Category Archives: 技術ブログ

受聴品質の知覚的観客的分析

現在の通信ネットワークでは多種多様な音声サービスが提供されており、日常の生活にとって不可欠なものとなっています。そのため、急速に発展する通信システムにおいて、音声品質を如何に確保するかが重要な課題となっており、ユーザーに快適なサービスを提供するためには、音声品質の評価方法が肝心なキーポイントとなっています。 あわせて読みたい:音の良し悪しを見分ける!音響テストのご紹介   音声品質評価の応用については、ITUワークショップでOPTICOM社から提供された情報(下図)をご参照ください。   音声品質の評価方法 音声品質の評価方法には大きく分けて二種類あります: 主観品質評価法 客観品質評価法   主観品質評価法(subjective assessment) 従来の主観品質評価法は、複数の被験者を集めて、あらゆる音響信号の断片の音質を判定してもらいます。通常、判定基準は1から5の間の数値で表されます。それぞれの判定基準の点数を全て足して被験個体数で除した結果が平均オピニオン評点(MOS)の値となります。 被験者を集める試験はコストも高く時間もかかりますが、音響心理学モデル(PESQまたはPOLQA)を用いた計算方法でそれらの制限を克服することができます。正しく使用できれば、これらのモデルは人間による試験結果にほぼ一致します。このような試験自動化は、開発の過程において高速な反復検証と効果的な生産ライン検証をもたらします。得られた測定結果は、人間の気質によるばらつきや測定条件の影響を受けないため、客観的な結果に分類され、高い再現性を持ちます。 主観品質評価法は、多くの被験者と時間が必要になり、コストが膨大になります。それに比べ客観品質評価法は機器を使用しているため、そのような問題はありません。 [...]

メモリモジュール(Memory DIMM module)に必要な信頼性対策とは?

Allion Labs / Joseph Lin コンピュータの発明以来、メモリはコンピュータプラットフォームにおいて不可欠な役割を果たしてきました。メモリはメインメモリと外部メモリに分けられ、メインメモリとは、中央処理装置(以下CPU)が直接アドレス指定できるストレージスペースです。主な機能は、CPUが処理するデータを一時的に保存し、CPUがデータにアクセスする際に使用されます。外部メモリとは、ハードディスク(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)など、コンピュータでのアクセス速度が遅い記憶媒体を指し、私たちが普段使っているオペレーティングシステムや各種ソフトウェアは、外部メモリに保存されています。 メインメモリは、コンピュータプラットフォームでCPUと外部メモリの間のブリッジの役割を果たしています。コンピュータアーキテクチャにおいて、CPUの計算速度は非常に高速ですが、一方でHDDまたはSSDのストレージ速度は非常に低速です。そのため、CPUと外部ストレージメモリの間に、高速バッファデバイスが必要となります。 CPUがデータを処理する際、まず外部記憶メモリからCPUが処理するデータを取り出してメインメモリに一時的に保存し、その後CPUが処理する際にデータがCPUに高速転送されるため、途中の待機時間が大幅に短縮されます。この様に、メインメモリはコンピュータプラットフォームで非常に重要なブリッジの役割を果たしています。 図1:メインメモリには、CPUと外部メモリの間の重要なブリッジの役目がある 最近のコンピュータプラットフォームでは、メインメモリに高速性と拡張性が求められるため、ほとんどの場合で複数のメモリチップで構成されるDual In-line Memory Module(以下DIMM)などのメモリモジュールの形式がとられています。この記事では、DIMMをメインとしてお話しします。 図2:メインメモリのイメージ DIMMの信頼性検証 [...]

2.4GHzの共存問題はワイヤレスマウスに影響を与えるか?

