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サーバー調達品質の復号化 – 安定性要求編

Allion Labs / James Ou 本連載企画ではサーバー調達における品質の三大要件は、品質基盤(仕様要件)、ユーザーエクスペリエンス(性能要件)、メンテナンス費用(安定性要件)等の3つの側面に対応しているかどうかを解説していきたいと思います。前回の仕様要求編でユーザーシナリオから仕様要求、直面する課題とテスト効率できるテストツールを紹介しました。今回では、サーバーの安定性のニーズについて説明します。 サーバーを安定稼働するには、信頼性テスト用のウォークインチャンバー(Walk-in Chamber)が欠かせない 5G、AI、クラウドコンピューティング、クラウドOTT (Over-the-top) などのアプリケーションサービスの台頭により、これらのアプリケーションは、サーバー自体、つまり高速且つ大容量のハードウェアを基礎としています。高速とは、CPUの動作速度、GPUの動作速度、高速ネットワーク伝送速度またはストレージメディアへのアクセス速度等を指し、高容量とは、メモリ容量やストレージメディアの容量をそれぞれ表しています。 これらの高速アプリケーション関連サービスが継続して生まれていることから、サーバーの消費電力も増加の一途を辿っており、以前は2KWほどの電力消費量が一般的だったのが、現在ではサーバー1台あたり10KWを超えています。高速化と高消費電力化に伴う主な問題は、熱エネルギーの発生と速度の不安定性であるため、サーバーの安定性ニーズとして、温度あるいは温湿度の信頼性テストが特に重要視されています。 従来のサーバー信頼性テストはスタンドアロン方式で実施されていましたが、新しいアプリケーションの導入とコンセプトの変更により、アプリケーションレベルからサーバー信頼性テストが求められるようになりました。アプリケーションレベルの信頼性テストと従来のスタンドアロンの信頼性テストは、両方とも動作温度の最高温度と最低温度の設定条件が同じですが、サーバーグループのアーキテクチャと、シミュレーションされたアプリケーションサービスを実行するストレステストソフトウェアが最大の違いです。 アーキテクチャのアプリケーションレベルでのサーバーグループは、通常ラック(Rack)単位で構築され(複数のサーバーが組み込まれた状態で)、ラックの高さも初期の42Uから現在の48Uや、より新しい52Uまでであり、また数量も1から3までとさまざまです。上記の高電力消費とラック数等の条件を組み合わせると、信頼性テストに使用されるウォークインチャンバー(Walk-in Chamber)には、非常に高いしきい値要件が課せられます。まず、冷却能力はラックサーバー全体が生成する総熱量を上回らなければならないこと、次に内部の空間がラック全体に収まる必要があること、最後に、運搬重量はラックサーバー全体の総重量を満たす必要があります。 [...]

スピーカーの性能を「見える化」するには必要な検証とは?

家電製品の中には、スピーカー機能が内蔵されている製品も少なくありません。近年では、Bluetoothスピーカーやスマートスピーカーが流行っていて、市場においてスピーカー機能が内蔵されている製品種類は日々増えています。あらゆるスピーカー製品の中から、消費者が選択肢に入れて購入を考える決め手となっているのは、スピーカー製品のワット数や有効帯域幅などにほかならないでしょう。しかし、各メーカーのスピーカー製品の実性能は、本当に製品パッケージや説明書などに表示されている通りでしょうか? 過去には一部のスピーカーメーカーがマーケットシェアを占めるため、誇張した性能表示をして消費者から好評を得ようとしていました。製品に関連する規範が無い状態では、知らずに購入してしまったエンドユーザーは仕方なく受け入れるしかありませんでしたが、近年ではビジネスモデルの変革とインターネットの普及に伴い、製品評価の透明化が進み、各スピーカーメーカーは企業としての信頼性やブランドイメージを気にかけ、次第にスピーカー製品の電気音響性能の表示を重視するようになりました。 アリオンは実測の事例からポイントとなる試験項目をピックアップしてスピーカーの性能測定について以下に説明します。 スピーカーの性能は本当に数値化できるのか? 1. スピーカーのワット数: 当社の市場調査の結果から、この性能指標が一番「水増し」される可能性が高い項目だと分かりました。テスト結果に信憑性を持たせるため、この性能指標に対して、当社では国際規格であるIEC 60268-5:2007規格を参照しスピーカーのワット数の検証テストを行っています。 まず、スマートフォンをHost側として、Bluetoothスピーカーを接続し、Host側で1kHzと0dBFSの信号を出力し、音量を最大まで上げます。 次に、Bluetoothスピーカーに内蔵されているアンプとスピーカー単体間の接点の電圧(Vrms)を測定します。続いてアンプを取り付けていない状態のスピーカー単体の定格インピーダンスReを測定します。計算式P = (Vrms^2) / Reを用いて、スピーカーの最大入力信号の条件下の最大出力電力を計算します。 1つの検証事例を例に挙げると、上記の公式で計算した結果、以下の数値が得られます: [...]

LANポートがないパソコンでも有線LANに接続できるコツとは?

