Allion Labs / James Ou
前回の記事ではサーバー調達における品質の三大要件について、品質基盤(仕様要件)、ユーザーエクスペリエンス(性能要件)、メンテナンス費用(安定性要件)等の3つの側面に対応しているかどうかを説明し、購買部門にとって品質をどのように確認・検証すべきか、例を挙げて説明しました。今回ではユーザーシナリオから仕様要求、直面する課題とテスト効率できるテストツールを紹介いたします。
ユーザーシナリオ分析から見えてきた課題
まず、応用面から仕様要件について説明します。クラウドOTT(Over-the-Top)ストリーミングメディアアプリサービスを例に挙げれば、消費者が自宅で4K/UHD(Ultra HD)ストリーミングで動画を楽しむ場合、約20Mbpsのネットワーク速度が求められます(各OTTサービスプロバイダーのメディア圧縮技術によって異なります)。つまり、サーバー側は、消費者にサービスを届けるために、 2.5MB/s の帯域幅を提供する必要があります。
最も基本的なPCIe仕様で見れば、JOBD(Just a Bunch Of Disks)に接続するサーバーのインターフェースがPCIe 4.0を使用する場合、各インターフェースのデータスループットは31.51GB(x16)で、同時に約12,600人のユーザーに提供できます。しかし、サーバーのインターフェースを JOBD からPCIe 5.0に変更すると、データスループットはすぐに 2 倍の 63.02GB (x16) になり、同時にサービスを提供できるユーザーの数も、2倍の約25,200人 へと跳ね上がります。つまり、PCIe 5.0 サーバーを選択すれば、全体的なサーバー展開の数を大幅に削減できるため、調達コストが削減され、電源やメンテナンスなどのその後のコストも間接的に削減可能です。
サーバーで使用されるPCIeの仕様が4.0から5.0にアップグレードされると、サービス提供可能な人数が増加し、総調達コストを削減できますが、品質の確認や検収の面で非常に重要になります。高速信号は 16GT/s から 32GT/s へ2 倍になり、設計上の課題だけでなく、信号品質の検証もより困難になります。PCIe 5.0 の信号品質要件を満たすには、設計で次のことを考慮する必要があります。
- PCBの材質は、高周波に適合するPCB材質を使用する必要があるかどうか
- 実際の設計では、信号線が長いためRedriver IC を使用する必要がある
- サーバーライザーカードに接続される高周波ワイヤーおよびコネクターの高周波品質が、その要件を満たし信頼できるものでなければならない
劣悪な信号品質では、サーバーが PCIe Gen5 の速度で動作しないため、サーバーの持つ性能を十分に発揮できません。その結果、サービスを受けるユーザー数が減少し、システム全体がビジー状態となり、サービスの遅延やユーザーエクスペリエンスの低下につながってしまいます。
信号品質の検証では、送信機のアイパターン測定と受信機のビットエラーレートテストが基本項目となります。この 2 つの項目検証で使用される機器は、帯域幅50GHzのオシロスコープと 32Gbps のビットエラーテスターであり、これら 2 つの機器への投資には1億6000万円が必要となります。また、テストツールの開発も課題であり、一般的なテストツールには高周波テストに対応できません。アリオンは、上記2つの設備に投資できる数少ない企業の一つであり、高周波テストツールの設計能力も兼ね備えたラボとなります。
PCIe Gen5テストツールで試験効率向上ーおすすめのツール3選
アリオンは、CEM、M.2、EDSFF E1/E3、OCP NIC 3.0 など、PCIe Gen5 向けのすべてのform factorテストツールを開発しました。また、アリオンはテストツールユーザーとして、市場に流通している他のテストツールでは、使用感と構造への信頼性の点でユーザーを満足させることができないことを理解しています。そのため、高品質条件下で、テストツールの構造への信頼性と優れたユーザーエクスペリエンスを同時に満たすため、開発時に専用コネクターとモジュール化したケーブルを特別に設計しました。
この他にも、全体的な調達品質検証の時間を短縮するために、アリオンは独自の PCIe Gen5 自動測定ソリューションも開発しました。最大40GHzの帯域幅を持つ高周波ハードウェアを使用し、自社開発したさまざまなform factorテストツールと自動実行ソフトウェアを搭載しています。さらに、このソフトウェアには下位互換性のある自動テストもあり、PCIe Gen1 〜 Gen5 スロット (x16)のテストが、テスト品質の一貫性を維持し、人為的エラーを回避しながら、テスト期間が全体で 5 日から 1 日に短縮され、5 倍のテスト効率を達成しています。
アリオンは、仕様要件の検証における豊富なテスト経験と、高周波自動測定ソリューションの開発能力を備えており、サーバープロバイダー、クラウドサービスプロバイダーなどといったバイヤーのお客様に短期間で対応し、QRS (Quality Requirement Standard) または RFP (Request for Proposal) の検証要件を完了させます。アリオンの豊富なテスト経験により、企業の調達部門の品質要件に関するコンサルティングサービスも提供しており、企業は最適なサーバー仕様を購入することができます。
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