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モノとモノとが結ばれる、ユビキタスなIoTの世界

いま、注目されている言葉、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)というと、耳にしたことがある人は多いことでしょう。しかしIoTをどう言い表すべきかとなると、多くの人は言葉に詰まるのではないでしょうか。近頃の技術関連メディアはIoTの時代到来を喧伝し、市場規模が数兆ドルに達するとまで説明するところもあります。一方でIoTがどんな影響をもたらすか、よくわからないという人は多いでしょう。一体、IoTは私たちの暮らしとどんな関係があるのでしょうか。将来の産業、仕事、生活は、どう様変わりするのでしょうか。 アリオンでは、8月に本ブログに掲載した「IoT分野で注目の集まるスマートホームソリューション」で、数多くのIoTの特性を取り込んだスマートホーム用デバイスについて紹介しました。家庭でIoTが活用されることで、より生活が便利になると解説しました。今回の記事では、IoTの奥の深さについて解説致します。市場への参入、競争といった角度の異なる切り口から市場でのビジネスチャンスを読み解くことで、将来の流れを判断し、これからIoTの成長が期待できる分野を分析しています。アリオンは、IoTを成長させる要素の探求、そしてIoTの持つさまざまな可能性の予測を通して、企業が将来における市場の変化に対応するためのお手伝いをしたいと考えています。   みんなの暮らしを変えるIoT IoTはその名のとおり生活の至る所にある(つまりユビキタス的な)設備や施設を、無線または有線によってインターネットと接続し、それぞれの設備、施設、モノが相互に通い合うようにすることで、暮らしをよりよくすることを目的としています。最近、センシング機能やネット接続機能をもつ電子製品が次々と市場に出ています。その重要な先駆けとなったのがスマートフォンで、その機能はいずれもIoTへの対応を念頭に置いて誕生しており、次第に人の衣食住、移動や娯楽の面倒まで見るようになりました。実際のところ、IoTはずいぶん前から人々の暮らしの中に入り込んでいるため、もはや単なる呼び名ではありません。徐々に身の回りに現れ、目立たないうちに人々の暮らしを変えています。     全面的なIoTがもたらす新たな成長  「すべてのモノはネット接続が可能」という概念は、IoTの発展に限界がないことを示しており、設備や用品はいずれもIoTの一員になり得ます。企業管理コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)のデータによると、2025年におけるIoT関連産業の規模は3.9兆から11.1兆ドルにのぼると予想しており、その応用分野の一位と二位に、医療介護と製造業を挙げています。これは、2025年にはIoTによりユビキタス社会が達成されることを意味しています。   長期にわたりIoTの発展に注目してきた市場調査機構のガートナー社のデータ(下図参照)によると、IoTデバイスは2020年に260億個になり、1.9兆ドルの経済価値を生むと予想しており、その一位と二位は製造業と医療介護で、これはマッキンゼーの予測と一致しています。2014年の37億個に較べると、毎年35%の成長という計算になり、このような高成長の市場はほかには少なく、かなり大きな商機と利潤を生み出すと見ています。 [...]

スマートウォッチ市場動向:市場の主流商品となるか?

