Category Archives: 技術ブログ

USB Type-C製品のオーバーヒートはコネクタからくる問題だった新事実

Allion Labs 電子機器において必要不可欠なUSBですが、高速で便利、且つ信頼性の高いデータ転送および充電といった幅広い機能を兼ね備えています。USBにおけるテクノロジーは初期のUSB 1.0ver.から現在のUSB 3.0、USB 3.1、さらにはUSB 4.0規格まで絶えず進化とアップグレードを続けております。データ転送におけるこれらのUSBの進化はユーザーにより速く、より効率的な体験をもたらしてきました。それに伴いUSBコネクタもまた進化しており、初期の標準的なUSB Type-Aコネクタからその後のMicro-USB、Mini-USB、そして現在一般的に使用されているUSB Type-Cコネクタへと、ニーズの増加が技術の進歩に直接影響を与えています。 USBの高い普及率に伴い、USBにまつわる様々な問題を耳にする機会も多くなってきました。先日USB Type-Cコネクタを搭載したiPhone 15が発売されたことで、オーバーヒートや発火が再び話題に上がっています。オーバーヒートの原因は様々ですが、その最たるものがコネクタ自体の設計や素材によるものだと我々は考えます。 設計ミスによる損失 コネクタの設計不良により、製品やケーブルの温度が上昇してしまうことがあります。温度上昇によってデータ通信が不安定になったり、充電が制御されたり、場合によっては機器が破損して大切なデータを復旧できなくさせてしまったりします。最悪火災を引き起こし、金銭的・人的損失につながる危険性もあるでしょう。このため、機器を使用する上で設計ミスというのはあってはなりません。 温度上昇がコネクタとケーブルどちらに起因したものなのかという問題に対し、アリオンは協会が策定した仕様に準拠しT-Rise [...]

購入したHDMIケーブルに問題発覚。でも原因を特定できない?

Allion Labs ケーブルは信号ソースとディスプレイをつなぐ架け橋の役割を果たしていますが、長さが長くなるほど信号が減衰しやすくなります。特に、現代のトレンドとして重視されている8K/10K解像度のケーブルは、信号伝送速度が速い反面、減衰もより深刻です。ケーブルの長さを維持するために、チップを介して信号を最適化することで、長さの制約をなくすこともできます。このタイプのアクティブケーブルの品質は、チップ上のPCB基板に大きく関連しており、特にその中でも重要なポイントの1つが、インピーダンス制御です。 インピーダンスの減少が規格要件を超えると、気付かない潜在リスクが発生する可能性があります。 適切インピーダンスを制御できなければ、信号減衰のほかにリターンロスやクロストークを引き起こし、使用中に画面のちらつきが発生し、深刻な場合には信号がなくなる可能性があります。重要な場面でこれらの問題が発生すると、非常に厄介です。 インピーダンスに影響を与える要因は多く、設計や素材の選択だけでなく、加工過程でも適切に制御しなければ、制御したい範囲内にインピーダンスを抑えることはできません。加工がインピーダンスに影響を与える可能性のある要因は次の通りです。 加工がインピーダンスに影響を与える可能性のある要因  ケーブル幅と厚さの誤差  幅が広いほど、または銅の厚さが厚いほど、インピーダンスは小さくなります。一般的な基板メーカーは、基準として10%の公差で制御することが好ましいとしています。5%を見つけることはほぼ不可能です。  媒質の厚さの誤差  さまざまな基板材料の媒質の厚さとそれに関連するプロセスも、インピーダンスの制御に影響します。基板の厚さと板材プレスの制御は、基板メーカーの持つ製造プロセス能力が問われます。  レジストの厚さの誤差  レジストの塗布も、インピーダンスの制御に影響を与えます。塗布の均一性や異なる色の誘電率にも差異があります。 ホワイトラベルのアクティブケーブルは、通常コストを考慮して低価格の材料を使用し、品質関連の検査を削減していおり、技術に対する理解が乏しいため、加工工場の能力や検証を評価できません。こうした一連のコスト削減の動作が、前述したネガティブなユーザーエクスペリエンスを引き起こす可能性があります。 実測テスト [...]

