車載製品の通信性能検証AIソリューション
近年主要な自動車メーカーは、新世代の車載インフォテインメントシステムを次々と発表しており、スマートフォンとの連携で、いつものアプリが車でつかえるなど、より充実したカーライフが楽しめるようになってきました。しかし、Bluetooth接続や互換性の問題が発生することも多々あり、そのような問題が発生すると、ドライバーはイライラしたり、さらには問題に気を取られて、事故を起こしてしまう可能性もあります。
アリオンは、車載製品の通信性能問題に対し、視覚認識、聴覚認識、ロボットアーム、AIスマートテスト管理システムを統合した車載製品の通信性能検証AIソリューションを開発しました。このAIソリューションで自動車メーカーとTier 1メーカーに対して、人間によるテストでは達成できない高効率で高精度なテストを提供します。
お問い合わせAIソリューションで車載製品の品質を向上
車載IVI製品の機能はますます豊富になり、手動でのテストではすべての潜在的な問題までテストするのは困難になってきています。そのため、アリオンは、以下の4つの要素を含む車載IVI用のAIスマートテストプログラムを導入しました。
1. ロボットアーム制御システム
ロボットアームで人間の手による操作をシミュレーションして、タップやスワイプ、その他カスタマイズされたアクションを実行します。
- タップ:タッチスクリーンの任意の場所をタップまたはダブルタップします。これにより、電話に出たり切ったりすることができます。Enterキー、数字キー、APPアイコンをタップできます。
- スワイプ:スクリーンをスワイプする人間の指を模したロボットアームで、機能オプションが見つかるまで画面メニューをスライドさせます。
2. 視覚認識システム
カメラのレンズに人間の目の機能をシミュレートする認識ソフトウェアが搭載されており、オブジェクトやアイコンを自動的に認識します。視覚認識システムは、長時間の画面監視や点滅するエラーメッセージの捕捉など、人間の目では実行できないテスト項目を実行します。
3. 聴覚認識システム
聴覚認識システムは音波の波形を分析して、信号の断線やポップ音等の問題がないかどうかを確認し、その結果を自動的に判定します。
図1:オリジナルの音楽波形
図2:IVIで再生した音楽の波形
図2の波形から分かるように、IVIで音楽を再生すると、約50秒前後に接近したA点でポップ音が発生し、約1分50秒前後のB点で2〜3秒間無音となっていることが分かります。
4. AI管理プラットフォーム
アリオンのAI管理システムは、Android OSとiOSの両方のスマートフォンを同時に制御でき、メーカーによる自動テストシーンの計画やスケジューリングをサポートしています。蓄積した膨大なテストデータを分析することで、テストスケジュールを柔軟に調整できます。
なぜAIでないといけないのか?
- 高効率、高精度:人間による手動のテストでも、83%程度の精度を達成することはできますが、体調や疲労によってこの精度は劣化してしまいます。特に、テストが長時間に及ぶと微細な問題を見逃しがちです。しかし、ロボットは疲労することがないため、常に99%かそれ以上の精度を維持することができます。
- 定性的、定量的、再現性:アリオンのAI自動テストソリューションは、ロボットアームと視覚/聴覚認識機能を組み合わせることにより、毎回のテストに一貫性を持たせ、正確に行うことが可能です。これにより、手動テストによるエラーを大幅に削減し、テスト品質がより安定し、カギとなる車載Bluetoothパフォーマンス問題を再現できます。
- 24時間途切れずテスト:人間は休憩が必要ですが、ロボットは24時間連続稼働できます。人間の作業と比較すると、アリオンのAIスマート検証はテスト時間を2〜3倍節約できます。
- ビッグデータの収集分析:エラー率が最も高いテスト項目、車載製品とスマートフォンの組み合わせ等、ビッグデータを収集してテスト結果を分析し、後続のテスト計画を調整します。
アリオンの車載機Bluetooth接続性試験
自動車メーカーとTier 1メーカーが車載機のBluetooth接続の問題を特定し、改善するのをサポートするために、アリオンは以下の7つのテスト項目を構築しました。
- OOBE(Open of Box Experience)テスト:車載機と携帯端末のペアリング初期設定と接続
- Bluetooth機能テスト:ハンズフリー電話機能、オーディオのストリーミング機能、メッセージの処理など
- ユーザーシナリオテスト:アリオンで蓄積してきた100以上のユーザーシナリオの活用により、潜在的な問題点を発見
- Bluetooth互換性テスト:iOS /Android OSや搭載SoC、通信キャリアなど、異なる環境に対しご要望の検証試験を提供可能
- ストレステスト:長時間にわたる複数機能の同時操作、同時実行や各種接続インターフェースの接続/切断の繰り返し
- オーディオパフォーマンステスト:DAC (Digital to Analog Convertor) およびオーディオ電気回路を確認
- Bluetooth OTAパフォーマンステスト:評価対象機器をX/Y/Z三つの軸で最大360度回し、各角度のTRP/TISを測定
2種類の車載機向けBluetooth接続性試験
自動車メーカー、およびIVI機器メーカーではテストに対する要望が異なるため、アリオンのAIソリューションでも、車両環境でのテストとヘッドユニット単体でのテストの2つのテストを提供しています。
自動車メーカーに対しては、車両環境でのテストを提供することによって、実際の車両環境での運転と乗客の使用シナリオをシミュレートし、ユーザーの乗車体験に潜在的に影響する可能性のある問題を特定できます。
また、Tier 1メーカーに対しては、ヘッドユニット単体テストを提供し、車両全体のシミュレーション環境を構築することにより生じる高額な費用を負担する必要がなく、不要な手間を回避できます。
車載機Bluetooth接続性試験についての詳細は、車載製品の通信性能ソリューションをご覧いただけます。また関連サービスについてご興味のある方は、、お気軽にお問い合わせください。
アリオン株式会社 お問い合わせ窓口:service@allion.co.jp