Category Archives: System関連記事

PCプライバシー保護ゲートキーパー「Human Presence Detection」ー 人感検知の応用と実測

Allion Labs/Ralph Liao パソコンの普及に伴い、ほとんどの人が自分のPCを持つようになり、プライバシーが重視されるようになりました。コンピューターがHPD(Human Presence Detection、以下HDP)センサーを使用して、ユーザーがわざわざ手動でシステムをロックしなくても、ユーザーが席を離れれば、画面オフや画面ロックを自動的に行い、席に戻れば自動的に復帰する方法を、いかにして有効化するかが、多くのメーカーにとって1つの課題となっています。 HPDの応用範囲 このような状況下では、個人のプライバシーだけでなく、情報セキュリティにもより注意を払う必要があります。プライベートでPCを使用する時、一時的に席を離れた隙に、画面をロックしなかったためにデータが漏洩してしまうことを想像してみてください。個人のプライベートデータであろうと、重要な企業秘密であろうと、情報の流出はユーザーに多大な損失をもたらすため、以下の様なアプリケーションによって開発されました。 オフィスアプリケーション 公共スペースアプリケーション(例:カフェや図書館) セキュリティアプリケーション(例:在宅ワーク、閲覧を許可されていない者から会社情報を守る) では、HPDはユーザーにとってどのような利便性があるのでしょうか。 高速応答: ユーザーがDUTに近づくと、ユーザーの接近を即座に検出でき、マウスやキーボードに触れたり、電源ボタンを押さなくても、システムを自動的に起動することができる 省電力: [...]

タブレットPCの評価 ー ワイヤレス性能比較編

Allion Labs/Cache Her タブレットPCの評価シリーズの第一部ではタブレットPCのバッテリー寿命と充電の比較を紹介しましたが、今回はタブレットPCのワイヤレス性能の良し悪しの違いを見てみましょう。ワイヤレスネットワークはタブレットPCにとって核となる重要な部分です。タブレットPCには有線ネットワークのインターフェースがないためインターネットを使用する場合、ワイヤレスネットワークを経由する必要があります。 タブレットPCがネットワークに接続するにはワイヤレスが唯一のパイプであり、タブレットPCを手にし、電源を入れた直後からワイヤレスネットワークを通してオンラインでアカウントを設定したり、ソフトウェアを更新したりします。また各機能の設定をしたのちウェブページの閲覧、オンラインショッピング、ドラマ、アプリのダウンロード、オンラインゲームをプレイするなどにはワイヤレスネットワークを必要とするため、これに関する性能はタブレットの良し悪しやユーザーの使用体験に大きな影響を与えます。 本編では主に異なるタブレットPCのワイヤレス性能の比較を紹介します。外部からの干渉を避けるため、またテストの一貫性を確保するためにテスト環境が電磁波を遮断できるシールドルーム(Shielding Room)で実行されます。 テスト項目には以下の通りです。そのテスト結果を以下に記しました。 アップロードとダウンロードのパーフォーマンス ネットワーク混雑下における送受信の性能 Bluetooth共存下の性能 Wi-Fiルーターと異なる距離での使用に関する性能 この記事では「バッテリーの寿命と充電」をテーマとし、写真の5つあるタブレットPCについてそれぞれ比較と分析を行い、その結果を以下に記しました。 テスト結果  1. [...]

デスクトップPCのWi-Fiパフォーマンスの問題点と具体策(下編)