LANポートがなくても有線接続は可能? ポータブルコンピューターに対する消費者需要の拡大に伴い、コンピューターの軽量化と薄型化が実現し、持ち運びに便利なノートパソコンが市場で急増しました。また、ノートパソコンの薄型化・軽量化が進んだため、ノートパソコンより厚さのあるRJ45(LANポート)は、薄型軽量のノートパソコンのインターフェースから真っ先に排除される対象となりました。しかしながら、RJ45がない場合、消費者はネットワーク接続のインターフェイスとしてWi-Fiを使用しますが、多くの場合AP信号の強度によって制限や干渉を受けたりするため、ネットワーク速度が十分ではなく、また安定もしません。そのため、安定且つ高速が必要な有線ネットワークが使用される状況が生まれました。USB-Cの薄さ&軽さと、複数のインターフェイスに接続可能な特性を活用するには、USB-C用イーサネットアダプターを利用することが、最適なソリューションであると言えますでしょう。 市場で多くの種類の USB-C用イーサネットアダプターが市販されており、さまざまな速度ニーズに従って販売されています。一般的に最も主流な仕様は、速度が1Gbps (1000Mbps)のものに落ち着いていますが、下の表に示すように、消費者は、自身のシステムやイントラネットのさまざまなサポート機能に従い購入することができます。   USB-C用イーサネットアダプターを使ったら最大の問題は製品の相互接続性だ  実際には、従来からあるネットワークインターフェイスではないため、変換後にさまざまな問題が発生することが多く、ユーザーエクスペリエンスに影響を与えます。当社はAmazonの口コミに書かれていた内容を整理し、次のカテゴリに分類しました。 上図によると、消費者の最大の問題は互換性 (25%) についてです。このタイプの製品のメーカーは、販売前に完全な互換性テストを行わないことが多いため、消費者は購入しても使用できないことが多く、消費者の信頼を失うだけでなく、返品コストもかかってしまいます。消費者が星一つの否定的なレビューを販売プラットフォームに残してしまうと、その後の売れ行きにも影響を及ぼすので、最も基本的な互換性検証を行うことは、製品が出荷される前の最も重要なポイントです。アリオンは長年にわたる互換性のテスト経験があり、量産前にさまざまなチップや、OS、プラットフォーム (ノートブック/デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット、ゲーム機など)によって、関連する検証テストプランを提案し、お客様が遭遇する製品の互換性に関する問題を大幅に削減することができます。 次に、消費者がこのような製品を購入する際に気にかけている問題は、切断 (21%) と速度 [...]

動画がスムーズに再生されない一つの原因はHDMIケーブルなのか?

HDMIケーブルはHDMIを搭載した製品の信号転送に使われています。解像度1080pのコンテンツから4K・8Kコンテンツまで、転送必要な音声、画像などのデータ量が増えています。そのため、視聴したいコンテンツにより、HDMIケーブルも含めて適切なHDMI製品を選ぶことが重要なポイントになります。 優れたHDMIケーブルであれば出力デバイスのデジタル信号をディスプレイデバイスで完全に再現することができます。低解像度の720Pや1080Pのコンテンツを再生する際、多少ケーブルの品質が良くなくても表示できたりしますが、高解像度の4K/8Kのコンテンツを再生する際はケーブルによる良し悪しの差異が顕著に現れます。帯域幅が不足しているケーブルを使用することによって、コンテンツの表示が不安定になったり、点滅したりする場合もあります。 また、使用したケーブルがHDMI2.1の最大帯域幅に満たしていない場合、例えば4K30Hzであれば表示しますが、4K120Hzだと表示できない場合もあります。 HDMIケーブルを購入する際の注意点とは? 2021年のアメリカの小売市場では7,610億ドルにも及ぶ返品総額がありました。その中身を分析したところ、消費者の期待を満たしていないユーザーエクスペリエンスの悪さが主な原因となっていました。 上述のようにHDMIケーブルはディスプレイの表示に深く関係しており、安定した環境でコンテンツを視聴できるように以下にてHDMIケーブルを購入する際の注意点をピックアップしました。 1. HDMI認証を取得しているケーブルを購入する 2.ケーブルは長ければ長いほど信号が減衰するため、15M以上のケーブルを使用する場合、品質が良いとされているケーブルを購入する HDMIケーブルの関連試験にご興味がある方はこちら アリオンでは、HDMI認証試験の実施やその他HDMI性能の確認、HDMIケーブル生産ラインのバリデーション検査など、あらゆる面を網羅したサービスを提供しております。また、コンサルティングサービスの提供やケーブルの設計、高周波信号上の問題などへの対応も可能です。 HDMI製品や検証テストに関するご質問などございましたら、お気軽にアリオンにお問い合わせください。 お問い合わせ窓口 [...]

ケーブル・コネクタの認証要点を把握しよう

ケーブル・コネクタは高周波信号、機械特性、電気特性と使用環境の変化などの要因によってその性能が左右されます。ケーブル・コネクタの開発メーカーはこうした環境の変化を考慮した包括的な検証を実施することで、製品の品質条件を満たし、機能のニーズを100%発揮することができることでしょう。今回のレポートでは、アリオンの専門家によるUSBケーブル認証の注意点をご紹介いたします。また、最新規格のSAS4.0、PCI-Expressに関する最新のインターフェースであるOCuLinkと、高速伝送と長距離化を可能にする光変換ケーブルであるアクティブ光ケーブル(AOC: Active Optical Cable)に関する情報の概略についてもご紹介いたします。この他、電気特性検証(Electrical Test)、メカニカル特性検証(Mechanical Test)、耐環境性検証(Environmental Test) に必要とされる設備と試験内容の基本的な部分もご紹介いたします。   USB 2.0 & 3.0認証試験紹介 USB協会(USB-IF)の定めた基準では、USB2.0ケーブル・コネクタの試験フローは8つの試験グループに分かれています。試験グループはケーブル・コネクタの持つ性質に準じて区別されており、各グループでは電気特性、メカニカル特性および耐環境性の検証項目がそれぞれ定められています。DUT(Device Under [...]