USB Power Delivery (USB PD)とは?
電子製品や携帯機器が多数普及し、「充電」というのは日常生活に欠かせない動作のひとつとなっています。そのため携帯電話、タブレット、ノートPCといった一般的な機器、またそれ以外の機器でも、従来のように異なる充電インタフェースを採用してしまうと充電器は違うメーカーや機器間を跨いで使用することができなくなります。そうなれば充電器はその機器の老朽化に伴い急速に淘汰されるようになってしまいます。これは浪費であるだけでなく長期的にみても環境破壊と言えるでしょう
ユーザー体験を改善するために、USB Power Delivery(略称:USB PD、以下USB PD)が誕生しました。これはUSB-IFが2012年にUSB充電の標準技術としてリリースされました。USB Type-Cインタフェースを通してデバイスがUSB PDに対応していれば、どんなデバイスでもUSB Type-Cケーブルを介して充電することができるというものです。これにより充電の利便性を高めるだけでなく、多くのユーザーにとってより強力な電源充電の選択肢を提供できるようにもなりました。
USB PDは充電インタフェースの統一や簡略化などの利点がありますが、一方で利便性を提供すると同時に異なるデバイスのUSB PD充電に互換性問題が発生する確率が向上しているという現状があります。それに伴い、充電機器が電子製品とうまく接続、充電ができないと、ユーザー体験とその製品への信頼性に深刻な影響を与えるでしょう。
USB-IFが2021年6月に発表したUSB PD 3.1によると、最大電力はバージョン3.0の100 Wから240 W(48 V 5 A)の充電速度まで増加しました。(Source: USB-IF)
USB PDの互換性を無視すればこんな事態になる!
以下の例を体験したことがありませんか。
エンジニアの佐藤さんは一日中仕事に追われていた為、寝る直前になって携帯電話のバッテリー残量不足に気づきました。充電はしようとしたのですがその機器付属のPD充電器やUSB Type-C ケーブルが見つかりませんでした。ただ明日の朝早くに部門会議でブリーフィングを行うことを考え、他のメーカーのPD充電器とUSB Type-Cケーブルを手当たり次第に手に取るしかありませんでした。 ケーブルを携帯電話に繋ぎ充電した後、佐藤さんはすぐに寝てしまいました。
翌朝目が覚めると携帯電話のアラームが鳴っていません!急いで携帯を手に取ってみると携帯電話の電源は切れていました。昨夜手当たり次第に手に取ったせいで他メーカーのPD充電器とUSB Type-Cケーブルが携帯電話の充電をスムーズに行うことができなかったためです。天を仰いでため息をついた佐藤さんはモバイルバッテリーを持って携帯電話の充電をしながら出勤を急ぐしかありませんでした。
会社に着くとノートPCを取り出し急いで会議の準備をしていた佐藤さんはノートPCの電源ケーブルを忘れたこと思い出しました。幸いにも会議室のスクリーンがUSB PDとDP Alternate Modeに対応していたので佐藤さんは「USB Type-Cケーブルを1本使えばそのケーブルは画面表示と充電を同時に行うことができる」と考えました。結局、実際にUSB Type-CケーブルがスクリーンとノートPCにしっかり接続されているはずだったのですがノートPCの充電が正常と異常を断続的に繰り返していることになり、スクリーンもブリーフィング中1時間近くも点滅し続けました。このような気まずい場面は佐藤さんにとってとても恥ずかしいものとなりました。
やっと恥ずかしい思いをした会議を乗り切り昼休みになると佐藤さんは続いてモバイルバッテリーで充電するとこんなに時間がかかるのだと気づきました。携帯電話を手に取ってゲームをしてリラックスしたい、そう思いましたが電源を入れると携帯電話のバッテリーが3%しか充電されていませんでした。佐藤さんは充電効率がこんなに悪いのはUSB PD互換性がうまくいかなかったことが原因だと考えました。
USB PD互換性によくある問題
以上のエピソードについて、いくつかのポイントをまとめてみました:
ユーザーは、手元にあるイヤホンのスペックに応じて対応するDAC製品を選択し、スマートフォンの繊細な音質を簡単に楽しむことができます。
1. USB PDは現代人の日常生活と密接に関係していて上のエピソード中でもスクリーン、システム、携帯電話、モバイルバッテリー、充電器、充電ケーブルなどが含まれています。各メーカーの製品間で互いに使用されることが多いため製品の互換性の問題が生じるものです。
2. USB PDに対応する製品を使用している時によくみられる問題は以下のいくつかに分けられます。
充電不可能
アリオンが開発したUSB Power Measurementツールの測定によるとこの問題は、CCピンによって両側のデバイスの電源とデータプロトコルフォーマットをつなげた際、電圧は高くなったが電流は正常に出力されていないことがわかりました。
充電時の電圧の不安定
このケースはCC pin接続後に電圧が安定して上昇がみられ電流に出力もあるが安定して持続的に出力することができないといったものです。最初は正常に2アンペア出力されていましたが、しばらくすると電流が0アンペアまで落ち、そこからまた2アンペアを出力し、またしばらくすると再び0アンペアに落ちの繰り返しです。出力電流を安定させ続けることができず、充電の中断が断続的に発生するという問題を引き起こしました。
充電効率の低下
この状況では、正常な出力があるため一部のデバイスでは充電中の表示が正常にされる可能性もあります。その状況下であっても測定したところ充電効率はUSB PDの標準的な充電効率には達していないことがわかりました。
3. アリオンのテストデータベースによると、製品の互換性テストにおけるUSB Type-CインタフェースのバグレポートではUSB PDの問題の割合は9.64%を占めていることがわかります。一見すると約10%という割合はあまり多くないように見えますが、実際にはUSB Type-Cインタフェースの製品更新速度は日進月歩で、製品の種類は数えきれません。USB Type-C関連のバグに関しては更に奇怪で、数えきれないほどあります。軽度のものでは消費者の充電体験に小さな悩みをもたらし、重いものはユーザーの製品に対する信頼性にさえ影響を与えています。どちらもバグには変わりなくそのメーカーのすべての製品を取引してくれなくなる可能性があるため10%近くのUSB PDのバグでも絶対に軽視してはなりません。
アリオンのUSB PD互換性ソリューション
USB-IFに正式に認可されたUSB認証試験機関として、アリオンは豊富で多様なUSB PD関連製品と設備を持っているだけでなく、モニター、モバイル機器、チャージャー、ドッキングステーション、モバイルバッテリー、PCシステム、HubなどUSB PDをサポートする関連デバイスの総数は少なくとも500台以上を保有し、様々なブランドと型番のデバイスをカバーしています。その中でもPCシステムカテゴリの数は300台に達しモバイル機器の数も100台を超えています。さらに市場のほとんどのメーカーをカバーしています。
アリオンは多くのUSB PD製品テストの経験をもとに、お客様のニーズを満たすよう最適なUSB PD互換性テストサービスを提供します。これらの互換性テストを通してさまざまなユーザー環境で製品が最高のパフォーマンスを発揮できるか確認できます。
☑ 機能性テスト(Function Test)
☑ 相互接続性・互換性テスト(Compatibility Test)
☑ 電源管理テスト(Power Management Test)
☑ 複数デバイス接続テスト電源管理テスト(Multi device connection Test)
上記のテスト項目に加え、アリオンはお客様が期待される製品性能と規格についてカスタマイズされたテスト項目を策定し実施することが可能です。また競合メーカーの製品との比較テストも対応できます。
関連の検証テストサービスについてより詳しい情報をお求めの場合は、アリオンのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
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