Allion Labs / Ralph Liao 

 

VRRとは?

VRR(Variable Refresh Rate)または可変更新レートは、この技術でテレビや画面のリフレッシュレートを自動的且つ即座に調整し、PCグラフィックカードやゲームコンソール (フレームレート) が出力するフレームレートに一致させることを指します。これは、画面が異なるフレームレートに応じて対応する画像を出力できることを意味し、ゲーム中にフレームレートが上がったり下がったりしても、画面をスムーズに動作させること保証するものです。

画面上の画像更新がPCグラフィックカードの伝送速度と同期していない場合、画面にティアリングが発生します。画面のティアリングは、視覚的な感覚の問題であり下の図に似ています。同じ画面で、下半分の画像が上半分の画像と同期して表示されず、切り取られたように表示されます。

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ゲームは毎秒60フレームのレートで出力され、複雑なシーンではフレームドロップが発生することがあります。VRRをサポートしていない画面を使用する場合 (通常固定の更新レートは60Hz)、グラフィックカードによって落とされたフレームレートが毎秒60フレームを下回ると、画面とグラフィックカードの間で同期されない事象が発生し、画面のティアリングが発生します。逆に、使用する画面がVRRをサポートしている場合、画面のリフレッシュレートはシーンの複雑さによって変わります。グラフィックカード側は、グラフィックカードのリフレッシュレートに合わせて異なるフレームレートを出力するため、画面のティアリングが発生せず、ゲーム体験が向上します。

 

VRRをサポートしているテクノロジーは?

現在、NVIDIA G-Sync、AMD FreeSync™、VESA AdaptiveSyncの3つのテクノロジーがあり、以下で一つずつ説明します。

 

NVIDIA G-Sync

グラフィックカードと画面のリフレッシュレートを処理するために、NVIDIA社は比較的早くにG-Syncテクノロジを発表しました。これはハードウェア側のソリューションで、画面のハードウェア内に制御チップを追加し、ビルトインのバッファメモリがNVIDIA GeForceグラフィックカードと通信します。G-Syncチップがグラフィックカードから画面数を読み取り、グラフィックカードのパフォーマンスレベルに応じて、画面のリフレッシュレートを自動的に調整し、グラフィックカードの出力を同期します。画面のリフレッシュレートがサポートされている限り、リアルタイムで0~240 Hzの間で動的に調整され、最高のゲーム体験を実現することができます。現在までのところ、NVIDIA社は、下図に示すようにG-Sync が3つのレベルに分かれていることを公式に発表しています。

NVIDIA G-Sync

Source:NVIDIA社公式サイトより

 

AMD FreeSync

AMD FreeSyncはNVIDIA G-Syncよりも後に発売され、その基本的な機能はNVIDIA G-Syncと似ています。唯一の違いは、AMD FreeSyncは画面に別のチップを組み込む必要がないことです。AMD Free-Syncは接続インターフェイスの標準化から始まり、業界標準のDisplayPort Adaptive-Syncを統合しているため、DisplayPortインターフェイスを介して、リアルタイムで画面のリフレッシュレートを調整することができます。

AMD FreeSyncはHDMIインターフェース仕様にも対応していますが、NVIDIA G-SyncはDisplayPortインターフェースにしか対応しておらず、AMD FreeSyncの対応範囲が広いとなります。AMD社は、FreeSyncについて公式サイトより、以下の3つのレベルを発表しています。

AMD FreeSync

Source:AMD社公式サイトより

 

VESA AdaptiveSync

VESAはVESA DisplayPort 1.2a規格以降、主に画面の遅延と画像のティアリングを改善するために、仕様の中でAdaptiveSyncを定義しています。

AdaptiveSync 基準は主にAMDが参加して策定しているため、FreeSyncのメカニズムもAdaptiveSyncの中に追加されています。グラフィックカードとモニターの両方がAdaptiveSyncをサポートしている場合、DisplayPortインターフェイスのEDID / Display IDとDPCD(DisplayPort Configuration Data)のリンクトレーニングで、AdaptiveSync機能を有効にすることができます。この機能は、グラフィックカードのFPS(Frames Per Second、1秒あたりの画像転送フレームレート) に従って、画面自体のリフレッシュレートを自動的に調整します。この自動調整機能をVRRと呼び、機能としてはAMD FreeSyncやNVIDIA G-Syncと同じで、この方法で画面の遅延や画像のティアリングなどの問題を改善することができます。

AdaptiveSync

Source:VESA公式サイトより

 

MacもVRRに対応可能!?

Mac OS 12 Montereyのリリース後、MacがついにAdaptiveSyncをサポートすることが確定し、ユーザーは表示コンテンツに応じて、画面のリフレッシュレートを動的に更新できるようになりました。ただし、Appleが公式に発表した情報によると、現在この機能をサポートしているのは次のMacシステムだけです。詳細はApp社の公式サイトよりご確認いただけます。

- MacBook Pro (13-inch, 2020, Four Thunderbolt 3 ports)

- MacBook Pro (16-inch, 2019)

- MacBook Air (Retina, 13-inch, 2020)

- iMac (Retina 5K, 27-inch, 2020)

- Mac Pro (2019) when used with any of these Radeon Pro MPX modules: W5500X, W5700X, W6800X, W6900X, or W6800X Duo

また、最高のパフォーマンスを発揮するために、現在のところThunderbolt/USB Type-Cケーブル、またはUSB Type-C – DisplayPort変換アダプターを使用した画面接続のみサポートしており、HDMIインターフェイスまたはUSB Type-C – HDMI変換アダプターを使用してHDMIモニターに接続する場合は、VRR機能を有効にすることはできません。

 

アリオン、世界初のVESA AdaptiveSync認証プログラムの公式認定試験機関

MacにおけるVRRの実際の効果と、Windowsとの違いについては、次の記事で詳しく紹介し分析します。アリオンは検証分野で長い間経験を積んでおり、VRRのゲーミングモニターや、様々なレベルのハイエンドゲーミンググラフィックカードに対応する設備を幅広く揃えております。また、HDMI、DisplayPort、VESA DisplayHDR、VESA ClearMRなどのモニター関連の認証サービスに加え、製品開発プロセスのどの段階であっても、アリオンはお客様の多様なニーズに最適なソリューションを提供します。

以上のテストを実施するだけでなく、お客様の製品に最適なテスト項目の策定、競合他社製品との比較テストなども対応することが可能です。本記事の内容やテストに関してご質問などございましたら、アリオンのお問い合わせフォームからお問い合わせください。

 

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