Tag Archives: 相互接続性

スマート点滴モニタリングシステムのリマインダー機能が遅れるのはなぜ?

Allion Labs  2021年に「Growth+Reports」が発表したウェアラブル医療機器の世界展望と予測レポートによると、世界のウェアラブル医療機器市場規模は2031年に1,325億ドルに達すると予測されており、さまざまなソリューションプロバイダーが多くの人材と資源を積極的に投入しています。ウェアラブル医療機器市場は、機器の種類に応じてモニタリング機器、診断機器、治療機器に分けることができます。治療機器のカテゴリーには、疼痛管理機器、呼吸療法機器、リハビリテーション機器、薬物輸送機器、補聴器、ウェアラブル心臓除細動器などが含まれます。 スマートヘルスケアの新しいトレンド 現代のスマートヘルスケアでは、昨今の科学技術のおかげで、医療スタッフの作業負担が軽減され、患者ケアの品質が向上しています。例えば、薬物輸送機器のカテゴリーにある「スマート点滴モニタリングシステム」は、点滴袋の液体重量を監視してリアルタイムで点滴のステータス情報を取得し、無線伝送を通じて「スタッフステーションのデジタルホワイトボード」や「ワークステーションカート」、「医療スタッフのスマホアプリ」の間で監視データを同期することで、看護スタッフは患者の部屋を巡回したり、点滴データを記録する必要がなくなります。 スマート点滴モニタリングのエコシステムでは、毎日以下の利用シーンが実行されています。 スマートヘルスケアの潜在的な懸念 – 人命に関わる医療モニタリングシステムの品質は本当に安定している? アリオンヘルスケア製品検証コンサルタントチームは、スマート点滴モニタリングサービスのプロバイダーとの協力してきた中で、エンドユーザーが最もよく直面する問題をすでに把握しています。それは、自動リマインダー機能が遅れたり反応しないことであり、このせいで看護スタッフは毎回情報を照会して、点滴を打つ患者の安全を確保しなければなりません。 アリオンの検証専門家たちは、スマート機能の異常が発生するのは、病院内の病室空間におけるワイヤレス環境にあり、あらゆる種類の乱雑なワイヤレス信号が溢れていることが主な原因であると、経験に基づき初期段階から推測できました。この問題を確実且つ効果的に解決するために、コンサルタントチームは自ら現地調査を行い、病室フロアにおけるワイヤレス信号の強度や分布状況を実測分析しました。 上の図が示す通り、右側に青色と水色のブロックが多く、これは、同じ階のエリア内でワイヤレス信号伝送の安定性とカバレッジが理想的ではないこと意味しています。点滴モニタリングシステムで自動リマインダーの遅延が発生するのは、このような青色のブロックにある病室です。 この問題が発生するのは、病院のフロアに病室の区画が多く、壁が厚く鉄筋の比率が高いことが主な原因です。さらに、医療スタッフのパソコンや、患者家族が持参するタブレットやスマートフォンなど、多くのワイヤレスデバイスが同じ空間にあると、その空間内のワイヤレス信号が影響を受けやすく、データ送信に遅延が生じる可能性があります。 Faster, Easier, [...]

