テレビもMatter対応を開始！無線接続の裏に潜むリスクをいくつ知ってますか？（１）

Allion Labs

スマートホームの重要なマイルストーン – Matterプロトコル

調査機関Fortune Business Insightsによると、世界のスマートホーム市場は2022年時点に802.1億ドル相当で、年間平均成長率20.1％で成長を続け、2023年の939.8億ドルから2030年には3,382.8億ドルに達すると予測されています。

急速に成長する世界のスマートホーム市場では、主要なスマートホームIoTエコシステム間に互換性がないという問題を解決するために、Amazon、Apple、Google、Samsungなどの主要メーカーが中心となり、新しい標準「Matter」を立ち上げました。これにより、スマートホームエコシステムが簡素化され、Wi-Fi、Bluetooth、Threadを介した接続を通じて、さまざまなスマートホームデバイスの相互運用性と使いやすさが向上しました。現在、「Matter」規格団体であるCSA（Connectivity Standards Alliance）はすでに250を超える企業が参加しており、Matter技術を導入した製品がますます増えて、消費者がスマートホーム製品を購入、設定、使用する際により便利になることが期待されています。

これまで、消費者がスマートホームエコシステムを構築する場合、各ブランドに専用のゲートウェイ製品を組み合わせる必要があり、異なるエコシステム間では相互に通信することができませんでした。しかしMatterによるスマートホームエコシステムは、専用のゲートウェイ製品に縛られず、Matter認証を受けたホームコントロール製品を使用するだけで、相互にユーザーインターフェース（リモコンやスマートスピーカーなど）を組み合わせ、元々異なるエコシステム内のスマート家電製品を制御することができます。

引き続き中心的な役割を果たすテレビ、スマートホームエコシステムを結びつける

テレビは長い間スマートホームエコシステムにおいて中心的な役割を果たしてきましたが、Matterエコシステムでは、次のように、より多様な役割を果たすことになります。

ホームコントロール：クラウドかローカル接続を介して、ヒューマンコンピュータ相互コントロールインターフェースを利用し、Matterエコシステムにおけるデバイスを制御します。
- テレビ、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、ノートパソコンなど
ホームハブ：ローカル接続を介して、他のMatterデバイスを制御します。
- テレビ、スマートスピーカー、ルーターなど
エンドデバイス：多様な機能を備えたMatterスマートホーム製品。
- テレビ、スマート照明、カーテン、セキュリティセンサー、スマートドアロックなど

Matter認証ラボとして、アリオンにはテレビのテストで豊富な経験があります。上記の利用シナリオで、Matterエコシステム内でテレビ製品間の相互接続と機能利用の開発段階において、テレビメーカーが直面しそうな難題を予測しました。

テレビ製品向けのMatter仕様書はどのような内容か？
テレビ製品のMatter認証に関連するプロセスはどのような進め方になるか。
Thread / Wi-Fi / Bluetoothの認証を同時に提供できるラボはどこか？
内部検証を行う場合、どのようなテスト機器を購入する必要があるか？テスト環境と検証用のシナリオをどのように構築するか？
テレビとMatterデバイス間の接続と制御の方法は？
テレビがさまざまなデバイスと相互接続する際に、どのようなユーザーシナリオのシミュレーションを考慮すべきか？
テレビや他のスマートホームデバイス、ネットワーク機器との互換性と接続の問題は？

接続の課題を解決したMatterが、新たな問題を引き起こす？

アリオンはすでに60以上のMatter関連デバイスを備え、世界で最も包括的なMatterエコシステムのテスト環境を構築しています。アリオンのMatter専門家チームは、今回の実測検証を通じて、以下の問題を発見しました。

屋内ネットワークが正常でも、スマートテレビ経由でMatterスマートプラグデバイスを追加すると、そのデバイスが検出されないことがある。
スマートデバイスのアプリと異なるプラットフォームの共通アプリでは、デバイスの状態情報が同期されないことがある。
デバイスに接続できたとしても、「問題が発生しました」というエラーメッセージ（下の画像参照）が表示され、繰り返し操作に時間がじかかる。

上記の実例を見たうえで、もしこうした問題に遭遇した場合、間違いなくeコマースプラットフォームやメーカーの公式ウェブサイトにクレームを投稿し、ネガティブなレビューを残したくなることでしょう。製品がリリースされる前に潜在的な問題を特定し、自社のテレビ製品が他のデバイスと正常に安定して連携できるかどうかを確認できれば、ブランドがMatter市場で先行し、自社のテレビを多くの人がお勧めする「スマートホームの中枢」にして、ブランドの評判と市場シェアを向上させることができます。