Category Archives: 技術ブログ

ブルースクリーンはなぜ起こる?WindowsのBSODメモリダンプを解析

Allion Labs / Joseph Lin   BSoDとは? ブルースクリーン(BSOD)は、Windows PCでOSに致命的なエラーが発生して復帰できないときに発生します。BSODはOSが正常に動作できない状態に陥ったことを示しています。BSODを引き起こす要因は様々です。ハードウェアが原因のこともありますし、ドライバが原因のこともあります。また、重要なプロセスが予期せず終了したことが原因のこともあります。 WindowsOSでBSODは一般的なエラーではありますが、ブルースクリーン上に表示されるメッセージからだけでは、原因を知ることは困難です。しかし、システムの詳細設定にて、システムエラーが発生した際のデバッグ情報の書き込みで“完全メモリダンプ”オプションを選択すれば、BSODが発生した時に完全なメモリダンプを取得することができ、このメモリダンプを解析することでブルースクリーン発生の原因を知ることができます。   WindowsのBSODメモリダンプ解析 メモリダンプを入手したあと、WinDbgのようなWindows用のBSODデバッガを用いてBSODの原因を解析することができます。 WinDbgはMicrosoftのWindowsOS用の多目的なデバッガです。デバッグはシステム内のエラーを発見し、解決するためのプロセスです。WinDbgではユーザモードのアプリケーション、デバイスドライバ、カーネルモードでのOS自身のデバッグが可能です。   [...]

IIoTへの取り組み

変革の時代にIIoTへの取組を進めるにすべきことはなんですか? 新規事業開発プロセスにおいて、新しいテクノロジーの動向やよりいい効率に対応できることなどは、グローバル化市場での競争力とつながると考えられます。 第三次産業革命に続き、IoTによる技術の革新を踏まえるIIoT(Industrial Internet of Thingsの省略。「産業分野向けIoT」ともいう)が誕生しており、製造業界で大きな変化が起きました。 調査会社であるIndustryGlobalNews24によると、製造業において経営者の約67%以上が生産プロセスにIoTを導入したことが分かりました。IIoTでは設備・デバイス・人間などのあらゆるモノの集合体が相互に接続しながら通信します。このような複雑な相互連携によって、デバイスを通じて収集されたデータを分析できるようになり、生産オペレーションの最適化と効率化を向上させ、自社の競争優位性を高めることが期待されています。 工場のIoT化には二つの重要な要素:敏捷性と高度な自動化 また、海外の調査会社によると、工場のIoT化への期待を満たすため、「敏捷性」と「高度な自動化」が必要な変革ということが明示されています。その2つの目標を達成するために、下記のようなことに取り組む必要があります。 プロセスの最適化:一連の反復プロセスを自動実行する、ロボットの導入でさらなる効率化を実現 品質確保の最適化:AIの活用による製品品質検査で品質をより確実に把握 生産性の最適化:製品の生産履歴を正確に追跡可能 クラウドプラットフォーム:生産段階工程における情報を収集・統合し、生産ライン全体の生産能力、効率性、コストなどを分析することで、リスク管理や経営戦略策定を立てる際に参考になるツール。 インダストリー4.0の時代には、生産工程において既存の問題だけでなく、「潜在的な問題」を取り除くことでトラブルの再発防止になることが望ましいです。つまり、企業規模を問わず、リスクを「リアルタイム」に把握・解決できる能力が必要でしょう。 製造プロセスの革新には統合型のソリューションが必要 [...]