CECのワンタッチプレイ失敗問題が解決!鍵となった原因を、ビデオ・オーディオ検証コンサルタントが瞬時に解明

Allion Labs  科学技術の進歩と関連するオーディオビジュアル製品の普及に伴い、より優れた視聴体験の追求のため、多くの人が様々なオーディオビジュアル機器を購入し、リビングルームをホームシアターに変え、自宅でも高画質且つ高音質な映像コンテンツを楽しむことができるようになりました。その中で、設置が簡単で価格も手ごろなサウンドバーは、ホームシアターオーディオ機器の中で、最も手軽に入手可能な存在となっています。しかし、高品質な音楽を楽しみながら、サウンドバーとテレビやセットトップボックス(STB)などの接続デバイスを接続してCECの連動操作を行う際に、様々な問題に遭遇する消費者もいるようです。 HDMI CEC機能にも善し悪しあり HDMI技術は一般的にオーディオビジュアル製品で使用されており、そのCEC(Consumer Electronic Control)機能により、ユーザーは異なるブランドや製品のリモコンを3〜4個使い分けずとも、リモコン1つで家庭のオーディオビジュアルエコシステムに接続された周辺HDMI機器を制御できるようになりました。この機能のおかげで利便性は大幅に向上しましたが、アリオンのビデオ・オーディオ検証コンサルタントチームは、長年テストに携わってきた経験から、CEC機能が各メーカーにとって悩みのタネとなっていることが分かりました。 CECの簡単機能「ワンタッチプレイ(One Touch Play)」で以下のような事例が過去にありました。ユーザーはサウンドバーのリモコンで「電源オン(Power On)」ボタンを押してサウンドバーを起動すれば、同時にテレビも起動し、テレビのリモコンを手に取る必要はないと期待していました。しかし、HDMIケーブルで接続したテレビが応答しないという、残念な結果になるとは予想していませんでした。 CECのワンタッチプレイが故障してしまったのでしょうか?! テストの専門家がお客様の製品が持つ弱点を確実に把握 ブランドの評判に関わる問題が発生したため、このクレームを受けたメーカーはすぐにアリオンに連絡し、アリオンのビデオ・オーディオ検証コンサルタントチームの豊富な経験を活用して、問題の根本原因を特定するよう依頼されました。ご依頼の背景を理解した専門家チームは、まずCEC通信プロトコルアナライザを使用してこのCECの問題を詳しく分析し、過去の経験に基づいて調査したところ、テレビのモデルの型番がCECの標準仕様と一致しておらず、これがサウンドバーとテレビの間で通信する際にテレビが反応しなくなり、テレビが同時起動しない原因となっていたことを突き止めました。 [...]

ライブ配信で音が出ない、映像が遅れる場合の対処法とは?実際のテストケースの考察から明らかに!

Allion Labs  ライブ配信の必須アイテム!ゲーム実況の強力なツール「ビデオキャプチャカード」 近年、ライブ配信市場が急拡大しており、中でもeスポーツゲームが最大のライブコンテンツとなっています。“リアルタイムな相互作用と高い臨場感”というライブ配信の特性によって視聴者が深く熱中するため、関連産業に大きなビジネスチャンスをもたらしており、人気のある配信者の実況や共有は、ゲーム開発会社の売上業績にも影響を及ぼしています。 ゲーム実況の応用シーンでは、PS5、Xbox、Switchなどのコンソールゲーム機での配信は、PC上での録画やリアルタイム配信よりも不便でした。そんな中「ビデオキャプチャカード(Video Capture Card)」が誕生したことで、ゲーム機とPCを接続するだけでこの問題が解決し、eスポーツ実況市場が再び活気づき、ビジネスチャンスも大幅に増加しました。しかし、ビデオキャプチャカードと周辺機器間の互換性は、配信のスムーズさに影響を及ぼす地雷となっています。 OMG!ライブ配信で音が出ない、映像が遅れる場合の対処法とは!? アリオンのeスポーツエコシステムコンサルタントチームが、お客様の製品が抱える問題を解決していく中で、ライブ配信の使用シーンで最もよく発生する問題が「音が出ない、または音が遅れる(ラグ)」ことであると判明しました。リアルタイムで相互作用のあるライブ配信において、この問題が配信者やユーザーの大きな悩みの種となっているでしょう。 ライブ配信のスムーズさに影響を与える原因は? 『アリオンのeスポーツエコシステム』コンサルタントチームは、PS5ゲーム機を実験例とし、まずゲーム実況配信者が最もよく使用するシーンを分析し、関連する機器(図1のような構成図)を接続した上で、最もよく利用されている実況配信ソフトウェアをインストールして、eスポーツゲームの実況エコロジーシーンを構築しました。次に、ノートパソコンやタブレットなど、ハードウェアやスペックの異なるデバイスを9台選択し、配信者が配信で使うデバイスをシミュレーションして可能な配信シーンをカバーしました。最後に、市販されている3つのビデオキャプチャカードを選んで、eスポーツゲームのライブ配信シーンに適用し、この製品の使用状況下で、ゲーム実況配信時に発生しそうな問題をシミュレーションして掘り起こしました。 以下に表した検証結果の表から、PS5はMac(M2)やDellを実況PCとして使用する場合、構築されたゲーム実況のエコシステムシーンの中で「音が出ない、音が小さい、または音が途切れる」といった問題が発生していることが分かります。 『アリオンのeスポーツエコシステム』のコンサルタントチームは、これらの音の問題に対してさらに詳細な検証と分析を加えたところ、原因となった2つの可能性を特定しました。 原因1:ノートパソコンが出荷時からインストールされるソフトウェア 原因2:オペレーティングシステムとオーディオチップのドライバー [...]