USBケーブルの抜き差し耐久性を向上させる方法とは?

Allion Labs モバイルデバイスの普及により、常に自分のそばにスマートフォンがあり、仕事、エンターテインメント、日常生活におけるさまざまな連絡をスマートフォンで完結することができます。そのため、充電に関連した市場の需要や、機能性に対する消費者の期待は言うまでもなく高まっています。近年、ワイヤレス充電技術は進化を続けていますが、充電効率はいまだ有線充電に及ばず、データ伝送のニーズも相まって、USBケーブルはモバイルデバイスの用途において依然として重要な役割を果たしています。 数回充電しただけで故障、USBケーブル短命問題の原因とは? USBケーブルはモバイルデバイスやPC製品で広く使用されています。ケーブルは消耗品の一つであり、長期間使用すると交換が必要になりますが、一般的には、通常使用であれば製品のライフサイクルは数年になる場合もあります。アリオンが過去に蓄積した豊富なテスト経験と、ネット上で多くの消費者から収集したフィードバックによると、最もユーザーが受け入れがたいのは、「ケーブルの使用期間が1ヶ月未満、さらには10回未満の使用で使えなくなる」状況です。その原因を探ると、安価なケーブルのコネクタの部分が、抜き差しによって破損する問題が最も頻繁に発生していることが分かりました。 挿入力抜去力テスト:実際のケーブル抜き差し状況をリアルにシミュレーション このような場合には、アリオンの専門的な挿入力/抜去力テストで挿抜の力を検証することができます。みなさんはUSB充電ケーブルを使用する際、色んな感触を手に感じると思いますが、力が弱すぎて簡単に抜けると感じたり、軽く触れただけで接触が悪い場合には、より強い力で差し込もうとして「過挿入」が起こります。逆に、挿入しにくいとユーザーは無理に力を入れるため、ケーブル自体の損傷が起こりやすく、他の箇所にも不可逆的な損傷を引き起こす可能性があります。この2つの状況により、スマートフォン自体や他の電子機器のコネクタが破損する潜在リスクがあり、充電ケーブルの問題で、より高価な電子機器を損傷させてしまうのは本末転倒と言うべきでしょう。 Faster、Easier、Better ― 最も信頼できる検証コンサルタント アリオンは専門的なテストおよびコンサルティングラボとして、ケーブルメーカーのUSB認証取得を支援するだけでなく、製品の適切な検証計画を確立し、お客様のご要望に合わせてカスタマイズされた実験テストの実行し、改善提案や分析を行います。また、製品開発の各段階で必要なエンジニアリングコンサルティングと、正確で効率的な包括的なソリューションも提供します。このサービスは、製品設計、品質テスト、標準検証をカバーしているだけでなく、さまざまな規格団体の仕様をリアルタイムで同期します。 互換性と機能性テスト ユーザー体験テスト 高周波信号評価テスト 耐久性テスト 競合分析と品質向上コンサルティング  Faster ー より迅速  [...]

ワイヤレスミラーリング機能に潜むリスクを掘り下げよう

Allion Labs    楽しさをシェアするには「コレ」が必至!ケーブルに縛られることなく、心ゆくまでエンタメコンテンツを楽しむ 友人や家族と一緒に、それぞれのスマートフォンで撮影した素晴らしい写真や動画を見たい場合はどうすればいいでしょうか?最も便利なのは、スマートフォンのワイヤレスディスプレイ機能を利用することです。ケーブルを接続する必要がなく、スマートフォン内の動画や写真をワイヤレスで直接テレビに投影できるので、素晴らしいコンテンツを皆に共有しながら一緒に楽しむことができます。   スマートホームのトレンドに乗る!ミラーリング市場の動向を把握 システムやデバイスにもよりますが、AppleのAirPlay、Wi-Fi AllianceのMiracast、Google Castなどの関連技術を含むワイヤレスミラーリング技術は、近年スマートホームの利用も相まって、市場全体の成長を推進してきました。調査研究機関Verified Market Researchのレポートによると、ワイヤレスミラーリングの市場規模は2021年に418億ドルに達し、2030年までに1,124億ドルに達すると予測されており、2022年から2030年までの年間平均成長率は11.68%になる見込みです。   いつもワイヤレスミラーリングに失敗 「どういうこと?」とユーザーは困惑 しかし、スマートフォンデバイスやさまざまなワイヤレスミラーリングの応用技術の違いに加えて、テレビブランド、テレビシステム、Wi-Fiチップモジュールの組み合わせが異なるため、実際に使ってみると、画面をスムーズに共有できる人もいれば、大苦戦する人もいます。 [...]

