「デジタルホームの時代」と呼ばれて久しい昨今では、好きな時間にテレビ番組を見たり、世界各地とボーダレスに繋がったり、タブレット型端末で新しい知識を学習したり、オンラインゲームを自由に楽しんだりすることが、インターネットを通じて簡単に実現できるようになりました。こうした中、モノのインターネット(IoT)やクラウドサービス(Cloud Service)といった新たな技術や概念が登場することで、「デジタルホームの時代」から「スマートホームの時代」へと移り変わり、より高性能かつ多機能な製品が以前にも増して求められるようになりました。

一般的な家庭では、一台の多機能通信端末を設置するだけで簡単にデジタル家電製品を利用することができるようになりました。アップルのHomeKitプラットフォームや、パナソニック、大和ハウス、トヨタホームといったスマートホームを推進するメーカーが、数多くのスマートホーム関連製品を発表しています。例えばドアや窓の防犯システム設定や、キッチンのガス探知機の始動、電灯の明るさや消灯スケジュールの設定など、スマートフォンを通じて様々な操作が可能です。省エネ、安全性、自動検出といった家庭環境がアプリケーションを通じて直感的に操作できるようになるのです。

スマートホームの概念を実現し普及するために、製品メーカーに対しては製品の通信性能や製品の安定性、製品同士の接続互換性などの品質が市場から厳しく求められるようになっています。こうした中、アリオンのような専門的な検証ラボで品質確認を実施することは、製品品質の向上を実現するために最も有効な手段の一つなのです。

アリオンのスマートホーム検証

アリオンでは、スマートホームを利用した生活環境をカスタマイズした検証プログラムを開発しました。この検証プログラムは、スマートホームにおける主要な機能である「クラウドサービスとデータ交換」(Cloud Service/Data Exchange)、「ユーザーインターフェース/アプリケーション」(UI/APP)及び「エンドユーザーデバイス」(End User Device)に対する検証から主に成り立っています。製品メーカーがエンドユーザーに最高の体験を提供できるよう、各開発段階における技術的なコンサルティングサービスを提案しています。

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図1:アリオンのスマートホーム検証

アリオンのスマートホーム検証サービスは、主に下記の検証サービスを提供しています。

  • ハードウェアの開発サポート
  • ソフトウェア/アプリ検証、およびユーザーエクスペリエンスの最適化
  • クラウドサービス検証
  • RF信号および接続インターフェース検証
  • 相互接続性試験

上記の検証サービスのほか、データ転送技術の検証分野で豊富な経験を持つアリオンでは、国際的な標準認証団体から第三者認証試験機関として認定を受けており、Wi-FiDLNABluetoothG.hnといった家庭内環境において重要なロゴ認証試験を提供しています。

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図2:ロゴ認証規格マーク

アリオンではWi-Fi認証ラボとして、以下に記載する18項目Wi-Fi認証サービスを提供しています。(図3参照)。また同時に、Bluetooth認証ラボ(BQTF)として認証試験を提供しています。これらの認証試験技術を持っているため、アリオンのスマートホーム検証ではBluetoothなどの技術規格に関する検証も実施することができます。更に、アリオンはホームネットワークに関する標準認証団体であるHomeGrid Forumからアジア地域で初めて認められたG.hn試験の認証ラボでもあります。協会と密接な関係を構築しつつG.hn認証の普及促進を行いながら、20156月より電力経路、同軸ケーブル、電話回線に対する認証試験を開始する予定です。

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図3:アリオンのWi-Fi認証試験 サービス一覧

豊富な検証経験と技術力で様々なお客様の製品検証に貢献してきた実績を持つ中で、アリオンは国際的にも著名なお客様とパートナーシップを結び、新製品を市場へと販売する際のお手伝いを続けてまいりました。しかしながら、たとえ標準認証規格に合格した製品であっても、実運用面では製品のパフォーマンスが発揮できない、といった問題に直面することがあります。こうした問題は、専門の検証機関でさえ正確に再現するのは困難であるのが現状です。