LC3エンコーディングがもたらすBluetoothオーディオの新時代
LC3エンコーディングがもたらすBluetoothオーディオの新時代

Allion Labs 2023年のBluetooth SIGの報告によると、2027年には世界で約70億台ものBluetoothデバイスが存在し、その中でもオーディオ関連のデバイスが約15億台に上ると予想されています。下のグラフで示した調査では、今後5年間でLE-onlyのオーディオデバイスが従来のBluetoothオーディオ(A2DP)のアプリケーションに徐々に置き換わって、より省電力、より高音質、より高い圧縮率となり、個人向けの使用に合った製品になると予想されています。 Bluetooth LEオーディオ と LC3とは Bluetooth LEオーディオは、Bluetooth規格5.2以上に基づいた新しい技術であり、より高品質なオーディオ伝送を提供することが可能です。中でも新しいオーディオエンコーディングの技術であるLC3エンコーディングは、より効率のよいオーディオ圧縮と高音質を実現しています。 LC3エンコーディングは、通常ビデオ会議や音声通話など、低遅延のアプリケーションシーンで使用される低遅延オーディオエンコーディング技術です。高効率な圧縮を実現しつつ非常に低い遅延を保ちながら、より高い音質を提供することができます。 従来のオーディオエンコーディング技術に比べて、LC3エンコーディングにはより高い圧縮効率があり、同じデータ転送速度でより高音質なオーディオを伝送することができます。また、LC3エンコーディングはエラートレランス性能も高く、低品質のネットワーク環境下でも良好な音質を維持することも可能です。 また、LC3エンコーディングは可変ビットレート(VBR)エンコーディングをサポートしています。これは、転送プロセスにおいてエンコーダが音声信号の複雑さに基づいてエンコードレートを自動的に調整できることを意味し、より効率的な圧縮を実現しています。こうした技術は音声の伝送や保存に非常に役に立ち、より高品質な音声圧縮と高い音質を可能とするため、ユーザーはより高音質な音声体験を楽しむことができます。 過去のSBCエンコードに比べ、新しいBluetooth LC3エンコードは同じ転送速度でより高音質の音声を提供したり、低い転送速度ながら品質の高いコンテンツを提供することができます。これにより、開発者はより柔軟性をもってLC3エンコードで開発することが可能となり、音声品質や消費電力などの製品設計の上で、容易に優先順位を策定することができます。以下、LC3エンコードとSBCエンコードを比較しました。 [...]

ワイヤレスサウンドバーはより快適な音声体験を確保できるか(上)

