セットトップボックス(STB)は、2012年に流行り始めたテレビインターネット端末装置が由来となっており、TVセットトップボックス、テレビボックス、STB、AV(Audio Visual)機器業界ではIRDとも呼ばれています。セットトップボックスに搭載されているOSは主にtvOS(Apple TV)、AndroidまたはLinuxなどがあり、Wi-Fiや有線ネットワークを介してインターネットに接続し、HDMIや色差端子を通して画面をテレビに表示します。インターネットに接続すると、従来の一般的なテレビでビデオ・オン・デマンドサービスの利用、Webサイト(Webページ)の閲覧、海外のテレビや映画の視聴、テレビゲーム機能の利用などが可能になります。
セットトップボックスは操作が非常に簡単で、価格も約$50~200ドルほどなので、一般人に幅広く受け入れられています。その影響を受け、より多くのスマートテレビの新商品がリリースされ、AndroidなどのOSを直接テレビ本体のマザーボードに搭載し、従来のセットトップボックスを内蔵するというトレンドが生まれましたが、価格も比較的高くなってしまいます。そのため、多くの家庭では、セットトップボックスをメインとしており、場合によっては異なるブランド(メーカ)のもので計2~3台のセットトップボックスを持っている家庭も珍しくありません。
また、現在市場には数十種類ものセットトップボックスがあり、消費者は逆にどのように機能が良く、安定した製品を選ぶか分からなくなってしまいます。今回試験した項目は、セットトップボックスの各種機能に対し、下記の4項目となります。
- 互換性
- ワイヤレスネットワークのパフォーマンス
- アンテナとノイズ耐性のパフォーマンス
- HDMI/CEC機能
それでは、まず、セットトップボックス/ドングルレシーバーの互換性の良し悪しを確認しましょう。これらの製品には、必ず接続しなければいけない設備が2つあります。1つ目はディスプレイ・モニターです。HDMIまたは色差端子を通して画面をテレビやモニター、スクリーンに表示して、操作や視聴を行います。2つ目はネットワーク設備(有線/無線)です。昨今では有線ネットワークポート(LAN port RJ45)を排して、直接ワイヤレスネットワークを使用するデバイスが多くあり、ワイヤレスネットワークを介してインターネットに接続することで、セットトップボックス/ドングルレシーバーの機能を拡大することができます。一般的によく利用される機能としては、動画ストリーミング配信サービスの視聴、SNS閲覧、ネット通話、オンラインショッピングなどがあります。
ディスプレイとインターネットの接続以外に、ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスキーボード・マウスなどのBluetooth搭載するデバイスも考慮しなければいけません。また、セットトップボックス自体にUSBポートが付いているものもあり、USBメモリや外付けハードディスクなどのストレージデバイスを繋いで音楽、動画や画像再生を行うこともできます。
セットトップボックスと無線アクセスポイントとの接続の問題点を確認するため、市販の家庭用アクセスポイントを50台用意し、セットトップボックス/ドングルレシーバーと接続し、以下のテスト項目を行いました:
– OOBE (out of box experience)
– 詳細接続(セキュリティ、チャンネル、バンド幅などの設定)
– 電源管理(スリープモードまたは再起動後に、再接続するかどうか)
ほとんどのセットトップボックス/ドングルレシーバーは正常に無線アクセスポイントと接続が出来ましたが、一部のものは以下のような接続問題が発生しました。
1. 無線アクセスポイントに特定のチャンネル、バンド幅またはセキュリティを設定すると接続ができない
2. 無線アクセスポイントの接続が切れた後、自動で再接続しない3. セットトップボックス/ドングルレシーバーのインターフェースにはワイヤレスネットワークの接続に成功しましたと表示されているのに、インターネットが使用できない
このような問題が発生した場合、ユーザーは製品に欠陥があると文句を言ったり、製品の設計が失敗していると考えたり、最終的には返品のリスクまたはブランドイメージも低下することになってしまいます。
またHDMIポートからテレビ/モニターへの接続テストでは、異なるブランドと型番のテレビ/モニターを30台用意し、以下のテスト項目を行いました。
– HDMIホットスワップ
– 画面表示
– 電源管理
試験結果から一部の製品に互換性の問題があることが分かりました。
1. 画面の表示が正常ではない(アンダースキャンあるいはオーバースキャン)
2. 電源投入/電源切断後、スクリーンに画面が表示されない
なお、セットトップボックスとBluetoothイヤホン・キーボード・マウスなどの接続は特に問題はありませんでしたが、パフォーマンス上かなりの遅延や効果音の遅延等といったことが判明しました。これに関しては、また別途Bluetoothパフォーマンスについての実測結果をご説明いたします。
セットトップボックス/ドングルレシーバーは昨今の普及率が一番高いと言える電子製品で、価格も安く、リーズナブルにご家庭の一般のテレビをスマートテレビに変えてしまうことができ、便利で簡単な操作で、見て楽しい、聴いて楽しいエンターテイメントで楽しみたい人々を満足させることができます。
アリオンは次回の記事においてセットトップボックスのワイヤレスパフォーマンスの比較や評価結果、ネットの速度、遅延および信号の送受信能力に対する影響などについて分析していきますので、乞うご期待!
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