世の中にあるメッシュWi-Fiの広告ではどれも、ネットワークカバレッジを向上させてネットワーク信号の強度を高めることができる、と謳っています。そのため多くのユーザーは、機器さえ購入すればシームレスに高速ネットワークを利用できると考えてしまいますが、やってみるとなかなかそうはいかず、ネットワーク信号は、広告がうたっているようなデッドスポットがなくずっと途切れないものにはなりません。それでは、広告に偽りや誇張があるのでしょうか。
必ずしもそうとは言えません。メッシュWi-Fiが効果を最大に発揮する鍵は、メインルーター（ホスト）と各アクセスポイント（以下AP）間の距離とレイアウト設計にあるからです。しかし、多くのメーカーはどのようにAPのレイアウトをデザインすればいいか、普通は教えてくれません。そこで、アリオンの専門家チームが第三者試験機関として市場でメジャーな3種類のメッシュAPを対象に試験を実施し、メッシュAPを構築するコツを説明します。
業界初 誰も教えてくれなかった構築のコツを伝授！
レッスン1 電波の死角に配置すれば、すべての問題が解決できるか？
「室内の信号が弱い場所にAPを置けばネットワーク遅延がなくなり、より多くの人が同時に使用できるようになる？」
多くのユーザーは、信号が弱い場所にAPを置きさえすれば、信号範囲や伝送速度などの問題を解決できると考えています。しかし、メッシュAPの性能を左右する要素は、レイアウト設計のほかにも、エリア内の家具材質と設置場所、同じ周波数帯を使用している生活家電などが考えられます。メッシュAPの性能を十分に引き出し、複数階に広くまたがるようなエリアで多くのユーザーに安定したネットワークを提供するには、このような要因を考慮する必要があるのです。
【アリオンのテストレポート】
試験環境：5人のユーザーが同時にライブストリーミングする状況をシミュレートし、APを死角に設置した時の効果を検証
アリオンは、市場でメジャーな3種類のメッシュAPを用いて検証を行いました。その結果、APを死角に配置しても1～2名のユーザーにしかネットワークを提供できていなかったことが分かりました。
図１：各製品のスループット値（以下T-put値）
ライブストリーミングを同時に5人で使用する場合、90Mbps程度のT-put値が理想的です。しかし、試験を行った結果、すべての機種でT-put値が低く、特にブランドBは5.14 Mbpsしか出ていませんでした。
メッシュWi-Fiを信号の死角に配置しても、必ずしも全体的なネットワークのスピードとカバー範囲の増強にはつながりません。考えるべきなのは、いかにユーザーの要望にあったメッシュAPを選び、ホストとその他のAP間との最適距離を探し出すか、エリア全体の設計を行うかなのです。
レッスン2 どうやって最適なメッシュAPを選び出すか？
メッシュAPのパフォーマンスはエリアの状況によって異なるとはいえ、市場で販売されているメッシュAPの性能も同じというわけではありません。実測してみると、各APの最も遠い使用可能距離（メートル）に違いがありました。
【アリオンのテストレポート】
試験環境：ホストとAP間の最も遠い使用可能距離を探るため、5人のユーザーが同時にライブストリーミングを行えることを条件に、ホストとAP1間の最大カバレッジ率を調査した
図２：メッシュAP間の最も遠い使用可能距離
図２の通り、3つのメッシュAP間の最も遠い使用可能距離は、それぞれ異なります。では、なぜこのような差が生まれるのでしょうか。鍵となるのはメッシュAP自身の特性、信号処理能力、そしてトライバンド機能に対応しているかどうかです。AP1とメインルーターの使用距離が分かったので、次に私たちはメインルーターといくつかのAP間の設置距離について調べました。
レッスン3 メッシュAPをどのようにレイアウトすればよいか？
ユーザー「結局どういうレイアウトすれば、メッシュAPのネットワークは早くて安定したものになるの？」
アリオンのテストレポート：
試験環境：一般的に、市場で販売されているメッシュAPの多くは、1つのホストと3つ～5つのAPで構成されている。ホストと複数のAP間での最も遠い使用可能距離を探るため、5人のユーザーが同時にライブストリーミングを行えることを条件に、AP1、AP2ルーター間の最も遠い使用可能距離を調査した
まず私たちはホストとAP1間の距離を独立変数とし、ホストとAP1の距離がそれぞれ55メートル、61メートルの時のAP1とAP2間の最も遠い距離を本実験における従属変数として、AP間の距離とネットワーク信号の関係について調べました。
結果は以下の通りです。
実験結果より、AP1とAP2間の距離は、ホストとAP1間の距離によって変化することがわかりました。
機種CのメッシュAPを例に取ると、ホストとAP1間の距離が55メートルの時、AP1とAP2間の最も遠い距離は43メートルになります。しかし、61メートルの時は、AP1とAP2間の距離は9メートルと急激に短くなりました。各ブランドの機器の能力に差はありますが、ホストとAP1間の距離が遠い場合、AP1とAP2間の距離はどれも短くなりました。
また、機種AのメッシュAPは、ホストとAP1の間の距離が61メートルの場合、機種AのMesh APの総距離は103メートルで、ベストカバー範囲が想定されますが、55メートルになると全体的なカバレッジはわずか97メートルです。
これらの実測データを総合し、一般的なユーザーの住宅内で家電が発する信号、作り付けの家具といった干渉要因も考慮した上で、アリオンのプロチームは、メインルーターとAP1をレイアウトする時、両者の距離が50メートルを超えないようユーザーに提案しています。これにより、ほかのサテライトAPに安定した信号を送ることができ、全体をカバーしたスムーズなネットワークを作り出すことができるのです。
アリオンのプロフェッショナルがメッシュWi-Fi構築の極意を提供します
AI時代の到来に応えるようにワイヤレス機器は進化を続けており、ユーザーの高速ネットワークと広大なカバレッジに対する需要は日々高まるばかりです。メッシュWi-Fiの登場によって、スムーズで高速なネットワーク体験がもたらされました。しかし、一般ユーザーはメッシュAPを購入する前に製品を慎重に選択するだけでなく、実際はメッシュAPがエリア内のさまざまな要因の影響を受けることを理解する必要があります。
これらのテスト結果は、APを死角に設置することが、必ずしもネットワークの速度とカバレッジの改善を保証するものではないということを示しています。また、市場で販売されているメッシュAPの機能と仕様は同一ではなく、一般ユーザーは製品を選択する際に注意する必要があります。このほかにも、ホストとAP間の距離がネットワークのパフォーマンスに影響を及ぼすため、メッシュAPを構築する際には、AP間の最適な距離を計算することでネットワークの安定性を確保する必要があります。
アリオンは、お客様に代わり最高のネットワークエリア構築を実現します。それぞれの状況に合わせたカスタマイズサービスと、メッシュWi-Fiの特性テストを実施することで、大きなエリアだけでなく小さなスペースでも、広い信号カバレッジの構築、シームレスローミングの実現、快適な使用体験をあなたのためにデザインします。
※これらのテストは2.4GHzおよび5GHzの干渉が少ない制御された環境下で行われています。最も遠い使用可能距離の定義は、LOSに障害物のない状況で、5人のユーザーのスマートフォンに対して同時にライブストリーミングを提供できる直線距離としています。