Allion Labs/Franck Chen アンプに比べて軽量で手頃な価格のサウンドバーが、近年ホームシアターシステム市場で急速に普及しています。市場調査を行う会社であるMarket Statsvilleによると、全世界におけるサウンドバーの市場規模は、2020年の50.944億ドルから2027年には90.762億ドルにまで成長し、年間複合成長率は8.6%に達するとされています。しかし、家のテレビに接続する機器はますます多様化しており、ユーザーがサウンドバーを使用する際、ケーブルの接続や関連機能の設定の煩雑さ、更には配線の見栄えなどの問題に直面することがあります。 嬉しいことに、現在市場にWi-Fiを経由してテレビとペアリングできるワイヤレスサウンドバーが続々登場しています。ワイヤレスだと、現代的なホームシアターシステムの配置がよりシンプルで美しくなるのでいいですね。以下では、市販されている製品をいくつかピックアップしご紹介します。 1. TCLのRoku TVワイヤレスサウンドバーは、Roku TVと接続して使用でき、Wi-Fiを経由して接続し使用する世界初のサウンドバーであると宣伝しています。 2. SAMSUNGのサウンドバーは、Wi-Fi経由で伝送が可能な世界初のDolby ATMOS対応サウンドバーとして宣伝されており、SAMSUNG TVとペアリングして使用することができます (その後、Dolby [...]

規格や速度が多種多様で、絶対に軽視してはならないUSB Type-Cケーブルの互換性問題
規格や速度が多種多様で、絶対に軽視してはならないUSB Type-Cケーブルの互換性問題

電子機器の廃棄量を大幅に低減させるため2024年の秋から、電子製品は全面的にUSB Type-Cコネクタによる充電に変更すると、先日欧州連合(EU)で議会の決議を得て正式に法律が制定されました。これにより今後より多くの電子製品はUSB Type-Cインターフェースを採用すると予測されます。同時に、大容量のモバイルバッテリーやPD充電器の給電ニーズもその影響を受け、電力仕様が48V/5Aに引き上げられるでしょう。 充電の他にも、USB Type-Cはスマホ・タブレットなどの小型デバイスとパソコン間の接続に使用されています。また、USB Type-Cを使用することで、モニターやSSDもより高いデータ伝送速度、及びより多くの種類の通信プロトコルに対応することとなります。しかし、インターフェースが全面的に統一されると、デバイス間の接続は本当により便利になるのか気になるところです。 USB Type-Cを使用している多様な製品、そのケーブルのスペックもさまざまで分かりにくい  USB Type-CにはUSB 3、USB4、Thunderbolt 3、Thunderbolt 4…などさまざまなプロトコルが含まれていて、異なる製品の利用において、対応するUSBバージョンと速度も異なります(下表)。 どれもUSB Type-Cインターフェースが使用されていますが、プロトコルのバージョンと速度が違うため、最高のパフォーマンスを得るためには、システム/デバイス/ケーブルがマッチングしていなければなりません。また、異なるデバイスやシステムでは、必要になるケーブルも同じとは限りません。 [...]

新トレンド「天井スピーカー」 ホームシアター構築の新たな課題

 テレビ/スクリーン・プロジェクター・ホームシアターオーディオは、ホームシアター環境を構成する三つの要素です。ディスプレイ技術の進化に従い、ディスプレイの解像度が向上してきましたが、今まで画面の精緻さを求めてきた消費者は、今度はオーディオの質に注目し、より高度な映像・音声体験を求め始めました。近年、様々なAV規格が登場し、新たなホームシアターの連携体系が誕生しています。その中でもDolbyとDTSの二つのサラウンドシステムが市場の主流になっています。  例えばDolbyシステムの場合、スピーカー数は最初のDolby Pro Logic 5.1チャンネルから、最高規格のDolby Atmos 24.1.10チャンネルに進化してきました。Dolby Atmosについて説明すると、これはドルビーラボラトリーズが2012年4月に発表したサラウンド記録再生方式です。従来のチャンネル依存(Channel Dependency)を捨て、音声をオーディオ要素(Audio Element)にミキシングし、一つのサウンドオブジェクト(Sound Object)にまとめます。3D空間のどこにでも配置でき、音声のソース・移動方向と位置を正確に配置できるため、サラウンド効果を平面から立体に進化させ、よりリアルなビデオ・オーディオエクスペリエンスを実現させました。また、Atmosのオーディオ技術をユーザー側が享受できるようにするために、ドルビーラボラトリーズは新たな音声コーディング技術「Dolby ED2」を開発しました。Dolby ED2はDolby Eの拡張技術のため、下位互換性を持っています。新たなプロフェッショナルメタデータ(Professional Metadata, [...]