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カメラ、携帯電話やタブレットPCを充電する時に、その機器専用の充電器を見つけるのに手間取った経験はありませんか? 持っている充電器も、どの製品用だったか判らず、埃をかぶっているものも多いかもしれません。

電子機器のハードウェアとソフトウェアの技術革新が続いていたにも関わらず、メーカーは付属品、特にこの手間のかかる充電器を改善には熱心ではありませんでした。しかし、ワイヤレス充電の普及と規格統一により、ついに問題が解決できるかもしれません。

ワイヤレス充電は、特別な技術革新ではなく従来から存在した技術です。浴室で使用する電動歯ブラシや髭剃りなどでは使われてきました。ワイヤレス充電により、電気機器は充電端子やコネクタが無くなるので、水濡れによる漏電や故障を防ぐ事ができます。今日ではワイヤレス充電には様々な伝送方法があり、「磁気誘導」と「磁気共鳴」の2つが、安全性と技術の完成度から、主流になっています。以下に、これら二つの技術を紹介します。

磁気結合(Magnetic Induction)

磁気結合に、送信側と受信の両方の側にコイルが必要で、二つのコイルは磁気的に結合します。送信側コイルに交流電流を流し磁場を発生すると、受信コイルに電磁誘導で電流を発生します。この磁場の変化により電池への充電や、機器が必要なエネルギーを発生できます。この電磁誘導では、送受信デバイス間の距離に物理的な制限があり、5mm程度の短い距離ですら大きなエネルギー損失があります。また、磁気誘導で受信されなかったロス部分のエネルギーは熱に変わるため、周辺にある金属や、使用する機器の温度上昇を発生させる危険があります。

 

磁気共鳴(Magnetic Resonance)

磁気共鳴の理論は、電磁誘導において、送受信側双方が同じ共振周波数を用いる事で、高効率でエネルギーを送信できます。ただし、磁気共鳴を起すには、コイルの径、巻き数、距離などの要素を考慮した、ピンポイントの条件を実現する必要があります。ですから、磁気共鳴は、電磁誘導における条件の最適化と言い替える事ができます。

市場調査会社IHS iSuppliによれば、2012年には500万台以上の電子機器がワイヤレス充電機能されていて、2015 年には1億台を上回ると推定されています。ただし、ワイヤレス充電技術は、まだ統一された標準仕様を持っておらず、現在固有の技術を推進している団体や企業は、自分の方式の採用を望んでいますが、すべての分野での製品が使えるような統合された技術は未だに登場していません。ワイヤレス充電技術では、消費者向け家電製品、パソコン、車メーカのそれぞれが、自社方式に関連する特許を登録・保有しています。こうした特許を武器に、各方式を推進する団体の争いは続くと思われます。

 

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Picture: Panasonic’ Wireless Chargeable Portable Battery

パナソニックの携帯型ワイヤレス給電バッテリー

 

どこでも接続できる:ワイヤレス充電のさまざまな規格団体

磁気誘導技術を採用している団体は、Wireless Power Consortium (WPC) and Power Matters Alliance (PMA)です。WPC は約 130 社が参加し、の公式ロゴ「Qi」を採用した製品は、140 以上あります。その中で、ノキアの Lumia 920 HTC Droid DNA ,Qi対応の代表的な無線充電デバイスです。現在、次世代のQi仕様が審議中で、ここではワイヤレス充電による標準充電仕様の策定を目的にしています。

WPC A4WP PMA
正式名称 Wireless Power Consortium Alliance for Wireless Power Power Matters Alliance
伝送方式 電磁誘導 磁気共鳴 電磁誘導
会員数(2012末) 137 36 40
認証製品数 141 0 0
主要な会社 Philips, Panasonic & HTC Qualcomm, Samsung & NXP BlackBerry, Starbucks & NEC

バッテリーメーカー、デュラセルはPMA に参加し、マディソンスクエアガーデンや、デルタ航空のVIPルームでワイヤレス充電サービスを提供する計画をしています。スターバックスとマクドナルドにおいても、ワイヤレス充電の普及の為に、サービスを提供する計画をしています。一方で、携帯電話では、さまざまなワイヤレス充電仕様が存在する為、これら全てをサポートすることはできません。多くの企業が、この分野への投資と参入を考えていますが、世界共通の標準仕様は現時点では存在していないので、この方式にコミットするかは まだ態度を決めかねています。

アリオンの専門家チームの分析では、全ての方式で充電効率の向上を目指しており、それにより出力も増やし充電距離を伸ばそうとしています。磁気共鳴では、充電する機器の位置合わせの自由度が高く、複数の機器を同時に充電する事ができる事が、実用面での特徴になっています。複数の機器を充電できる事は、利用側のコスト削減につなげる事もできます。

 

アメリカで発売された、HTCのワイヤレス給電可能なDroid DNA

 

医療機器の分野など様々な分野でもワイヤレス給電が導入

ワイヤレス充電は充電用コネクタや筐体の穴を無くせる事から、新世代スマートフォンのデザイン面で、非常に重要な要素になっています。PCの分野では、インテルは Ultrabook2013末に、ワイヤレス充電機能を搭載する事を発表しています。さらに医療分野では、スタンフォード大学から体内に埋め込みワイヤレス充電を行う医療用デバイスが発表されました。このワイヤレス電力伝送のマイクロデバイスは、人工心臓や、心臓用ペースメーカーに用いられ、従来電池交換に必要だった手術無くして、半永久的に使う事を目的にしています。
言い替えれば、ワイヤレス充電の利便性は、コネクタや電源コードを必要とせずに、電池駆動のデバイスを作れる事にあります。これはポータブル デバイスに限らず、電気自動車のような大電力のものでも利用可能です。磁気共鳴によるワイヤレス充電は、トランスミッタとレシーバー側の距離を短くする事で、エネルギーの損失を回避する事が可能です。中電力または高電力の市場では、ノートパソコン、テレビ、電気車関連アクセサリーなどへの利用が計画されています。磁気共鳴の技術は、様々な企業や、団体が注目して技術開発を行っています。

現時点では世界標準の仕様が存在しないので、市場の無線充電の開発は、鵺やキメラのように様々な方式と充電器が存在しています。消費者は、規格統一になった場合に、自分が持っている製品が規格外になってしまう事を危惧するでしょう。同時に、複数の規格が存在する為に、認証された製品間でも、互換性の問題が発生します。例えば、Qiロゴの付いた製品間でプロトコロの問題で、充電がスムーズにできない場合があります。

このような、様々な問題があるにも拘わらず、ワイヤレス充電は 今後間違いなく市場で主流の技術になる事は予想できます。携帯電話での採用は、これらの3つのワイヤレス充電のアライアンスのデファクト化には、非常に重要な影響を与えるでしょう。
当社アリオンは、製品の認証、評価の専門家として、ワイヤレス充電分野での技術動向を負い、今後も市場の最新動向を提供致します。

 

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