Allion Labs/Allen Liao   キーボードやマウス等のワイヤレスデバイスは、PCやゲームなどを利用するうえで、日常生活に欠かせないものとなっています。これらのワイヤレスデバイスは、通常Bluetoothまたは2.4GHzの無線技術を使用してワイヤレス操作を実現しています。 これらのワイヤレス通信は必要不可欠な技術である一方、ユーザーが不便と感じる場面もあります。例えば、ビジネス環境において、ユーザーが複数のコンピューターを一つのBluetooth®マウスで操作したい場合、マウス自体に、接続したいコンピューターを自由に指定できる機能が存在しないため、複数のコンピューターを制御するには、使わないコンピューターのBluetoothを一旦オフにするなど、いくつかの作業が必要でした。 このような負担を軽減するため、メーカーはデュアルモードワイヤレスマウスを販売しています。デュアルモードワイヤレスマウスは、Bluetoothと2.4GHzの無線の両方をサポートし、2.4GHzの無線はPC側ではUSBドングルを使用して接続します。マウス側のスイッチでBluetoothモードとドングルモードを自由に切り替えることができるため、簡単に2つのコンピューター間での接続を切り替えることが可能です。 利用されるもう1つの分野は、昨今非常に人気のあるeスポーツ業界です。eスポーツでは、非常に高いマウス感度と応答速度を必要とします。Bluetoothを接続に使用すると、求められる伝送スピードをほとんど満たすことができません。その理由は、USB HID仕様を通じたBluetooth®デバイスの反応が悪いためです。そのため、eスポーツ用のマウスでは、メーカーが独自に開発した高速ワイヤレス技術を使用することで、ユーザーのニーズを十分に満たすワイヤレスマウスを実現しています。独自開発の技術を使用しているため、コンピューター側ではUSBドングルを使用します。 図2:市販されているeスポーツ用マウスは、ドングルで高速伝送を実現   2.4GHzワイヤレスの共存がワイヤレスマウスに与える影響は 以前、共存状況下においてワイヤレスキーボードに発生し得る問題についてご説明しました(Bluetooth®キーボード性能検証と分析を参照)。今回は、ワイヤレスマウスの共存パフォーマンスについて説明します。オフィス環境であろうとeスポーツの大会であろうと、環境全体は様々なワイヤレスデバイスによって干渉を受けてしまいます。アリオンは豊富なワイヤレステストの経験に基づいて、2.4GHzワイヤレスの共存がワイヤレスマウスに与える影響を以下の様に要約しました。 マウスカーソルの移動中にラグが生じる マウス操作が全く機能しなくなる [...]

【連載企画 – サーバー検証:設備編】PCIe5.0テスト機器はどう選ばれたのか?

Allion Labs / Eric Chen 近年のクラウドサービスの台頭に伴い、データ量が大幅に増加したことで、データコンピューティングやストレージのニーズが高まり、サーバー業界は顕著な成長を続けています。アプリケーションサービスの分野では、スマート時代の到来により、様々なニーズが生まれてきました。AIの分野では、コンピューティング速度と画像伝送帯域幅に対する需要も日々高まっています。また、5GのコネクテッドカーとIoTの急速な普及も相まって、リアルタイムの応答時間と帯域幅の要件が更に高まっています。新世代アプリケーションのニーズに対応するため、企業はサーバーのストレージを拡張するだけでなく、サーバー自体のデータコンピューティングの応答時間及び伝送速度の仕様も継続的な向上が求められています。 昨今サーバーマザーボードの高速信号伝送インターフェース規格は様々ありますが、中でもPCI Express(PCIe)は最も重要な伝送インターフェース標準仕様であり、その拡張性アプリケーションも増加しています(例:NVMe SSD、CXL等)。そのため、サーバー全体のパフォーマンスを向上させるための最速かつ最も効果的な方法は、更に高いPCIeの標準仕様を採用することです。現在、サーバー業界全体が続々とPCIe 5.0仕様の導入を開始しており、その帯域幅は前世代の2倍となっています。各チャネルが16Gbpsから32Gbpsに変わり、これは、X8では合計256Gbpsとなります。つまり、PCIe5.0x8と100Gbpsまたは200Gbpsのイーサネットとの組み合わせにより、サーバーは、これまで以上に高いスループットを必要とする現在の市場の需要を満たすことができます。                 図1:ラックマウント型サーバーのイメージ PCIe 5.0の信号伝送速度は4.0の2倍であるため、仕様ではチャネルとコネクタの損耗および反射の定義がより厳密になります。また、受信機と送信機のイコライゼーション仕様にも新しい規定があり、データレートが16GT/sから32GT/sに増加することを考慮すると、立ち上がり/立ち下がり時間が速くなり、ユニット間隔(UI)の狭まり、挿入損耗が大きくなります。発生が想定される問題全てに対し、設計およびテストプロセスにおいて特別な注意を払わなければなりません。 それでは、PCIe5.0テストに必要な機器から見てみましょう。 高精度な特定の信号測定のためのビット誤り率テスト(BERT)およびパルスパターン発生器(PPG) [...]