HDMI 2.1 – 8Kテレビの新しい視界

Allion Labs / Tina Yu 8Kにまつわる新たなトピックは、日本で行われる2020東京オリンピックパラリンピックが8Kで放送されると発表された頃まで遡り、これにより8Kテレビに関する議論が深まっています。今年のCESでは、SONY、Sharp、LG、Samsung、TCL等の有名テレビメーカーがこぞって8Kテレビを発表しました。8Kテレビの出荷量は2018年には2万台に満たなかったにもかかわらず、2019年は「飛躍的に成長」して43万台に達し、情報調査機構IHS Markitの予測によると、今年2020年には一気に200万台に達すると見込まれており、8Kテレビのビジネスチャンスが予見できます。        図1:テレビ市場の予測(引用:IHS Markit) 現在のテレビ市場では4K規格が主流となっており、5万円以下の価格でも入手可能で、当然HDMIはどのテレビにも標準搭載されているインターフェースの一つです。2017年末HDMI協会は最新規格となるVersion 2.1を発表し、中でも最も注目されたのは、帯域幅が48Gbpsにまで上げられたことで、8K規格が基本配備となり、10Kの解像度にさえ到達できるということでした。このことから8K時代はすでに始まっていると言うべきで、4Kの淘汰に拍車がかかり、将来8Kが家の中にある基本的な家電になると言っても過言ではありません。 図2:8Kは豊かな色彩表現が実現可能   8Kテレビの全面的な成功には、技術面で克服すべきことがまだある 疑う余地もなく、8Kテレビは将来ますます普及していくでしょう!しかし実現すべき8Kの理想と現実との間には、まだまだ大きな隔たりがあります。2019年は8K元年であり、各テレビメーカーは積極的に自社の8Kテレビの開発に力を入れました。HDMI [...]

ハイエンドカーの車内ストレージデバイスをいかに設計すべきか

Allion Labs / Richard Shen ここ数年より多くのデジタル製品が自動車のキャビンやボンネット内部に組み込まれるようになり、自動車デジタル製品の進歩が、テレマティクス・先進運転支援システム(ADAS)・GPSカーナビ等、豊富な機能を持つ情報エンターテイメントシステム(IVI)をリードする時代に突入しました。 自動車アプリケーションには、信頼性の高いメモリストレージテクノロジーが求められ、これにより現代における自動車システムの演算とデータ保存要求のサポートし、また全てのアプリケーションと厳しい環境下での完全な実行が可能となります。 典型的なハイエンドカーには、一台に2〜3億を超える行番号のソフトウェアコードが積まれており(注釈1)、自動車は現在と未来における最大のソフトウェアプラットフォームの一つとなります。このソフトウェアプラットフォームは、自動車内にビルトインされた運転システムに必須の項目であるというだけでなく、安全性とアプリの応用も強く求められるため、自動車内の保存能力も絶えず拡大させることで、増長し続けるデータとプログラミングデバイス要件に対応しています。この技術は、3DHDマップやデータロガー(ブラックボックス)等、保存能力が拡大することで複雑となった車載ソフトウェアを起動するだけでなく、長期的な寿命と機能拡充を考慮しなければならないため、これから到来する自動運転を実現するために必要な技術であり、データ全体の保存要求に対し大きな影響を与えます。 近い将来、自動車で突発的な事故が起こった場合、どのようにしてエラーが発生したのかを見つけるかが鍵となります。エラーを探し出す方法の一つは、事故発生前のラスト30秒間を再構築し、全てのセンサーにあるデータを用いてセンサーが採取したコンテンツを再び明らかにすることです。また人工知能(AI)アルゴリズムを通して、このデータで採取された動作を知ることができます。将来、自動運転自動車の車内にあるセンサーの数量と、これらのセンサーの解像度と帯域幅が、毎秒数GBを超えるデータレートへ対応できるようになると予想されています。ブラックボックスはデータ保存と実際の事故に関連するデータを保存するだけでなく、自動車緊急ブレーキシステム(AEB)の事故と状況把握にも用いられ、アルゴリズムまたはセンサーが誤作動を起こす可能性や追加の調整が必要な可能性を意味しており、これらのデータは、人工知能アルゴリズムの微調整や、最終的な自動運転自動車の大量展開にとって大変貴重なものと言うことができます。 現行よく見られる車内ストレージデバイスは以下の数種類に分類されます(表1)。 表1: 車內儲存裝置種類 Type Protocol Speed [...]