USB-C HDMI変換アダプター製品が引き起す隠れた危険とは?

Allion Labs iPhone 15のリリースに伴い、Apple社は長年採用してきたLightningに代えてUSB-Cへ移行することを発表しました。USB-Cは優れた充電機能に加えて、他の伝送インターフェース(HDMI、DP、VGAなど)に置き換わりつつあります。Apple社がこの変更を余儀なくされた最大の理由は、2022年にEUが発表したDirective (EU) 2022/2380指令にあります。この指令により、2024年12月28日以降EUに導入されるスマートフォン、タブレット、ワイヤレスイヤホン、カメラなどの電子機器は、USB Type-Cコネクタを使用する充電方式に統一しなければならなくなったのです。 USB-C HDMI変換アダプタ製品の応用リスクと解決策 大多数のテレビがHDMIインターフェースをサポートしており、ユーザーがUSB-C製品の画面をテレビに出力するには、USB-C HDMI変換アダプタを使用する必要があります。さまざまなUSB-C変換アダプタが登場していますが、アリオンの長年にわたるテスト経験と蓄積されたデータから、デバイスを接続しても画面だけが表示され、音声が出ないという重大な問題が発生することが判明しました。 アリオンのコンサルティングチームの分析によると、USB-C HDMIアダプタを介してコンピューターやスマートフォンをテレビに接続する場合、デバイス間の通信プロセスにおいて、ソース側が表示デバイスのEDID(Extended Display Identification [...]

車のオーナーが不満を感じないように!新車品質調査(IQS)新車品質調査で勝ち抜く秘訣とは

Allion Labs  J.D.パワーは1968年にアメリカで設立された世界的な市場調査会社で、主な事業分野は、消費者満足度、製品の品質、アフターサービスの満足度です。元々米国において自動車関連事業で有名になったJ.D.パワーは、国際的で信頼性の高いグローバル企業であり、多くの消費者は自動車を購入する前に、J.D.パワーの市場調査を参考にして、自動車を購入する際の基準としています。 J.D.パワーが発表する公式レポートの中でも、特に車のオーナーが車の購入指標として参考にしているのが新車品質調査(IQS)です。そのデータは、新車を購入して90日以内のオーナーからのフィードバックに基づいており、主な調査項目は次のように分類されています。 1. 内装/外装 2. 車のシート 3. コンソールとモニター 4. 冷暖房 5. オーナーのドライビング体験 6. エンジンとトランスミッション機能 7. 車載インフォテイメントシステム(通信/ナビゲーション/エンターテイメント) アリオンは過去のテスト経験に基づいて J.D.パワーの新車品質調査を比較した結果、車のインターネット(車載インフォテイメントシステムの運用)で車の所有者が最もよく遭遇する問題を特定しました。さまざまな潜在的問題に対して専門的なコンサルティングを提供することで、自動車メーカーをサポートして完璧な改善策を提案し、車の所有者が抱える頭痛のタネを解決したいと考えています。 新車品質調査で勝ち抜いて、購入希望者の心をつかんで離さないブランドの魅力をいかに高められるか。事後に客からクレームを言われるよりも、事前に予防する方がはるかに効果的です。 [...]

