電子機器の廃棄量を大幅に低減させるため2024年の秋から、電子製品は全面的にUSB Type-Cコネクタによる充電に変更すると、先日欧州連合(EU)で議会の決議を得て正式に法律が制定されました。これにより今後より多くの電子製品はUSB Type-Cインターフェースを採用すると予測されます。同時に、大容量のモバイルバッテリーやPD充電器の給電ニーズもその影響を受け、電力仕様が48V/5Aに引き上げられるでしょう。
充電の他にも、USB Type-Cはスマホ・タブレットなどの小型デバイスとパソコン間の接続に使用されています。また、USB Type-Cを使用することで、モニターやSSDもより高いデータ伝送速度、及びより多くの種類の通信プロトコルに対応することとなります。しかし、インターフェースが全面的に統一されると、デバイス間の接続は本当により便利になるのか気になるところです。
USB Type-Cを使用している多様な製品、そのケーブルのスペックもさまざまで分かりにくい
USB Type-CにはUSB 3、USB4、Thunderbolt 3、Thunderbolt 4…などさまざまなプロトコルが含まれていて、異なる製品の利用において、対応するUSBバージョンと速度も異なります(下表)。
どれもUSB Type-Cインターフェースが使用されていますが、プロトコルのバージョンと速度が違うため、最高のパフォーマンスを得るためには、システム/デバイス/ケーブルがマッチングしていなければなりません。また、異なるデバイスやシステムでは、必要になるケーブルも同じとは限りません。
速度の違いだけでも、USB Type-Cケーブルには以下のように区別されています。
データ伝送速度の向上に伴い、高速デバイスにおける給電ニーズもどんどん大きくなっているため、USB Type-Cもあらゆるスペックに対応せざるを得ません。USB-IFが2021年に発表したUSB PD3.1の規格で、供給できる電力を最大240Wまで大幅に増加させて高い給電ニーズに対応するためのEPR給電 (Extended Power Range)が定められました。以上の情報からも分かるように、ケーブルの規格とバージョンと速度の種類が多すぎて分かりにくくなっていて、どうしても消費者には、購入する際にどう選択していいか疑問に思われることも多くなります。
このような状況を改善するため、2022年3月にUSB-IFよりデータ伝送速度と対応供給電力を統合したケーブルロゴ認証プログラムが発表され、ケーブルの規格も改めて定義されました。今後、ケーブルにはバージョンの仕様は表記せず、「共通の速度と電力供給」で区別されます。
軽視できない!USB Type-Cケーブルの互換性問題
種類の異なる製品では、規格の要求も若干異なり、たとえエンジニアであっても直ぐには最適なUSB Type-Cのケーブル特定することができない場合があります。昔の「ケーブル1本で全て何とかなる」といった、適当なケーブルが1本あればあらゆるシステムやデバイスに適用出来る時代は過ぎ去りました。しかし、多くの消費者は日常生活における使用上、従来の習慣と同じように、USB Type-Cポートであれば全てのケーブルが共有できると思ってしまっています。そのため、速度と給電がマッチングしていなくても、正常な動作を維持するための最低スペックを維持できるようにしなければなりません。どのようなユーザーシチュエーションにおいても、基本機能でさえ正常に接続できなければ、消費者に使用上の不快感を与えてしまう可能性は非常に高いです。
あらゆる状況を網羅したアリオンのケーブル認証試験サービスで製品の早期リリースをサポート
アリオンは、USB、HDMI、DisplayPort、Thunderbolt及びCar Ethernetなど、多くの技術標準化団体より認定された試験ラボとして、最新規格の基準に従って、様々な認証プログラムの実施および技術コンサルティングをリアルタイムに提供します。お客様のケーブル製品の品質を適切に確認する役割を担い、認証の取得を全力でサポートします。
機能性テスト
- e-Markerについてテスト結果が仕様書と一致しているか
- スマホ/タブレット/ノートパソコン/モニター及び純正の充電器が純正のケーブル機能とマッチングしているかを確認
- eスポーツ/ビデオ・オーディオ/パワーマネージメント/拡張/給電デバイスの複数接続などの利用に関する、あらゆるユーザーシナリオテスト
相互接続性テスト
- 1500台を超えるさまざまなブランドのあらゆる型番のデバイスで、データ伝送の接続/給電・充電テストを行い、お客様の製品が市場における他ブランドのパソコン、MAC、タブレットやスマホなどのUSB充電デバイスと正常にデータ伝送/給電・充電ができるかを確認
- 異なるスペック間の接続とデータ伝送、さまざまなUSB PDのモードのテストを行い、互換性などの動作を確認
耐久性テスト
- 次世代のType-Cの活用では、高データ伝送/高電力のニーズが有り、高周波および高電圧・高電流での給電/充電下における耐久性と安定性はユーザーが注目するポイントとなるため、消費電力が高い製品の長時間充電/充電曲線の監視/高画質映像の長時間再生時の安定性などを確認
アウト・オブ・ボックス・エクスペリエンス(OOBE)
- 外観をはじめ、印字・表示、パッケージ内容、認証ロゴ・マーク、説明書、対応データ伝送速度および電圧電流などをチェック
上述のテスト項目以外にも、アリオンではお客様の製品向けにカスタマイズしたテストプランのご提案や競合他社品との比較テストを提供しています。より詳しい内容にご興味がある方は、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
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