一般的な検証機関では、安定した試験環境下で正確な試験を実施することによって、製品が認証プロセスにおいて仕様に準拠していることを確認します。しかし、ここで得られた結果は、実際の製品利用時における相互接続性やデータ転送性能とはかけ離れています。検証機関で実施される試験環境は、一般的な生活環境とは大きく異なり、外部からの干渉による影響が極めて少ない密閉空間です。実際の生活環境においては、製品は他の無線信号による干渉の影響を受けやすい状況下にあり、これによって通信速度が低下するといった問題が発生します。また、製品を通常とは異なる目的で利用することや、アンテナ設置角度、無線信号の反射などは製品の機能に間接的な影響を及ぼします。

こうした現実的な生活環境を再現するために、アリオンでは一般ユーザーの志向、生活習慣、生活行動を考慮した新たな「スマートホーム評価環境」を構築しました。この新たな試験環境では、アリオンは製品設計の品質と性能を確認し、多様なお客様の需要に基づいたカスタマイズサービスを提供しています。

スマートホーム検証、アリオンの新たなコンセプト

当社のCTSPCentral Taiwan Science Park)ラボ近くに建設されたアリオンのスマートホーム評価環境は、3室のベッドルーム(メインルーム、ゲストルーム、子供部屋)と2つのリビング、2つの風呂・トイレが備えられた典型的なマンションの一室です。一家3人での暮らしを営む一般的な家庭、というコンセプトで作られました。

室内には基本的な家具(ソファ、テレビ台、ベッド、デスク、クローゼット)が設置されているほか、一般的な家庭でよく利用されている家電製品(テレビ、無線オーディオ、無線PCLED電球、等)を設置しており、これを評価環境の基本としています。さらに、複数の電力ネットワーク経路と、13の家庭用ワイヤレス通話システムを取り付け、これに加えて他の家電製品に最も干渉しやすい2.4GHz帯域を使った電子レンジも設置しました(図4参照)。

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図4:スマートホーム評価環境見取り図

アリオンが設計した生活シーンでは、様々な製品に対応したテストシナリオの設計が可能です。試験目的を設定し、相互接続性やデータスループット、OTA等のシミュレーション試験を実施することができます。以下に当社で実施できる二つの事例をピックアップしました。

1:タブレット型端末の利用シーンと連結機能の試験

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例2:G.hnパワーラインアダプター(G.hn Power Line Adaptor)利用シーンの試験

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アリオンの試験では、事例として紹介した上記の製品群を含め、さまざまな種類の製品に対応させることができます。例えば、Bluetooth製品業者であれば、Bluetooth対応のリモコンやイヤホンを操作する際に、同時に利用しているWi-Fiと互いに影響を及ぼし合わないかどうかを確認できます。通信会社であれば、ワイヤレスマイクがLTEによる通話に影響を及ぼさないかどうかを確認できます。携帯電話メーカーであれば、様々なメーカーの携帯電話が共通のネットワークを介した際に、スマートコントロールセンターに影響を及ぼさないかを確認できます。

以上で紹介した新しいスマートホーム検証プログラムを通じて、アリオンでは実生活での利用環境に近い試験をお客様に提供できるようになりました。このように、IoT時代の到来を迎えるべく、アリオンではお客様の新たな需要に応じた積極的な設備投資を行ってまいりました。20年以上に渡るIT製品検証実績に基づき、標準認証試験と品質検証で培った経験を融合させることで、スマートホーム検証という新たな試験環境を創出しています。

今やスマートホームは、技術の発展と関連企画の浸透により一般的な家庭にも普及し始めています。家庭環境ごとに使われる製品が異なるため、幅広い評価環境を取り揃えた専門的な検証ラボでなければ、スマートホーム製品に対する試験実施は困難です。アリオンは今後もスマートホーム分野の発展に寄与できるよう、試験の開発と設備投資を続けてまいります。

 

関連項目

スマートホームテクノロジーと検証の要点

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