ウェアラブル市場は、最近のIT技術分野で最も話題を集める製品分野となりました。これらの機器群はますます使い勝手が良くなっており、以前はスマートフォンやタブレットといった、モバイル機器でしか利用できなかったようなメッセージ機能やビデオ通話といった様々な機能が追加されています。今回アリオンでは、ウェアラブル市場におけるスマートウォッチの動向を観察し、IT機器市場における主力製品となり得るかどうかを検討しました。 2015年、ウェアラブル市場の注目株 -スマートウォッチ 市場調査機関であるIC Insightsは、ウェアラブル端末の成長力について、モノのインターネット(IoT)の市場とその他関連分野(コネクテッド・カー、スマートホーム、産業インターネット、スマートシティ)と比較して増加が著しいことを指摘しています。IoT全体の市場規模は2015年には642億米ドルに達することが予測されており、成長率は前年度比で約29%です。その中でウェアラブルシステムについては、2015年で61億米ドル、成長率は約455%にも達する見込みとなっています。 IoT市場の各営業収入予測 (市場調査機関IC Insightsから引用) IC Insightsがウェアラブルデバイスの潜在成長力を大きく評価している要因は、2015年4月に発表されたAppleの初のスマートウォッチ製品であるApple Watchにあります。Apple Watchの発表は、ウェアラブルデバイスに関連する半導体コンポーネント(IC、センサーなど)の出荷量と販売額の短期間による大きな成長につながりました。しかし、スマートウォッチの成長動向については異論もあります。このような種類の製品が、デバイス市場の主流製品になれるかどうか、あるいはすぐさま消えてしまうニッチ製品なのか、まだまだ観察が必要です。 大手企業によるスマートウォッチの推進 市場価値が急上昇 Apple Watchが2015年4月中旬に販売開始されて以来、スマートウォッチ市場は大幅に成長しています。しかし、成長利益の大半はAppleが抑えている状況です。市場調査会社Strategy [...]

SD UHS-IIインターフェースの登場によるIoTの新たな可能性とは?

私たちの日常生活の中で、モバイル機器はもはや必要不可欠です。しかし多くの場合、モバイル機器内部のメモリ容量は不足しがちです。そして残念なことに、写真や動画撮影、アプリケーションのダウンロードなどにより、メモリ不足の問題は改善されるどころか悪化するばかりです。多くのユーザーはこの問題を解決するために、SDカードを利用して容量を増やしています。統計データによると、スマートフォン全体のうち75%がマイクロSDスロットを搭載しているようです。多くのモバイル機器にとってSDカードは重要な機能の一つであるといえます。SDメモリ技術の業界団体であるSD協会(SD Association、以下SDA)は、絶え間なく増大する要求に対してSDカードの仕様やプロトコルの改善を継続的に行っています。 SDカード概要 元々、SDカードは記憶媒体の主流商品でしたが、市場では転送速度の遅さやデータ容量の少なさ等がネックとなっていました。しかし、最近では記憶容量や転送速度が大きく改善したSDカードが登場しています。SDAはSDカードを記憶容量、フォームファクター、そして読み書き機能などにより、細かく分類しています(下図参照)。例えば、SDIOカードは単にデータ記憶容量を拡大するだけではなく、インターネット対応やGPS、カメラ、Wi-Fi、FMラジオ、無線LAN、バーコードスキャナー、そしてBluetoothのようなホストデバイスとしての機能を追加しています。   UHS-IIプロトコル – 超高速SDカード規格 近年、上海で開催された世界最大級の携帯電話関連の展示会である『Mobile World Congress(モバイル世界議会)』で、SDAは最新インターフェース規格であるSD UHS-IIを紹介しました。UHS-IIは、従来のUHS-Iと比較して約3倍となる最大312MB/sのデータ転送速度を備えています。 UHS-IIカードでは、下図の赤丸部分に新たなピンを追加することで、高速転送速度を可能にしています。一列目のピンはUHS-I信号を転送し、二列目のピンで主にUHS-II信号を転送しています。つまり、従来のUHS-II非対応のホスト機器に対しても下位互換を備えています。 Source: https://www.sdcard.org 最新のカメラでは3600万画素以上の写真を撮影することができます。UHS-IIでは、たとえばハイレゾ画質の写真や4Kビデオキャプチャといった大容量データを、ものの数秒で転送することができるのです。高速データ通信速度は、携帯ゲーム機やエンタメ製品、そして各種アプリにも高いパフォーマンスで応用することができます。   IoTにおけるSDカード [...]

