Allion Labs/Willy Chen
USB Type-C Audioの台頭
スマートフォンは、インターネット、電話、映画や音楽鑑賞などが可能な、事務と娯楽向けのポータブル製品です。どのスマートフォンにも3.5mmイヤホンジャックが標準装備されていそうですが、近年イヤホンジャックを廃止するスマートフォンメーカーが増えてきています。これはなぜでしょうか?
3.5mmイヤホンジャックを廃止した最初のスマートフォンは、2014年にOPPO が発売したR5で、USB Micro B to 3.5mmドングルでイヤフォンジャックを置き換えました。その目的はスマートフォンをより薄く軽く設計するためで、端末の厚さはわずか4.85mmで、当時最薄のスマートフォンでした。しかし興味深いのは、後にVivoが発売したX5 Maxが端末の厚さ4.75mmでこの記録を破りながら、3.5mmヘッドフォンジャックを残していたことです。
3.5mmイヤホンジャックを廃止すべきか議論が続く中、Appleが2016年に発売したiPhone 7で3.5mmイヤホンジャックの廃止が発表され、スマートフォンのマーケット全体でも、3.5mmイヤホンジャックを廃止するという結論に至りました。イヤホンジャックの廃止により、スマートフォンの更なる薄型化と軽量化が可能となり、空いたスペースに大容量のバッテリーを搭載することで、スマートフォンの待受時間を伸ばすことができる、などのメリットがあります。他方でUSB USB Type-Cの登場により、1つの差込口を多目的で使用できるようになり、端末インターフェースの数を減らすだけでなく、ハイレゾオーディオDACチップを独立したオプション製品と位置づけ、スマートフォンのコスト削減が可能となりました。その結果、他のスマートフォンメーカーもイヤホンジャックを廃止し始めました。
USB DACとは?その市場動向
DACチップとは?3.5mmイヤホンジャックがDACに関連しているのは理由とは?
DACとはDigital-to-Analog Converterの略で、デジタル信号を人間が聞こえるアナログ信号に変換する設備のことです。精度が要求される場合、上位 DACと下位DACでは数倍のコスト差が生じる可能性があります。
3.5mmイヤホンジャックを備えたスマートフォンでイヤホンを使って音楽を聞くには、デジタルオーディオをアナログオーディオに変換するDACが必要で、通常スマートフォン内蔵のDACチップはあまりコストがかかりません。スマートフォンのCPUと直接統合されているものもありますが、ハイエンドイヤホンをスマートフォンの3.5mmイヤホンジャックに接続しても、ハイエンドイヤホンの繊細な音質を発揮することは絶対にできません。このことは、イヤホン愛好家界隈でよく知られています。
スマートフォンメーカーが徐々に3.5mmを廃止し、単一のUSB Type-Cインターフェースに変更し始めた結果、USB Type-Cオーディオ市場が台頭してきたため、DACはUDA仕様を通じて独立したUSB Type-C製品として設計されました。ユーザーニーズに応じて、以下の様な、さまざまなハイエンドおよびローエンドのDAC製品が販売されています。
DACタイプ
ユーザーは、手元にあるイヤホンのスペックに応じて対応するDAC製品を選択し、スマートフォンの繊細な音質を簡単に楽しむことができます。
インナーイヤーヘッドホン内蔵のDACタイプ
多くイヤホン愛好家は、依然として多くの3.5mmハイエンドイヤホンを所有しているため、現段階ではUSB Type-C to 3.5mmの製品が主流となっており、DAC内蔵USB Type-Cイヤホンは、価格と性能が正比例していません。また、USB Type-Cのみに対応しており下位互換性がないため、市場に受け入れられにくく、多くのメーカーがワイヤレスイヤホンの方向で開発を進めており、このような製品はますます少なくなる傾向にあります。
スマートフォンの充電インターフェースがUSBマイクロBからUSB Type-Cに徐々に変化し、USB Type-Cの高帯域幅と拡張性から、1つのインターフェースで複数の機能を備えることがスマートフォンメーカーの目標となり、イヤホンジャックを残すスマートフォンの割合が少なくなっています。下の表から、年々約5%の割合で減少していることが分かり、2025年には、3.5mmイヤホンジャックを残すスマートフォンの割合が50%以下になると予想されています。
- スマートフォンメーカー: 3.5mmイヤホンジャックを廃止することで、スマートフォンのサイズを縮小し、より大きなバッテリーを設置し、DACのコストを徐々に削減することができる。
- 音楽サブスクサービスプロバイダー: USB Type-C DAC製品は44kHz / 16bit 以上の音質出力を提供できるため、音楽配信サービスがサブスク市場で増えている。(例:Apple Music, Tidal, Spotify, Qobuz, Tencent Music, NetEase, YouTube Music, Amazon Music, Deezer, Yandexなど)
- ユーザー:必要に応じて高品質のUSB Type-C DAC製品を選択でき、スマートフォンの44kHz / 16bitの3.5mm出力だけに我慢する必要がない。
実例で不良を分析
事例
- SUTがUSB Type-Cイヤホンを検出できない
- SUTをUSB Type-Cに接続して3.5mm DACに変換すると、バッテリーが急速に減っしてしまう
- SUTがEC270ドングル(USB Type-Cから3.5mm + USB Type-Cメスへ) に接続し、その後充電器に接続すると、SUTの充電電流がわずか0.35Aとなる
- SUTがUSB Type-Cイヤホンに接続された後、Skype通話で音が出ない (音楽は正常に再生可能)
- SUTをUSB Type-Cに接続して3.5mm DACに変換後、対応最高フォーマットの2ch 24bits 192kHzに切り替えられない(2ch 16bits 44.1kHzのみ)
- SUTをUSB Type-Cイヤホンに接続した後、イヤホンのコントロールボタンで曲戻し/曲送りの切り替えができない
テストの計画とソリューションのご提案
日々USB Type-C DAC製品が増えているため、スマートフォンやその他のホストとの互換性をテストして検証することでしか、消費者に安心を与えることができません。アリオンは、長年蓄積されたテスト経験と、USB Type-Cイヤホン、USB Type-Cマイク、USB Type-Cミキサーなどの数百のUSB DAC製品を使用して、これらの検証サービスを提供します。
接続性・互換性テスト(Compatibility Test)
►Device detection
►Plug and Play Test
►Dongle Test (C to 3.5mm)
►Dongle Test (C to Multi Devices)
機能性テスト(Function Test)
►Microphone Function Test
►Control button Test
►Voice Assistants Test
►Streaming Service Test
►Hi-Res Audio Format Test
►Sim card Phone Call Test
►Calling by LINE, Wechat, Skype, etc.… Test
電源管理テスト(Power Management Test)
►Charging/Discharging
►Power consumption
上記のテスト項目に加えて、アリオンは、競合他社製品とのテスト比較など、お客様の製品に合わせてカスタマイズされたテスト項目を策定することもできます。
関連の検証テストサービスについてより詳しい情報をお求めの場合は、アリオンのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
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