Allion Labs/Franck Chen
ATSC 3.0とは?
世界各地で様々なデジタルテレビシステムが使用されています。その中で、主に従来のNTSCアナログ信号に取って代わり、ATSC (Advanced Television Systems Committee) 規格が北米と韓国で採用されています。近年のコード・カッティング(cord-cutting)という大きなうねりに加え、衛星やビデオストリーミングプラットフォームを通じて、多くの高スペックなビデオが利用可能となったため、ワイヤレスで伝送され、無料で入手できるワイヤレステレビ放送に人々は注目しています。この利点を活用して5Gと組み合わせ、より多くのアプリケーションを開発され、新世代のATSC 3.0が誕生しました。
図:現在グローバル市場において 4種類のデジタルTV規格が存在します
ATSC 3.0はNext-Gen TVとも呼ばれています。この2つの違いは、ATSC 3.0は技術的な名称で、主にAdvanced Television Standards Committeeによって定義された基準を、Next-Gen TVはConsumer Technology Associationが策定した商品名と認証マークを、それぞれ表しています。2022年末までに全米の信号カバレッジは75%に達し、ATSC 3.0に対応したテレビとセットトップボックスの年間販売台数は、約450万台に達すると推定されています。以下では、視聴者と放送局にとって、ATSC 3.0がどのような驚くべきアップグレードとビジネスチャンスがあるかをご紹介します。
(Source: ATSC公式サイト)
ATSC 3.0がもたらすメリットとビジネスチャンス
ATSC 3.0は、IP(Internet Protocol)通信ネットワークに基づく伝送規格であり、ワイヤレステレビのビデオ伝送品質や、モバイルデバイスの受信能力とスペクトル効率を向上させることができます。放送とブロードバンドの両方のネットワーク特性を備えており、無線放送事業者はより多くのアプリケーションとサービスコンテンツを提供することができます。視聴者にとって最も直接的なメリットは、4K HDR、Dolby ATMOS、DTS:Xの高スペックな番組や生放送、インタラクティブなデジタル番組を無料で視聴し、リアルタイムで災害情報などのアラーム情報を受信できることです。
(Source: ATSC公式サイト)
その大きな発展の潜在的な可能性を5G通信と組み合わせれば、以下の様な、より多くのアプリケーションとビジネスチャンスを放送会社に生み出します。
1. 5Gネットワーク機能を使用して場所、世帯、さらには個人を対象としたインタラクティブな広告を配信することで、新しい広告収入を獲得します。
2. 自動運転やスマート農業、あるいはリモート教育・医療など、その他革新的なブロードキャストインターネットサービスを提供します。
3. AIロボットやドローンを使って、スポーツイベントやニュースのマルチアングル映像を提供したり、屋外で地図をダウンロードするなど、幅広いIoTアプリケーションを利用することができます。
4. 5GとATSC 3.0を組み合わせることで、従来の5G通信では建物内で受信しづらいという問題を解決することができます。
➞以下は、ATSC 3.0と5G通信技術を組み合わせて、車載テレビサービスを展開した応用例の1つです。
(Source: SK Telecom公式サイト)
しかしながら、前述の5Gとテレビ放送を組み合わせたアプリケーショントレンドや膨大なビジネスチャンスは、現時点でまだまだ初期段階であり、今後も追跡が続けられるでしょう。この記事では、最初にATSC 3.0信号自体と関連する家庭用製品に焦点を当て、潜在的な問題を探っていきます。
家庭用ATSC 3.0製品のエコシステムとアプリケーションシーン
1. ATSC 3.0チューナー内蔵のスマートテレビ
アンテナで受信した信号が同軸ケーブルを介してスマートテレビに直接接続され、チャンネルスキャンと番組の視聴を行います。テレビは、HDMIやBluetooth接続のサウンドバー/AVRを介して音声を出力します。
2. ATSC 3.0チューナー内蔵のセットアップボックス/ビデオレコーダー
セットトップボックス/ビデオレコーダーをルーターに接続した後、有線または無線で同じネットワークドメインに接続されたすべてのデバイスを使い、対応するソフトウェアやWebページを介して、チャンネルスキャン/視聴/録画(内蔵HDDまたは外付けHDDに保存)を実行することができます。
3. ATSC 3.0チューナー内蔵のゲートウェイセットトップボックス
HDMI経由でセットトップボックスをテレビに接続して操作/視聴が可能で、ワイヤレスで他のデバイスをセットトップボックスに接続し、対応するソフトウェアまたは Webページを介して、チャンネルスキャン/視聴を実行することができます。
潜在的な問題はあるか?
■ 音声
1. ATSC 3.0チャンネルにオーディオ出力がない。
2. ATSC 3.0チャンネルの音声にリップシンクの問題がある。
3. ATSC 3.0チャンネルを圧縮した後、音量調整を保存できない。
4. ATSC 3.0チャンネルでメニューをブラウジングすると、ビープ音が鳴る。
■ 画像
1. ATSC 3.0チャンネルの画面が点滅する。
2. ATSC 3.0チャンネルのクローズドキャプションが利用できない。
■ 録画
1. 録画番組の内容が不十分である。
2. 予約した録画が開始されない。
3. 録画が完了すると、録画リストが空になる。
■ UX/UI
1. 1. オプションがフルスキャンだけで、シングルスキャンや追加オプションがない。
2. ATSC3.0の信号レベル情報がない。
3. 一部のセットトップボックスがWi-Fi接続にだけ対応し、HDMI出力をサポートしておらず不便である。
■ 性能
1. ATSC 3.0チャンネルの視聴中に、ATSC 3.0アプリがクラッシュする。
2. ATSC 3.0チャネル間のザッピングで、遅延がよく発生する。
■ チャンネルスキャン
1. HDMI/BTを介したATSC 3.0テレビとAVR/サウンドバー間の接続がスムーズにできない。
2. ATSC 3.0 STB/DVRとHDMI経由のテレビとの接続がスムーズにできない。
3. USBを介したATSC 3.0 STB/DVRとストレージデバイス間の接続がスムーズにできない。
4. ATSC 3.0ゲートウェイSTBとAP、テレビ、スマートフォン、タブレットの間のWi-Fiによる接続がスムーズにできない。
まとめ
「良い仕事をするためには、まず良い道具を準備する必要がある」と言われていますが、アリオンはテレビ検証テストの専門家として、お客様に最高のテスト品質とサービスを提供するために、長年にわたって様々な専門機器に継続して投資し、世界中の最新テレビ信号を保有します。
信号記録の手配だけでなく、アメリカにも拠点を設けて専用のテストフィールドを持っており、本物のATSC3.0信号と環境をお客様に提供することができます。
上述した専門的なテスト設備と環境に基づき、お客様の製品タイプとニーズに応じて、カスタマイズされたテストサービスを提供できます。
- ATSC 3.0 FT / VFT
- PQ / AQ 検証テスト
- Recording / PVR検証テスト
- UX / UI 設計コンサルティング
- HDMI /BT / USB / Wi-Fi 製品の相互接続性テスト
- 無線干渉テスト
- ユーザーシナリオ検証
- 遅延 / ストレス/ 性能評価 AIソリューション
本記事の内容やテストに関してご質問などございましたら、アリオンのお問い合わせフォームからお問い合わせください。
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