IoT分野で注目の集まるスマートホームソリューション

台湾経済日報(Economic Daily News)が主催するイベント、台湾テクニカルフォーラム2015(The 2015 Taiwan Technical Forum)が7月28日に閉幕しました。今年のメイントピックは「モノのインターネット(IoT)」に関連するデバイスとアプリケーションでした。とりわけ、IoT分野の中でも最も注目を集めているのが、『スマートホーム』です。我々の生活において身近に使用されるこれらのデバイスは、近年、様々なメーカーが対応デバイスを作り出しており、新たなビジネスチャンスを掴むべく市場を拡大させています。 スマートホーム市場は成熟が早いことから、2016年中にはスマートホームデバイス需要増大が見込めるとメーカー各社は予測しています。市場シェアを効率的に獲得するためには、マーケティング戦略に注力するだけではなく、製品性能や安定性、互換性といった部分にも注力する必要があります。   Smart Home Market   例えば、パーソナルヘルス・フィットネスに絡む多くのデバイスは、無線ネットワーク技術を取り込むことで、より“スマート”なデバイスへと進化する潜在性を持っています。国際的なヘルスケア機器の標準規格であるコンティニュアは、体温計や血圧計などのヘルスケア機器と、携帯電話やPCなどのIT機器との間によるシームレスな接続を促す技術規格であり、日常生活で得られた身体測定データを活用した生活習慣病の予防や、慢性疾患の管理等を簡単に行うことができる環境の構築を目指しています。このため、あらゆる種類のスマートデバイス群が互いに通信できるよう、技術を標準化することにスマートホームの将来性がかかっていると考えられています。 近年、大手ブランド各社はスマートホームデバイスを次々と発表しています。 [...]

リアルな生活環境をシミュレート、アリオンの新たなスマートホーム検証

「デジタルホームの時代」と呼ばれて久しい昨今では、好きな時間にテレビ番組を見たり、世界各地とボーダレスに繋がったり、タブレット型端末で新しい知識を学習したり、オンラインゲームを自由に楽しんだりすることが、インターネットを通じて簡単に実現できるようになりました。こうした中、モノのインターネット(IoT)やクラウドサービス(Cloud Service)といった新たな技術や概念が登場することで、「デジタルホームの時代」から「スマートホームの時代」へと移り変わり、より高性能かつ多機能な製品が以前にも増して求められるようになりました。 一般的な家庭では、一台の多機能通信端末を設置するだけで簡単にデジタル家電製品を利用することができるようになりました。アップルのHomeKitプラットフォームや、パナソニック、大和ハウス、トヨタホームといったスマートホームを推進するメーカーが、数多くのスマートホーム関連製品を発表しています。例えばドアや窓の防犯システム設定や、キッチンのガス探知機の始動、電灯の明るさや消灯スケジュールの設定など、スマートフォンを通じて様々な操作が可能です。省エネ、安全性、自動検出といった家庭環境がアプリケーションを通じて直感的に操作できるようになるのです。 スマートホームの概念を実現し普及するために、製品メーカーに対しては製品の通信性能や製品の安定性、製品同士の接続互換性などの品質が市場から厳しく求められるようになっています。こうした中、アリオンのような専門的な検証ラボで品質確認を実施することは、製品品質の向上を実現するために最も有効な手段の一つなのです。 アリオンのスマートホーム検証 アリオンでは、スマートホームを利用した生活環境をカスタマイズした検証プログラムを開発しました。この検証プログラムは、スマートホームにおける主要な機能である「クラウドサービスとデータ交換」(Cloud Service/Data Exchange)、「ユーザーインターフェース/アプリケーション」(UI/APP)及び「エンドユーザーデバイス」(End User Device)に対する検証から主に成り立っています。製品メーカーがエンドユーザーに最高の体験を提供できるよう、各開発段階における技術的なコンサルティングサービスを提案しています。 図1:アリオンのスマートホーム検証 アリオンのスマートホーム検証サービスは、主に下記の検証サービスを提供しています。 ハードウェアの開発サポート ソフトウェア/アプリ検証、およびユーザーエクスペリエンスの最適化 クラウドサービス検証 [...]