Tag Archives: 評価

USB4とThunderbolt 4に関する規格の違いはきちんと把握できていますか?
USB4とThunderbolt 4に関する規格の違いはきちんと把握できていますか?

USBの移り変わり  USB(正式名称:ユニバーサル・シリアル・バスUniversal Serial Bus)は私たちの生活の至る所で見られます。現在のテクノロジー製品において最も普及しているデータ伝送インターフェースで、パソコンとスマホおよびさまざまな周辺機器、更に他の分野の製品に発展し幅広く使用されています。USBはさまざまなパソコンの周辺デバイスとの接続問題を解決するために、IntelとMicrosoftが提唱したのが最初で、プラグアンドプレイを設計目標としていました。1996年にUSB 1.0が発表され、そのデータ伝送速度が1.5Mbps(Low-Speed)と12Mbps(Full-Speed)でしたが、当時はまだ市場で普及していませんでした。   USB 2.0 2000年にUSB 2.0の時代となり、理論上のデータ伝送速度は480Mbpsとなり、USBインターフェースに対応しているパソコンの普及に伴い、USBも徐々にパソコンの標準インターフェースとなり、同時にこの時期は下図のように目まぐるしくさまざまなUSBインターフェースが出始めた時期でした。   USB 3.0 2008年にUSB 3.0が発表され、理論上のデータ伝送速度5Gbpsに大幅にアップされました。同時に下位スペックのUSB 2.0との互換性も取れるようになったのですが、そのUSBインターフェースはUSB 2.0と比べると若干異なっており、種類が乱立しました。 [...]

デスクトップPCのWi-Fiパフォーマンスの問題点と具体策(上編)

近年では、無線LAN(Wi-Fi)とBluetoothの両方を搭載したデスクトップPCが増えています。自宅やオフィスに接続できるネットワーク環境が整っていれば、Ethernetケーブル(LANケーブル)がなくても、インターネットに接続できるのが大きなメリットがあり、利便性が高くなります。 ユーザー側で従来より快適なネットワーク環境を利用できる一方、ODM(メーカー)側にとって開発の難易度とコストが増してきます。デスクトップPCメーカーの開発チームメンバーは電子関連の専門知識を背景に持っているのが一般的ですが、有線信号(LAN)と無線信号(Wi-Fi/Bluetooth)に対する通信品質を確保するよう、専門のRFチームを構成し、無線周波数に関する設計・テスト・統合を行うメーカー企業さまもいらっしゃいました。 本記事ではODMが設計した小型のデスクトップPCはスループット(Throughput)が規格を満たさない場合はどのように検証するかをお話します。   事例紹介  ■ テスト背景  過去あるODM様は自社の無線製品に対しスループットパフォーマンス評価を含める基本機能テストをすでに実施していましたが、製品リリース後効果が期待はずれになってしまうのです。というわけで、関連検証テストをアリオンに依頼されました。 当社はまずアンテナメーカーに併せて基本の仕様設計から、アンテナ設計、ハードウェアの回路構築、機構設計及びデバイスドライバまで確認し、あらゆる方向性から問題を一つ一つ排除して根本的な問題を確認しました。 アリオンの長年の検証テスト経験では、スループットパフォーマンスをより一層向上させるために、見える問題を一つずつ解決するだけでなく根本的な原因を発見するのが必須です。 ■ テスト手順  RF性能問題をデバッグする際に、テスト方向性を間違わないよう、以下の手順に沿って確認を行うことを推奨します。 1. まず、元の状態のスループット測定データ(即ちBaselineデータ)を確認し、その後の比較用データとする 2. 今後の判断基準として、基本ソフトウェア、ファームウェア及びOS関連の情報が正しいかどうか、また既存の問題点が存在していないか確認する。以下の注意点をご参照ください: [...]

規格や速度が多種多様で、絶対に軽視してはならないUSB Type-Cケーブルの互換性問題
規格や速度が多種多様で、絶対に軽視してはならないUSB Type-Cケーブルの互換性問題

電子機器の廃棄量を大幅に低減させるため2024年の秋から、電子製品は全面的にUSB Type-Cコネクタによる充電に変更すると、先日欧州連合(EU)で議会の決議を得て正式に法律が制定されました。これにより今後より多くの電子製品はUSB Type-Cインターフェースを採用すると予測されます。同時に、大容量のモバイルバッテリーやPD充電器の給電ニーズもその影響を受け、電力仕様が48V/5Aに引き上げられるでしょう。 充電の他にも、USB Type-Cはスマホ・タブレットなどの小型デバイスとパソコン間の接続に使用されています。また、USB Type-Cを使用することで、モニターやSSDもより高いデータ伝送速度、及びより多くの種類の通信プロトコルに対応することとなります。しかし、インターフェースが全面的に統一されると、デバイス間の接続は本当により便利になるのか気になるところです。 USB Type-Cを使用している多様な製品、そのケーブルのスペックもさまざまで分かりにくい  USB Type-CにはUSB 3、USB4、Thunderbolt 3、Thunderbolt 4…などさまざまなプロトコルが含まれていて、異なる製品の利用において、対応するUSBバージョンと速度も異なります(下表)。 どれもUSB Type-Cインターフェースが使用されていますが、プロトコルのバージョンと速度が違うため、最高のパフォーマンスを得るためには、システム/デバイス/ケーブルがマッチングしていなければなりません。また、異なるデバイスやシステムでは、必要になるケーブルも同じとは限りません。 [...]

