Allion Labs/Franck Chen
映画館だけでなくホームシアターでも – Dolby Atmos (ドルビーアトモス)とは
トレンド予測会社TRANSPARENCYの調査レポートによると、3Dオーディオ市場の関連ソフト・ハードウェアデバイスおよびサービスの市場価値は2020年に46億ドルに達し、2031年までは毎年15.5%の年平均成長率で成長する見込みです。また全世界での市場価値は220億ドルを超え、中でもアジア地区の成長が最も多く、次に北米地区となると予想されています。
出典: https://www.transparencymarketresearch.com/3d-audio-market.html
ドルビーラボラトリーズが2014年「Dolby ATMOS for Home」を発表し、ドルビーアトモス(Dolby ATMOS)の技術は正式に映画館だけではなくホームシアターシステムへも導入されました。さらに2020年以降新型コロナウイルス感染症の影響を受け、家庭用のビデオ・オーディオのグレードアップの需要が高まり、それに伴いドルビーアトモスに対応したストリーミングサービス、ゲーム、テレビ信号および音響設備も続々リリースされ、ドルビーアトモスは3Dオーディオ市場の主流技術のうちの一つになりました。
ドルビーアトモスを楽しむために必要な機材とは
家庭用のビデオ・オーディオでドルビーアトモスシステムは、主に以下の3部分から構成されます。
1. ソース機器(Source)
TV/STB with Digital TV Signal、TV/STB Streaming Player(App)、Game Console、BD Player。
2. シンク機器(Sink)
TV、Projector
3. リピーター機器(Repeater)
AVR、SoundBar
ドルビーアトモス環境の基本配置
続いてドルビーアトモス環境の基本配置についてお話しましょう。まず、ドルビーアトモス環境の最小構成である5.1.2chは、5基のサラウンドスピーカー、1基のサブウーファー、2基の天井スピーカーを使用します。AVアンプを使用する場合は、1基のサブウーファーに他6基のスピーカーでサラウンドの基本環境を構築することになります。
もしより良いサウンド効果を求めるのであれば、5.1.4chまたは7.1.2chが必要になり、9.1ch AVレシーバーに対応しているハイエンドのAVアンプが増えることで、圧倒的な臨場感を体験することができます。
しかし、AVアンプは価格が高く、ほかの機器を組み合わせる必要があります。このため、比較的コンパクトで設置が簡単で価格もリーズナブルといったメリットを持つサウンドバーが市場で急速に頭角を現してきました。
また、ドルビーラボラトリーズが2016年に《サウンドバー向けのドルビーアトモス(Dolby ATMOS)》ソリューションを正式に発表したことで、各大手メーカからは次々とドルビーアトモスに対応したサウンドバー製品がリリースされ、現在では一般家庭におけるドルビーアトモス対応サウンドプレイヤーの主流となっています。
ドルビーアトモスのサラウンド環境の構築方式
異なる信号源製品、設備および機能によってそれぞれの接続方式があります。接続方式には以下のような3種類の例があります。
1. 2 BOX
例:内蔵されているNetflix アプリなどのストリーミングサービスを再生するテレビをソース機器とシンク機器として、サウンドバー(音響機器)と接続する
2. 3 BOX-1(直列接続)
例:ブルーレイプレイヤーをソース機器として、サウンドバー(音響機器)と接続し、更にテレビ(シンク機器)と接続する
3. 3 BOX-2(並列接続)
例:セットトップボックスをソース機器として、テレビ(シンク機器)と接続し、更にサウンドバー(音響機器)と接続する
ドルビーアトモスエコシステムの検証要点
アリオンの長年にわたるビデオ・オーディオテストの経験から、最もよくある問題は複数の接続条件下では互換性およびUX/UIの設計に欠陥があることが判明しています。数多くのお客様の検証対象製品は基本機能には問題ありませんが、検証環境やパラメータを少しでも調整したり変更すると使用できなくなる場合はよくあります。アリオンはこの検証経験をもとにドルビーアトモス検証テストを提供します。
ドルビーアトモス検証テストでは次のように、3つの試験項目があります。
1. 主要設定:eARC/ARC…など、他キーポイントとなる設定
2. 主要操作:CEC制御…など、他キーポイントとなる操作
3. 音質、画面関連:音響設備出力の音声の品質、映像と音声のズレ…など
実例分析
今回アリオンはドルビーアトモスに対応している市販のテレビを3台選定し、アンプや、セットトップボックス、ブルーレイプレイヤーなどを組み合わせました。それぞれの接続条件下での評価と比較を行い、実測結果を以下にまとめました。
上の表から、3台のテレビは明らかな違いが見られます。結論から言うと、
1. Brand-A TVは接続相互性または機能性ともに他のブランドより優れている。
2. Brand-B TVは相互接続性にかなりの問題がある。
3. Brand-C TVにはあらゆる問題が存在していて、パフォーマンスが最も悪い。
4. 3台共通点は既存のUX/UIの設計に改善の余地があること。
ここでBrand-B TVを例として見てみましょう。接続タイプが2 BOXにしろ3BOXにしろ、Brand-B TVでeARC機能を使用すると全く音声が出力されなくなり、アンプとの互換性に深刻な問題が発生します。しかし、ARC機能を使用した場合、またはアンプをサウンドバーに変更した場合は正常に動作します。
また、2 BOX条件で、オーディオ関連設定を行う場合、Brand-B TVは一旦Netflix画面を終了し、HDMIモードに切り替えないと設定ができません。しかしBrand-AとBrand-C TVはNetflix画面を開いたまま設定を行うことができます。
上記の例からもわかるように、同じアンプでも組み合わせ条件や設定が違うだけでも、様々な問題が発生していることから、現在市販されている多くのビデオ・オーディオブランドと設備において実際どれくらいの問題が潜んでいるのか窺い知れます。上述の例はほんの一部にすぎず、映像と音声のズレ、雑音、電源ON/OFF、配線の抜き差し、信号源切り替え後の音声異常などといった他にもよくある問題や課題がエコシステムの拡大に伴って必ず直面するでしょう。
ドルビーアトモス製品が多様化 接続性がサラウンドオーディオ体験の鍵に
アリオンは30年におよぶ検証テストの経験があり、あらゆる主要なユーザーシチュエーションや条件を熟知しております。各大手メーカのテレビ、ビデオ・オーディオ設備、セットトップボックス、ゲーム機などを随時追加・更新することで、お客様の要望にお応じた検証環境を構築することができ、製品ごとに総合かつ最適なテストプランを提案します。製品が潜在的に持つ品質課題を洗い出し、激しいマーケット競争で抜きん出れるようサポートいたします。
ドルビーアトモス検証ソリューションに関する検証テストにご興味をお持ちの方は、アリオンのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。