eスポーツゲーミングルーターの性能比較

ゲーミングルーターの紹介 ゲーミングルーターは、オンラインゲームでのパフォーマンスを最適化するために特別に設計されたネットワークデバイスです。これらのルーターは、他のインターネットアクティビティよりもゲームトラフィックを優先し、遅延を減らし、より安定した信頼性の高い接続をプレイヤーに提供します。ゲームプレイヤー向けに開発されたこれらのルーターは、通常オンラインゲーム環境向けに高度な機能を提供し、プレイヤーが自由に設定することができます。これにより、プレーヤーはさまざまなゲームに帯域幅を割り当てることができ、よりスムーズなゲーム体験を確保し、遅延を減らすことができます。各ブランドでは、ゲームデータパケットを優先的に処理することができる異なるトラフィック管理アルゴリズムを備えている場合もあり、他のネットワークトラフィックよりもゲームネットワークに高い優先順位を与えます。 さらに、ゲーミングルーターには、Wi-Fiカバレッジの範囲と信号強度を強化するために、ビームフォーミングや複数の外部アンテナなど、高度なアンテナ技術が組み込まれています。また、Wi-Fi 6/6E(802.11ax)などの最新のワイヤレス規格をサポートし、より速い速度を提供し全体的なパフォーマンスを向上させます。 ゲーミングルーターのその他の注目すべき機能には、ゲームコンソールやPCに直接的且つ低遅延な接続を提供する専用のゲームLANポートや、ゲーム専用ソフトウェアインターフェイスがあり、ユーザーフレンドリーなネットワーク設定管理を提供しています。全体として、ゲーミングルーターの目的は、遅延を減らし、接続の安定性を向上させ、オンラインゲームに最適化されたネットワーク環境を提供することで、ゲーム体験を向上させることにあります。 eスポーツ産業がまだ成長段階にあるため、ゲーミングルーター市場も徐々に拡大しています。一般的なゲーミングルーターの価格は約4.6万円前後で、通常の家庭用ルーター(1.4万円〜2.3万円)よりもはるかに高価であるため、ほとんどの場合、各ブランドから1〜2モデルしか販売されていません。 今回は、市販されている3台のルーターの性能比較を行いました。3つのルーターの基本情報は以下の表の通りです。 今回は、eスポーツ向けルーターのワイヤレスネットワーク機能と性能について、以下の4点を中心に比較・分析していきます。 1. eスポーツ関連機能の比較 2. 信号強度とカバレッジ 3. ワイヤレスネットワークのアップロードとダウンロードの速度 4. ゲームプレイ時のユーザーエクスペリエンス まずは、eスポーツ関連の機能比較を見てみましょう。 [...]

高級車なのに高級体験なし?番外編ーBMW iDriveマルチメディアシステム

Allion Labs  以前寄稿したメルセデスベンツMBUXマルチメディアシステムの記事の中で、近年各自動車メーカーは販促の重要なポイントの一つとして、スマートコックピット機能の豊富さ、利便性、万能性などをメインに打ち出している、と述べました。広告とプロモーションが多く展開されていることから、消費者は自然とスマートコックピットに対する期待を高めており、購入時に重視する重要な機能の一つになっています。 世界で最初に車載インターネット機能を開発した有名な自動車ブランドであるBMWは、2023 BMW X4シリーズでiDrive 7.0のユーザーインターフェースを搭載し、360度ビューカメラシステム、ワイヤレススマートフォン接続システム(ワイヤレスApple CarPlayおよびワイヤレスAndroid Autoを含む)、純正スマート衛星ナビゲーションシステムを搭載しました。中でも最大の特徴は、AI人工知能を備えたスマートパーソナルアシスタントを初めて搭載したことです。ユーザーは、音声操作によりこれまで以上に便利で迅速な関連サービスを実行することができるようになり、技術レベルも前世代と比べて大幅に進化しています。 スマートフォンと車載IVIシステムのワイヤレス接続により、ドライバーの利便性は向上しましたが、使用にあたってまだ潜在的な問題がいくつかあり、それを深く理解する必要があります。前回のメルセデスベンツMBUXマルチメディアシステムの続きとして、今回はBMW X4 30iのユーザーエクスペリエンスを皆さんにご紹介します。 BMW X4 30iのユーザーシナリオ評価 [...]