デスクトップPCのWi-Fiパフォーマンスの問題点と具体策(上編)の記事で、アンテナ設計と性能の影響を紹介しました。アンテナが変更された後も、2.4GHz RXでのスループット (Throughput) は高い減衰 (100m減衰) で失敗する現象が依然としてありますが、アリオンの調査によると、ノイズの影響で受信性能が低下している可能性もあります。以下では、最初にRFパフォーマンスデバッグの基本コンセプトと実際のアプリケーションを紹介し、一定の基礎知識を得た上で、それらの問題をいかに解決すべきかについて説明します。 ノイズ干渉の原因 いわゆるノイズとは、システム自体が不要な信号を生成することを指しますが、これによりパフォーマンスに影響を与えることをノイズと呼ぶこともあります。以下、システム内で考えられるノイズの発生源とソリューションを簡単にご紹介します。 まず、ノイズの発生源や漏れを元にアンテナがノイズを受信する場所を測定する必要があります。これは放射線(Radiation)で検索可能です。下の図は、近接場高周波プローブ(Near Field Probe)を示したもので、プローブがノイズの漏れや発生源に接近すると、周波数帯域の相対的なエネルギー変化をスペクトラムアナライザーで見ることができます。 近接場高周波プローブ(左上の写真):高周波プローブの外観構造は、通常円形または棒状です。円形構造にはさまざまなサイズがあり、測定エリアのサイズと異なる周波数のエネルギー強度に影響を与え、通常広いエリアでの迅速なノイズ検索に使用します。棒状のプローブは、基板の配線や部品のピンなどの狭い場所に直接接触でき、狭い範囲におけるノイズの発生源を確認する場合に使用します。 測定セットアップ(右上の写真):通常スペクトラムアナライザーは高周波プローブで操作できますが、低ノイズアンプ(LNA)を追加すると、ノイズエネルギーが増幅され、スペクトラムアナライザで表示されるノイズがより明確になります。 ノイズ干渉解決の方向性 通常、ノイズに対処するための2つの主な方向性は、PCB回路と構造の設計ですが、PCB回路は比較的複雑で放射源となる電子部品が多く、物理的な線の接触や高周波結合(Coupling)によって製品内部でノイズが拡散します。 [...]

タブレットPCの評価 ー バッテリーの寿命と充電の比較編

Allion Labs/Cache Her 2010年にアップルが発表したiPadは従来のキーボードやマウスを使って操作する一般的なパソコンに対し、マルチタッチスクリーンといった新たな操作方法を搭載していました。その革新的な操作方法はアップルだけでなくマイクロソフト、アマゾン、サムスン、ASUSなどのメーカーでも採用され、タブレット業界に大きな変革をもたらしました。 2012~2018年間でタブレットPCは徐々に広がっていき、ほとんどの人が認知しているものとなりました。タブレットPCは本体価格が安いことを理由に年齢問わず愛されていますが、それだけでなくタブレットPCの最大の魅力である操作が簡単なことやインターフェースがわかりやすいということ、操作方法とワイヤレスネットワークの使い方さえわかればパソコンとほぼ同じ作業できることも大きな利点でしょう。しかし、ユーザーはタブレットPCをどのようにして選ぶのが良いのでしょうか。そこでアリオンは様々なタブレット製品に関したテストを行い、5つの機能性指標をもとにまとめました: バッテリーの寿命と充電の比較 無線LANの性能検証 スクリーン性能検証 ユーザー体験 アプリケーション性能検証 この記事では「バッテリーの寿命と充電」をテーマとし、写真の5つあるタブレットPCについてそれぞれ比較と分析を行い、その結果を以下に記しました。 テスト結果 まずバッテリーの寿命について見てみましょう。バッテリーの寿命を計算する方法としてはバッテリーが100%から0%になるまでの時間を計算します。解像度は最大にした状態でYouTubeを再生し、明るさと音量はそれぞれ50%に設定します。これはバッテリーの寿命というのがバッテリーの容量に直接関わってくるためです。そして測定結果は次の表の通りとなりました。 全体のバッテリーの寿命としてはA社のモジュールAが2.45時間/per 1000 [...]

生産性を向上させる上での強力なパートナー「KVMモニター」とは?
生産性を向上させる上での強力なパートナー「KVMモニター」とは?

Allion Labs/Goldberg Chen   コロナ禍のため遠距離通勤(WFH)が主流となり、多くの人が自宅で仕事と娯楽を両立する今、そこには必ずや複数のパソコンやゲーム機がありますが、一般的には各ホストに1組の画面、キーボード、マウスを組み合わせる必要があり、大量のスペースを占めるほか、異なるパソコン間での作業を切り替えるのも面倒です。そこでこれらの問題を最も効率よく解決するために今回紹介するのがKVMです。   KVMとは? KVM(マルチコンピュータスイッチ)とは、キーボード、ビデオ、マウスの頭文字(Keyboard、Video、Mouse)であり、ユーザーがキーボード、画面、マウスのセットを通して複数のコンピュータをコントロールできるデバイスでもあります。これはスペースとコストの削減を達成させ、生産性を向上させることがです。もともとエンジニアはラック上の数百台、さらには数千台のサーバを相手しなければならなりませんでしたが、KVMを利用するとキーボード、画面、マウスのセットだけでよく、各サーバの中を忙しく走り回る必要もなくなり、KVMのホットキーを通じてどのサーバにも迅速に切り替えることができるため効率を向上させるためのツールになります。 KVMの概要には例として次のような利点があります。 複数のコンピュータ(またはサーバ)の容易なコントロール コンピュータ機器のコスト削減 スペースを節約し作業場所の乱れを軽減 一部のKVM製品などの充実度を高めるUSBハブとしても使用可能   KVMによって接続できるコンピュータやサーバの数も異なり、一般的によく見られるKVM接続ポートの数は2 [...]

