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2016年 SSD技術のトレンドと今後の発展

2016年はSSDにとって飛躍の年になりそうです。SSDは、これまでストレージ業界の主流だったHDDと比べると様々な優位性を持っています。データへのアクセスが速いこと、機械的な動作がないため外部からの衝撃に対する耐性が高いこと、騒音と発熱の問題のどちらもHDDに比べ小さいなど、様々な点を挙げることができます。ここ数年、半導体の製造プロセス技術の急速な進化の後押しを受けSSDの記憶容量は急激に成長し続けており、容量単位の価格もそれに伴い下降し続けています。このような状況により、SSDは高性能、高容量、低価格の3つの利点を併せ持ったことで、現在のストレージ市場の主流となっています。 アリオンはSSD Alliance(略称SSDA)のメンバーとしても活動しています。今回の記事では、SSDAにおける活動で得た2016年の中華圏におけるSSD業界の展望と、各メーカーの技術開発、およびSSDAの会員企業の動向について記載します。SSDA会員企業には、ワールドワイドでメモリーモジュールの販売を行っているADATA Technology(以下ADATA)、フラッシュメモリとDRAMストレージの産業用制御プロダクトのリーダー的なブランドであるATP Electronics(以下ATP)、高速インターフェイスのSSD制御チップの技術開発とサービスを提供するMaxiotek Corporation(以下Maxiotek)、そして中国市場で重要なポジションを占めるSSDメーカーである深セン市金勝電子科技有限公司(KingSpec/金勝維、以下KingSpec)などが所属しています。 今回の記事では主なトピックが4つあります。1つ目は、一部メーカーで容量の大きな2D TLC NAND Flashが採用され始めている点。2つ目は、3D NANDのポジション争いが2016年後半に起きる点。3つ目は、PCIe/NVMeインターフェイスの製品がストレージ性能を全面的に向上させる形でリリースする点。最後に4つ目は、産業用制御と企業用SSDに対する市場の要求が拡大している点についてです。 SSDの主流が2D TLC NANDに移行 SSDの材料コスト(BOM [...]

産業用コンピュータのSSD品質検証 4つのポイント

アリオンはSSD分野における検証実績を豊富に持っています。今回は産業用コンピュータ(IPC:Industrial PC)で使用されるSSDの品質検証とパフォーマンス検証についてご紹介いたします。  産業用コンピュータとSSDを取り巻く環境とは  産業用コンピュータは現代社会において、自動車・ゲーム機器・航空・医療・軍事・通信・サーバ設備といった幅広い分野で活用されています。ガートナー社の調査によると、2014年では1200万台だったIPCの出荷台数は、2017年には1500万台近く出荷されると予想されており、およそ3年で25%もの成長を遂げる分野であると見込まれています。 そんな中、世界経済の中でも存在感を示しているのが中国市場です。中国では90年台からIPC分野に積極的な参入を続けており、IPCベンダーが続々と誕生しました。中国市場と世界市場におけるIPCの発展比率の比較(図1)を見ると、中国市場ではインフラ整備とエネルギー分野への投資が大きな比率を占める一方で、医療設備への投資比率が低いことが分かります。2014年時点で、中国政府は鉄道システムの構築を36都市で計画しており、中国国内のIPCベンダーがその開発を担いました。各大都市の鉄道システムへの投資金額は5億7000万人民元(日本円で約109億円)にのぼる見通しです。 IPC市場 世界市場比率 中国市場比率 産業自動化 48% 21% インテリジェントサービス 8% 11% 鉄道・インフラ [...]

エンタープライズ向けストレージの傾向とSSD性能検証

エンタープライズ向けストレージ機器の変化 昨今、小さくスリムなIT製品が市場を席巻しています。スマートフォン、タブレットからウェアラブルデバイスなどの製品は、個人の行動パターンを変えただけではなく、多くの企業を新しい経営形態へと発展させました。新しいテクノロジーがもたらした利便性に対処するために、リアルタイムでのデータ保存、情報の素早いシェアといった技術の重要性が高くなっています。 多くの企業は大量のデータ保存と読み書きを常に必要としています。多数の製品とサービスを支えるために不可欠なバックボーンとして、クラウドサーバは最も重要な役割を果たします。 一般的な企業におけるエンタープライズレベルのシステム運用は、大きく分けて企業内部の情報システム部門とクラウド・ネットワークサービスの二種類に分けることができます。前者は会社内部で構築、運用、利用している場合とデータセンターに管理を外注している場合があり、利用者は主に社内の人か特定のクライアントです。後者はデータセンターを構築、運用することで、不特定多数の一般ユーザーに情報サービスの提供することができます。 両者は規模と利用対象者に違いがありますが、エンタープライズレベルの運用品質としては両者とも一般家庭や個人システムより遥かに高いもので、24時間体制の高い信頼性と利便性を誇り、大量のデータを大量に保存と読み書きが可能な高いパフォーマンスと安定性を持っています。 エンタープライズ向けストレージシステムの管理において重要なのは、サーバそのものです。ビジネスユースのサーバは、主に演算処理、保存、ネットワークの三つに機能が分かれています。このうち、現在では演算処理速度(CPU、RAM)が保存速度より遥かに高いため、各企業は研究開発のリソースをストレージに投入することで全体のパフォーマンスの向上を図っています。 ソリッドステートドライブ(SSD: Solid State Drive)はその性質上、読み書きがデジタル信号で且つマルチチャンネルで行われるため、ハードディスクドライブ(HDD: Hard Disk Drive)が持つ機械特有の制限がなく、読み書き速度もHDDより早く、消費電力も低く抑えられます。しかし、NAND Flashは単価が高価な上、信頼性と寿命について考慮すべき点があるため、これまではビジネスユースのシステムとしては積極的に利用されていませんでした。 それが、近年ではNAND [...]