz(Bandwidth 40 MHz and 80 MHz)において測定したデータは次の通りです:
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5 GHzではHT 40が150 Mbpsを超えているのを確認することができました。その中でもWalmart社はやはり他よりも少し良いパフォーマンスをしていてHT 80で測定された際の数値もHT 40の約2倍です。いずれも300 Mbpsを超えているので、ドラマを見たり、アプリをダウンロードしたり、オンラインゲームをしたりするなど5 GHz周波数でオンラインにしても十分に満足することができます。
2. ネットワーク混雑下における送受信の性能
2つ目は混雑した環境においてワイヤレスネットワーク送受信の性能を見てみましょう。ワイヤレスネットワークを使用すると外からの干渉が全くないわけではなく、少なくとも左右の隣人や上下階のワイヤレスネットワークに干渉されます。干渉度は一般的な家庭では約20%~ 30%、オフィス環境においては約40%~ 60%ほど干渉がある、ワイヤレスネットワークを頻繁に使用している場所(カフェなど)では70%~ 80%に達してしまいます。今回のテストでは最も厳しい環境に近づけワイヤレスネットワークの干渉度は約80%前後に設定した場所でその送受信性能をテストします。
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図:ワイヤレスネットワークの干渉度は約80%前後に設定した場所でその送受信性能をテストした
測定したデータは以下の通りです:
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テスト結果から見ると各タブレットはこういった環境下でそれぞれ異なる影響が及んでおり、2.4 GHz時の性能の低下の幅は比較的大きく、速度の影響も大きいです。一部では回線の遅延や画質の低下などの影響を与えることもあります。一方、5 GHzでもある程度品質は低下していますが、アップロードとダウンロードの速度はいずれも100 Mbps以上を維持することができていて受けた影響は非常に小さいとのことがわかりました。これにより、外部の干渉の多い環境で使用するには、5 GHzを使用することをお勧めします。
3. Bluetooth共存下の性能
次はBluetoothデバイスと一緒に使用した場合を見てみましょう。Bluetoothの周波数帯も2.4 GHzを使用しているため、同じ周波数帯を使用しているワイヤレスネットワークに対しては衝突します。タブレットPCを使用する際にWi-Fiを利用するだけでなく、同時にBluetoothをオンにしてBluetoothイヤホンとペアリングすることで音楽を流すことがよくあるでしょう。。この環境下では各タブレットPCがBluetoothに接続することでパフォーマンスがどう変化するかを実測しました。
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上記のデータによるとBluetoothがオンになっていない場合のワイヤレスネットワークは50 Mbps以上ありますが、Bluetoothをオンにすると各タブレットPCは基本的に20 ~ 30 Mbps低下していることがわかり、Bluetoothがワイヤレスネットワークの性能に大きな影響を与えていることがわかります。
使えないほどではありませんが、性能は確実に低下しているので快適な良い使用体験を維持するためには、Bluetoothの使用をオンにする場合にはワイヤレスネットワークのパフォーマンスに影響が出ないよう5 GHzの周波数帯で使用することをお勧めします。
4. Wi-Fiルーターと異なる距離での使用に関する性能
最後にWi-Fiルーターと異なる距離においての性能を見てみましょう。減衰値が大きいほど距離が遠いことを意味します。本試験では減衰機器を通じてタブレットPCとWi-Fiルーターの距離をシミュレーションします。
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各タブレットPCの性能について降下曲線の違いはさほど大きくはありませんがWalmart社のは比較的に良いようです。2.4 GHの性能は約6 dB、5 GHzでの性能は約3 dBを高くなり使用距離が遠くあるいはWi-Fiルーターと同じ距離での伝送の方が速いです。
まとめ
今回のタブレットPCのワイヤレス性能についての比較はここまでです。次回はタブレットPCのスクリーンの性能についてご紹介する予定です。主に明るさ、色の比率と色の面積についてやそれに伴った各スクリーンのパフォーマンスについてご紹介します。今回も最後までご覧いただきありがとうございました!
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