Allion Labs

情報伝送が盛んな現代では、データ、画像、音声・動画など、多くのデバイス間で高速ファイル転送が行われており、複数の転送ケーブルを所有するのが当たり前となっています。見た目はシンプルな転送ケーブルですが、実際にはさまざまな部品で組み立てられており、各部品そのものの高周波特性に加えて、部品間の加工や互換性もメーカーにとって大きな課題になっています。高周波の完全性を確認する前に、最初に克服しなければならない難題は、時間領域(Time Domain)での特性インピーダンス制御(Characteristic impedance)です。信号伝送のプロセスにおいて、伝送チャネルは水道管のようなものであり、滑らかに保たれなければなりません。

特性インピーダンスはどれぐらい信号の完全性に影響を与えるか?

特性インピーダンスは信号の完全性に非常に大きな影響を与えるため、高周波の母とも言っても過言ではありません。なぜなら、伝送チャネル内の設計や加工の不良のほとんどがここから見て取れるからです。実際の製品でよく見られる問題は次の通りです。

  • コネクタ端子の接触面積が不足し、信号が過剰に反射する
  • 裸線の絶縁層包装が不均一なせいで信号に歪みが発生する
  • 部品の配線や折り曲げの設計不良が信号の分散に悪影響を与える
  • 製品加工部のハンダ付けや断線が信号伝送失敗の原因となる

設計及び製造プロセスにおけるすべての不良は、挿入損失(Insertion Loss)、反射損失(Return Loss)、送受信端の信号クロストーク(NEXT/FEXT Crosstalk)など、高周波特性全体に影響を与える可能性があります。また、製品の伝播遅延/遅延スキュー性能(Propagation Delay/ Delay Skew)がデバイスチップの解析能力を超えている場合、ビットエラー率が上昇したり、データの再送信が必要となり、速度の低下や機能が無効になったとユーザーが感じる可能性があります。この時点で、優れた問題分析能力が欠けていれば、注文の喪失、生産能力の遅れ、多くのクレームが発生し、悲惨な結果を招く可能性があります。

アリオンが持つ長年の検証実績から実例をご紹介

アリオンはケーブルとコネクタ分野において、特性インピーダンス分析で豊富な経験を有しており、特性インピーダンスの解析を通じてほとんどの問題を解決し、さらにお客様の適切な改善方法の計画策定をサポートします。アリオンが過去に携わったUSB Type-Cケーブルの実例を見てみましょう。

その製品は挿入損失が大きすぎたため、実際に使用する際にデータ転送の失敗が発生しやすくなっていました。アリオンの技術チームは、特性インピーダンスの検査と分析を通じて、サンプルの部品であるパドルカードのインピーダンス設計が低すぎること、そして剥離処理が高すぎることを発見し、このせいで特性インピーダンスのギャップ(不連続面)が大きくなり、信号伝送時の損失量に影響していることが判明しました。

下の図1は、伝送ケーブルのインピーダンス調整前の波形です。赤いマークで示された不連続面の変動が約21.41Ωあり、これが挿入損失(図2)に影響して基準を大幅に超え、信号の大きな損失を引き起こしていることがわかります。

アリオンによる分析を元に、パドルカード(Paddle Card)のインピーダンスのサンプル補正や裸線加工などをお客様に改善提案した結果、インピーダンスの不連続面は13.29Ωに改善され(図3)、これにより挿入損失特性が問題なく基準を満たし、すぐに効果が出て品質を改善することができました(図4)。

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