Allion Labs/Franck Chen
前回の記事では、現在主流となっているワイヤレスサウンドバーの接続方法や潜在的なリスク、アリオンのテスト能力についてご紹介しました。 この記事では、引き続き関連するテスト結果と比較分析を共有します。
今回の実験では、S社、L社、K社の3台のサウンドバーを選んでテストしました。
テストタイプ
- 映像・音声の同期遅延 – 映像・音声同期のテストコンテンツを再生し、20回分の結果を集めました。
- Bluetooth音声のグリッチやドロップアウト(Glitch & Dropout) –音声を流しながら10分間監視しました。
サウンドバーのワイヤレス接続方法
- Bluetoothを介してテレビと接続
ワイヤレス環境
- 干渉がない環境
-2.4Ghzで接続するデバイスがない
- 干渉が混雑する環境
-2.4Ghz Wi-Fi AP X 1台
-テレビ/ノートパソコン/スマートフォン各1台ずつ2.4Ghz Wi-Fi APに接続
[Test-1] 映像・音声の同期遅延 – 干渉なし
2.4Ghzワイヤレスで接続するデバイスがない環境でテストし、3台のサウンドバーの映像・音声の同期状況を比較しました。
- ワイヤレス干渉がない状況下でK社の性能は悪く(註)、平均で-180ミリ秒程度です。
- 一方S社とL社の性能は普通でしたが、S社は当初性能が不安定で、実際にその間に出力された音声も異常でした(通常はビープ音が鳴りますが、このサウンドバーはポ、ポ、ポという音が出ました)。
※註:映像・音声が同期しているかの感知は、人によって多少感覚の違いがありますが、色々な協会で定められた基準から、次のような映像・音声の同期に関する基準をまとめました。+値は音声が映像よりも速いことを示し、反対に-値は音声が映像よりも遅れていることを示しています。
[Test-2] 映像・音声の同期遅延 – 干渉あり
次のテストでは2.4Ghzに接続した製品をいくつか追加して、ユーザーの使用シーンをシミュレートし、その影響を観察しました。
S社
2.4GHzで他のデバイスが使用されている場合、初期の映像・音声の同期が不安定であり、干渉がない場合よりも、音声出力でも異常な状況が深刻でした。
L社
2.4GHzで他のデバイスが使用されている場合、映像・音声の同期が影響を受けて不安定になりましたが、全体的には映像・音声の同期の深刻な遅延や、音声の異常出力の問題は発生しませんでした。
K社
2.4GHzで他のデバイスが使用されている場合、映像・音声の同期に対し明らかな影響はありませんでしたが、平均で約-190msの状況は依然として理想的なものではありません。
[Test-3] Bluetooth Audio Glitch & Dropout – 干渉あり & 干渉なし
次のテストでは、干渉がある場合とない場合で、3台のサウンドバーのサウンド出力品質を比較しました。
S社
他の2.4GHzデバイスがない環境では、音声伝送の品質に明らかな影響はありませんでしたが、最初は同じように異常音が出力されました。
L社
他の2.4GHzデバイスがない環境では、まれに異常なノイズが出力される場合がありました。2.4GHzデバイスがある環境では、影響を受けて異常が発生する頻度が大幅に増加しました。
K社
他の2.4GHzデバイスがない環境では、パフォーマンスが非常安定し正確でした。しかし、2.4GHzデバイスがある環境では、深刻な音声の異常が発生し、接続はできているのに音声が出ないという状況さえありました。
総合比較
下の表から、3台のサウンドバーにそれぞれ問題があることがわかります。総合的な性能はいずれも不合格です。
1. S社:再生初期に音声出力で異常が発生し、干渉がある環境下では状況が悪化します。
2. L社:音声再生の品質が不安定で時折ノイズが発生し、干渉がある環境下では状況が更に悪化します。
3. K社:映像・音声の同期に問題があって大きく遅延し、干渉がある環境では音声の出力品質に深刻な問題があります。
まとめ
以上の簡単な実験から、軽度な干渉だけでもワイヤレス製品に大きく影響を受けることが分かりました。現実の生活にはより複雑で過酷なワイヤレス環境があり、より深刻な結果を引き起こす可能性があるでしょう。製品設計段階に全面的な検証と確認を事前に実施しなければ、ユーザーが実際の使用する際に、不良なユーザーエクスペリエンスに繋がります。
アリオンには専門のテスト環境および設備を保有し、豊富な製品検証の経験があり、総合的な製品品質関連の検証ソリューションを提供しています。これ以外にも、お客様のご要望に応じて、関連するテストの実施と不具合分析にも対応可能です。ユーザーエクスペリエンスの向上の面でもコンサルティングサービスを提供しています。
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