スマートテレビに潜む深刻で見つけにくい問題とは?

Allion Labs/Franck Chen 調査会社Parks Associatesのレポートによると、近年のストリーミングビデオサービスの台頭により、スマートテレビは、すでにストリーミングメディアサービス向けのメインデバイスとなっています。テレビはもはや単純に「見る」だけのものではなく、現在製造されている新型テレビのほとんどが新しい機能を備え、コミュニティ、ゲーム、インターネット、ビデオオンデマンド、テレビアプリ等、これらすべてをテレビ上で実現することができ、デジタルホームエンターテイメントライフが当たり前なものとなりました。そのため、テレビメーカーは従来と違ったさまざまな新機能や、ユーザーの視聴習慣、さまざまな使用シーンを製品開発レベルで検討する必要があります。しかしながら、エンドユーザーが長く製品に触れ、有線と無線が混在する環境、さらに複雑且つ頻繁に使用される習慣や方法が存在する中で、今までにない問題が次々と発生しています。 テレビメーカーが直面する現実とジレンマ アリオンの長年に渡るテレビテストの経験よると、一般的なスマートテレビの深刻な問題の約 5~10%は、反復操作や長期間使用された後に確率的に発生します。このタイプの問題は一般的な方法では簡単に検出できないため、潜在的なリスクは実際の統計よりも高くなります。 確率的な問題であっても、市場で販売される数とユーザーの使用頻度を計算すると、実際のケースでは確率の数値よりもはるかに高くなることが予想されます。今日多くの消費者は、製品を購入する前に製品に関する情報と評価を検索し購入するかどうかを考えています。製品が発売される前に、これらの確率の問題を効果的に減らすことができなければ、顧客のクレームリスクと圧力が大きくなってしまいます。以上のことから、数%程度の確率で発生する深刻な問題も無視できないことを認識しておく必要があります。 しかし、一般的なマニュアルによる方法で、確率的問題を長時間または反復してテストすると、集中力の低下によるヒューマンエラーが発生しやすくなる一方で、工数が多くかかるのでテスト期間を長くしなければなりません。上記のジレンマに直面し、メーカーはしばしば板挟みになってしまいます。 アリオンは「時間コストの削減」と「一般的なマニュアルでは実現できない能力の克服」という2つの条件を同時に満たしながら、お客様が潜在的且つ深刻な問題を検出して製品競争力を強化できるよう効率的にサポートします。 「自動化キット」と「カスタマイズされたテストスクリプト」は必須であり、互いに補完し合うことで効果的に検出できます 今日のスマートホームアプリケーションエコシステムにおいて、消費者の直面しそうな問題をお客様が事前に発見できるように、アリオンのチームは、ハードウェアテスト、ソフトウェアテスト、互換性とVFT (仮想フィールドテスト) のテスト概念を統合しました。アリオンの設計開発した『スマートホームの主要シナリオテスト』(ACSTS、Allion [...]

HDMI 2.1認証試験でよくある問題とその分析– Part I I :Sink機器編

前編のPart IではHDMI 2.1 Source機器においてHDMI2.1認証試験でよくある問題について紹介しました。本編では、それに続きSink製品の認証テストにおいてよくある問題について紹介します。 FRLの電気テストは従来のTMDSモードに比べ複雑 前編でも示した通り、HDMI 2.1における最大の変更点は、従来のTMDSモードに加えて、新たにFRL (Fixed Rate Link)伝送モードが追加されたことにあります。FRLを通して、帯域幅はTMDSの18GからFRLの48Gに向上したことで、8Kの映像データ伝送を行うことができます。FRL信号は伝送の前にLink Trainingのコミュニケーションを実施する必要があります。そのため、FRLの電気テストも比較的複雑になります。従来TMDSの電気テストでは、テストツール側の+5Vをパワーサプライに接続し、5V電圧を供給するだけで、SinkからSourceに接続した状態をシミュレーションすることができ、電気テストが行われていました。  しかしFRLの電気テストでは、特殊な設備でSourceをシミュレーションし、SinkとのLink Trainingプログラムを実行しなければなりません。また、SinkがジェネレータのBERT信号を受信した後、Sinkのレジスタ内にエラー数が記録されます。この時、SourceはSCDCを通してSinkのエラー数を読取り、SPECの規格を満たしているか判断します。 自社開発したSCDC/EDIDエミュレータ「AJSC-1」はHDMI Forumに認可され、FRLの電気特性テストに使用することができます。このテストツールはSourceをシミュレーションし、SinkとLink [...]