新しいスタンバイモード「モダンスタンバイ」の紹介とテストケースの分析
新しいスタンバイモード「モダンスタンバイ」の紹介とテストケースの分析

Allion Labs / Abel Hsu   新しいスタンバイモード「モダンスタンバイ」とは? システムスタンバイはPCシステムの電力管理に必要不可欠な部分です。PCのパフォーマンスと限られたバッテリー容量の適切なバランスをとることが、重要且つ大きな課題となっています。例えば、PCシステムは使用されない時にスタンバイモードに入り、消費電力を効果的に制御して使用時間を長くします。また、スタンバイモードから通常の動作環境への復帰は、シャットダウンして再起動するよりもはるかに待機時間を短くします。 「モダンスタンバイ」とは、Windows 8で「コネクテッドスタンバイ」として最初に導入された従来のスタンバイモード(S3)から開発されました。OSが改訂アップグレードした Windows10の時代になると「モダンスタンバイ」へと発展しました。モダンスタンバイのコンセプトは、主にPCシステムがスタンバイモードから通常の操作ができる状態にすぐに戻るという、即時復帰のユーザーエクスペリエンスを提供することです。 この概念は、私達の生活の中にあるスマートフォンの操作方法によく似ています。画面のロックを解除した直後に使用できます。画面がオフになっても、バックグラウンドでインターネットへの接続が維持され、SMSの受信や通信ソフトウェアのメッセージをリアルタイムで送受信できます。 モダンスタンバイは、バックグラウンドでネットワーク接続を維持し、且つ新しい省電力テクノロジーで制御し、ネットワークに接続されている範囲で、ソフトウェア操作を維持します。ハードウェアとソフトウェアにおいては、ACPI低電力アイドルを介して、パワーエンジンパフォーマンス(PEP)やD3デバイスの電力ステータス等をサポートします。モダンスタンバイは回転式ストレージメディア(HDD)も、ハイブリッドのストレージメディア(SSD + HDD)のシステムにも適用できます。 [...]

あなたの血圧計は十分にスマートですか?

Allion Labs / Henry Hung 血圧の大きな変動は、健康上の問題が起こっていることを示します。高齢者や高血圧の患者にとっては、日常的に血圧を測定することが重要です。そのため、多くの医者は人々に家で血圧を測定するために血圧計を購入することを推奨しています。 血圧計には、手動と自動の2種類がありますが、家庭で一般的に使用されているのは自動のデジタル血圧計です。従来のデジタル血圧計は、通信機能などを持っておらず、測定した血圧を血圧計に蓄積するだけだったため、血圧変動の管理を行うためには測定結果を別途、紙に書き留める必要がありました。 しかし、昨今一般的になってきた、通信機能を持つスマートデジタル血圧計のアプリケーションを使うことにより、データ管理がより簡単になり、ユーザはいつでもスマートフォンで血圧の変化を確認することができるようになりました。 スマートデバイスはなぜ不具合を起こすのか *注: 厚生省が交付した医療機器の管理に関する規則によると、アリオンは医療機器の検査を行う資格がありません。そのため、血圧計の精度についてはこの記事では説明しません。 スマートデジタル血圧計で当たり前に使っている機能が使えなくなったとき、ユーザは不満を感じます。下記に、ユーザがスマート血圧計について不満に感じていることをまとめました。 血圧計がBluetoothでスマートフォンにペアリングできない デバイスペアリングに失敗する アプリケーション操作の失敗 [...]

品質管理―製品を成功させる秘訣

Allion Labs / Jacky Hou & Vanex Hsu   品質管理 – 検証の重要性 製造はサプライ制御、生産、梱包、出荷など様々な段階から構成される複雑なプロセスです。製造プロセスのすべての段階は、厳格な運用手順と品質要件で管理されています。監査と検査は製造プロセスの欠陥を未然に防ぎ、製品の品質を確保するために最重要のプロセスです。しかし、1つの検査では不十分であり、メーカーはQAエンジニアリングチームや外注リソースの力を借りて、ランダムな監査やFATPによって歩留まりを上げる努力をしています。   独立したテストラボであるアリオンには、QAに従事する専門的なエンジニアのチームがあります。我々は、経験に基づき、異なる製造プロセスや製造ラインに対するQA確保のための手順を確立してきました。我々のQAチームは、現在の新型コロナウィルスのパンデミックな状況下でもサービスの提供を行っています。ほとんどすべての出張が禁止され、世界的な活動が制限される中、企業は人手不足を補うための代替案を模索している状況です。アリオンはこれまで、過去30年もの間、様々な国に向けたローカライズされたサービスを提供してきた実績があります。そのため、我々のチームはこのような環境にも素早く順応することができ、お客様が直接、海外拠点に向かうのが難しい中、お客様に代わって海外拠点の工場の監視を行います。 [...]