アウトドアに不可欠な充電グッズ!モバイルバッテリーの選び方
アウトドアに不可欠な充電グッズ!モバイルバッテリーの選び方

Allion Labs/Dreaming Chou モバイルバッテリーは名前通り、ユーザーが外出する時に携帯する電源供給装置です。現在マルチ機能のスマートフォン及び高画質のメディアニーズに連れ、消耗する電量も増えました。ところが、2020年より、コロナ禍によって、ユーザーの習慣が変えられ、多くの人は外出を控え、それに伴って、オンライン授業、リモートワークの需要が生じ、人々の生活と使用習慣を根本的に変えました。それにより、消費者がモバイルバッテリーのニーズが著しく減少、市場販売量も停滞していました。幸いなことに、ワクチン接種、及びコロナ軽症化の傾向、ポストパンデミックの時代に入り、通常の通勤通学に戻り、リベンジ旅行解禁、レストランの写真をSNSに投稿、通勤中の動画視聴、ゲームで時間をつぶす日常生活が一つ一つ戻ってきました。スマホ、持ち運ぶ電子製品が電池切れにならないように、多くの消費者が出かける時は様々な充電グッズを持ち歩きます。これもモバイルバッテリー製品のニーズの回復に繋がります。 この二年間、モバイルバッテリー市場の停滞期を経て、需要の増加のほか、一部のユーザーも古いバッテリーを新しいのに代わります。しかし、モバイルバッテリーの爆発事故は時折りにニュースになります。モバイルバッテリーを選択購入前に、知ておかないといけないキーポイントがあります。下記はアリオンがODM及び各大手メーカーお客様に長年サービスを提供、集めてきた経験から纏めたポイントを参考としてご紹介します。  一部選び方のポイントが六つに分かれています  安全保障 容量体積 ポート規格 充電技術 対応装置 互換性問題  1. 安全保障  多くのブランドが販売しているモバイルバッテリーは安全承認がないと販売できません。例えば、BSMI(台湾商品試験)、CE(EU合格認証)、FCC(連邦通信委員会)など、販売する現地の法律に従います。また、一部の業者は自身の製品に安全保護設計を取り入れたことを表示します。通常のは過充電/過放電保護、過電圧電流保護、短絡、又は過熱保護があります。PL保険を追加する商品もあり、又は第三者検証ラボの試験レポートを提供します。例:  2. 容量体積  [...]

USB4とThunderbolt 4に関する規格の違いはきちんと把握できていますか?
USB4とThunderbolt 4に関する規格の違いはきちんと把握できていますか?

USBの移り変わり  USB(正式名称:ユニバーサル・シリアル・バスUniversal Serial Bus)は私たちの生活の至る所で見られます。現在のテクノロジー製品において最も普及しているデータ伝送インターフェースで、パソコンとスマホおよびさまざまな周辺機器、更に他の分野の製品に発展し幅広く使用されています。USBはさまざまなパソコンの周辺デバイスとの接続問題を解決するために、IntelとMicrosoftが提唱したのが最初で、プラグアンドプレイを設計目標としていました。1996年にUSB 1.0が発表され、そのデータ伝送速度が1.5Mbps(Low-Speed)と12Mbps(Full-Speed)でしたが、当時はまだ市場で普及していませんでした。   USB 2.0 2000年にUSB 2.0の時代となり、理論上のデータ伝送速度は480Mbpsとなり、USBインターフェースに対応しているパソコンの普及に伴い、USBも徐々にパソコンの標準インターフェースとなり、同時にこの時期は下図のように目まぐるしくさまざまなUSBインターフェースが出始めた時期でした。   USB 3.0 2008年にUSB 3.0が発表され、理論上のデータ伝送速度5Gbpsに大幅にアップされました。同時に下位スペックのUSB 2.0との互換性も取れるようになったのですが、そのUSBインターフェースはUSB 2.0と比べると若干異なっており、種類が乱立しました。 [...]