車内ストレージデバイスの突発的停電のテストと検証

Allion Labs / Richard Shen 近年、自動車のキャビンやエンジンに組み込まれるデジタル製品が増加する中、自動車内のデジタル製品も、コネクテッドカー・高度な運転支援システム(ADAS)・GPSカーナビ等、豊富な機能を持つ車内エンターテイメントシステムへと進化を遂げてきました。中でも車用ストレージデバイスは、データ保存だけでなく、現代におけるカーシステムの高性能計算もサポートする等、将来の自動車産業にとって必要不可欠且つ主要なコンポーネントです。この他に、自動運転のセンサー数や、センサーが対応する解像度、ネットワーク帯域幅が徐々に拡大する中で、膨大なデータ使用量をGB/sの速度まで上げることが可能となります。 例えば、一日の中で何回も車両電源をつけたり消したりする行為。突然電源が落ちることでデータが失われてしまうという問題を、私達は普段の生活の中で意識することはありません。NAND Flashの設計では、復元作用が働いて突発的に電源を消失する状況を回避(Suddenly Power off, SPO)でき、またその状況発生後もすぐにデータを修復します。常に行われる電源のオン/オフという動作が、フラッシュストレージデバイスの保存とリカバリに直接影響するため、Flashメーカーと自動車メーカーから注目が集まっています。 SSDコントローラ(Flash Translation Layer,FTL)は、データ対応表、フラッシュページの実態ステータスの情報、エラーブロックの情報等、様々なメタデータを維持及び保護し、突発的にフラッシュデータの停電が発生しても、正確なブロックでリード&ライトを行い、適切にデータを保存することで、この様なメーカーが直面する課題の克服に役立ちます。また、SSDコントローラはメインメモリの「キャッシュ」機能においても非常に重要で、定期的あるいはシステムシャットダウン時にフラッシュメモリと同期を行い、ユーザーデータとSSDに保存されているメタデータの間で、データの一致を確保します。 現行よく見られる車内ストレージデバイスは、以下の様に分類されます(表1): [...]

TWS完全ワイヤレスBluetoothイヤホンの干渉及び非同期に関する研究
TWS完全ワイヤレスBluetoothイヤホンの干渉及び非同期に関する研究

Allion Labs / Allen Liao   近年、一部のスマートフォンから3.5 mmイヤホンジャックが廃止され、Bluetoothイヤホンが広く使われるようになってきています。ケーブル接続が不要で、体積が小さく携帯しやすいBluetoothイヤホンは、通勤、通学、運動中など、様々なシーンで使用されているのを目にするようになってきています。近年は、Bluetooth伝送技術の発展しにより、音質や消費電力も改善され、、完全ワイヤレス(TWS)イヤホンも普及し始めました。   TWSイヤホンとは 完全ワイヤレス(TWS)イヤホンは、従来のワイヤレスBluetoothイヤホンで左右のユニット間を接続しているケーブルをワイヤレス伝送に置き変えたものです。これにより、使用上の利便性が向上され、またケーブル接続が一切なくなったことで、タッチノイズが出現しません。これら2種類のBluetoothイヤホンは高解像度または低遅延のCodecのサポート有無を除けば、その使用規格は基本的に同じです。唯一、完全ワイヤレスBluetoothイヤホンは多くがBluetooth 5.0規格をサポートしています。 BluetoothとWi-Fi技術はいずれも2.4GHzの無線電波帯域を使用しているため、往々にして接続周波数帯域上で共存(Coexistence)の技術的問題があり、さらに完全ワイヤレスイヤホンは通常小さいため、アンテナ設計に制限があり、イヤホンの共存問題がより重大になります。 一般的に完全ワイヤレスイヤホンが2.4GHz帯域で共存が引き起こす可能性のある問題は、次のようにまとめることができます。 無線信号の干渉がBluetoothのボタン機能(再生、一時停止、次のトラック)の反応遅延、さらには失敗を引き起こす [...]