デスクトップPCのWi-Fiパフォーマンスの問題点と具体策(上編)

近年では、無線LAN(Wi-Fi)とBluetoothの両方を搭載したデスクトップPCが増えています。自宅やオフィスに接続できるネットワーク環境が整っていれば、Ethernetケーブル(LANケーブル)がなくても、インターネットに接続できるのが大きなメリットがあり、利便性が高くなります。 ユーザー側で従来より快適なネットワーク環境を利用できる一方、ODM(メーカー)側にとって開発の難易度とコストが増してきます。デスクトップPCメーカーの開発チームメンバーは電子関連の専門知識を背景に持っているのが一般的ですが、有線信号(LAN)と無線信号(Wi-Fi/Bluetooth)に対する通信品質を確保するよう、専門のRFチームを構成し、無線周波数に関する設計・テスト・統合を行うメーカー企業さまもいらっしゃいました。 本記事ではODMが設計した小型のデスクトップPCはスループット(Throughput)が規格を満たさない場合はどのように検証するかをお話します。   事例紹介  ■ テスト背景  過去あるODM様は自社の無線製品に対しスループットパフォーマンス評価を含める基本機能テストをすでに実施していましたが、製品リリース後効果が期待はずれになってしまうのです。というわけで、関連検証テストをアリオンに依頼されました。 当社はまずアンテナメーカーに併せて基本の仕様設計から、アンテナ設計、ハードウェアの回路構築、機構設計及びデバイスドライバまで確認し、あらゆる方向性から問題を一つ一つ排除して根本的な問題を確認しました。 アリオンの長年の検証テスト経験では、スループットパフォーマンスをより一層向上させるために、見える問題を一つずつ解決するだけでなく根本的な原因を発見するのが必須です。 ■ テスト手順  RF性能問題をデバッグする際に、テスト方向性を間違わないよう、以下の手順に沿って確認を行うことを推奨します。 1. まず、元の状態のスループット測定データ(即ちBaselineデータ)を確認し、その後の比較用データとする 2. 今後の判断基準として、基本ソフトウェア、ファームウェア及びOS関連の情報が正しいかどうか、また既存の問題点が存在していないか確認する。以下の注意点をご参照ください: [...]

規格や速度が多種多様で、絶対に軽視してはならないUSB Type-Cケーブルの互換性問題
規格や速度が多種多様で、絶対に軽視してはならないUSB Type-Cケーブルの互換性問題

電子機器の廃棄量を大幅に低減させるため2024年の秋から、電子製品は全面的にUSB Type-Cコネクタによる充電に変更すると、先日欧州連合(EU)で議会の決議を得て正式に法律が制定されました。これにより今後より多くの電子製品はUSB Type-Cインターフェースを採用すると予測されます。同時に、大容量のモバイルバッテリーやPD充電器の給電ニーズもその影響を受け、電力仕様が48V/5Aに引き上げられるでしょう。 充電の他にも、USB Type-Cはスマホ・タブレットなどの小型デバイスとパソコン間の接続に使用されています。また、USB Type-Cを使用することで、モニターやSSDもより高いデータ伝送速度、及びより多くの種類の通信プロトコルに対応することとなります。しかし、インターフェースが全面的に統一されると、デバイス間の接続は本当により便利になるのか気になるところです。 USB Type-Cを使用している多様な製品、そのケーブルのスペックもさまざまで分かりにくい  USB Type-CにはUSB 3、USB4、Thunderbolt 3、Thunderbolt 4…などさまざまなプロトコルが含まれていて、異なる製品の利用において、対応するUSBバージョンと速度も異なります(下表)。 どれもUSB Type-Cインターフェースが使用されていますが、プロトコルのバージョンと速度が違うため、最高のパフォーマンスを得るためには、システム/デバイス/ケーブルがマッチングしていなければなりません。また、異なるデバイスやシステムでは、必要になるケーブルも同じとは限りません。 [...]